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存滅の柱   作者: 茶谷 創懐(くらふと)
最終話(第三話) 「存滅の柱」
7/9

世界滅亡

屋上は無彩色が散りばめられたデザインの床で、床に描かれている蛍光水色の模様がアクセントになっていた。円い広場である。

「さっきから、妙に明るくない? なんか白いもやのような光が視界を遮るというか」

そう言いだしたのは幻。

夜なのに明るいはずがない。月光を過敏に感じているのだろうか。

「外、出たからじゃない?」

「雨降ってない? 結構強いよ」

雨など降っていない。

幻が精神病にかかってしまった! 飛は悲嘆した。

「雨なんて降ってないぞ。幻、熱でもあるのか?」

飛は幻の額に手を当てた。幻が顔を引き攣らせる。

幻の額はひんやりしていて、熱はなかった。

飛は天を見上げた。夜空に三日月が照っていて、夜ながらに快晴であった。

夜空に何かが浮いていた。

中心が白く、その周囲はほのかに緑色に光っていた。

「火の玉?」

背筋がゾクゾクっとした。

円い広場の中央に巨大なモニターがあった。

新光樹ショッピングセンターの自社コマーシャルが流れている。

そこには臨時ニュースが字幕で流れていた。

「高温プラズマにより、火の玉が発生しています。高磁場のプラズマのため、幻覚症状が出始めています。引き続き警戒してください。」


イベントステージには、もう司会が登場していた。

「プラズマが悪さをしているようなんですが、早速、あの方を御呼びしましょう! 

 エクスカリバーさんです。どうぞ!」

「幻、行かなくていいのか? イベント」

「行ってくる。飛君は観覧席で見学してて」

そう言うと、幻は小走りでイベント会場に行ってしまった。

飛は観覧席という名のベンチに腰かけた。

人気イラストレーターのエクスカリバーさんが講師となって、催されるイラスト講習のようだ。

「構図とレイアウト」を主題に、分かりやすくゆっくり教えていた。

最後には、エクスカリバー本人が描いたイラストをビンゴゲームの景品とし、随分と盛り上がっていた。

ほとんどが熱狂的なエクスカリバーのファンで、幻は気迫に押されながらも楽しんでいた。

途中、火の玉が会場に乱入してきたが、エクスカリバーが素手で触り

「透過するんですね」と会場を賑わせた。

こうして、二時間のイラスト講習がようやく終わった。

その間、飛は観覧席から幻ばかり見ていた。

「見てみて、飛君描いてみたの。似てる?」

イケメンすぎたので苦笑いをしたが、パッと見、似ていたので

「似てるよ」と返した。

「遅くなっちゃったね。近くでお祭りやっているから、そこで夜ご飯にしようか」

幻の提案で二人は新光樹公園に向かった。



ニューライトフェスと呼ばれるお祭りは終わったらしく、ほとんどが屋台をたたんでいた。

この祭りでは毎年、LEDライトの新色が使われていた。

今年は蛍光カラーらしく、カラフルな蛍光の提灯が素っ気ない道を彩っていた。

スマホで蛍光の提灯を撮ると、最新アプリをお互いに紹介し合い、すっかり時を忘れていた。

「僕の家は一軒家で独り暮らしをしているんだ」

幻は一瞬静止した。

「え、飛君もう独立してるの! 凄い。

 ねえねえ、飛君って普段、家でどんなことしてるの?」


二人の頭上を飛行機が機械音を立てて飛翔していく。

二人は飛行機を夢うつつに眺めていた。


「知らないほうがいいよ」

飛は趣味が考察の変人だと思われたくなくて、秘密にした。

飛はあの暗室で考察するのが趣味なのだ。


飛行機のヘッドは赤く輝き、その赤い光は水平移動して行く。

消えた。赤い光が突然消えた。

同時に世界が「電気」を失った。

日付は2012年、7月23日に変わっていた。


驚天動地、絶望の世界に変わってしまった。

飛行機は墜落し大爆発したようだ。

轟音が地を揺らした。

飛行機は新光樹ショッピングセンターに堕ちて

ショッピングセンターもろとも爆風で吹き飛ばしていた。

咄嗟に暗くて見えない幻を手探りで探した。

ようやく腕が見つかり、腕をがっちり掴み取る。

「共に生きよう。CMEが直撃しても変わることなく、一緒に」


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