第5話 レーゲンスブルクにて (クララ)
レイアとクララが送られたところはレーゲンスブルクといい、王都から馬車で1週間程かかる南部の町だった。
陰鬱な気持ちで訪れたものの、実際に行ってみると気候は暖かで過ごしやすい土地だった。
田舎ではあったが作物もたくさん取れ、皆ゆとりのある生活を送っているためか領民は穏やかでゆったりとした人が多かった。
悲劇的な状況での島流し状態だったが、優しい領民たちに囲まれて2人は思いの外心地よく生活することが出来た。
そして嫌なことは頭の片隅に追いやって、クララは一生懸命レイアに愛情を注いだのだった。
※
そうしてレーゲンスブルクに来てから3年が過ぎた。
侯爵夫妻は一度もこの地を訪れず、レイアが王都に呼ばれることもなかった。
もうじきレイアは初等学校に通う年齢になるが、ルイスから学校に通わせろという指示はなかった。
愛情をこめて育てているレイアには、ぜひ学校に行かせてあげたい。
でも、余計なことをしたら旦那様から罰を受けるかもしれないし・・・。
クララがもんもんとしていたら、救いは外からやって来た。
屋敷の庭や村の中でプラプラ過ごしているレイアを見て、神殿の神父様が教会学校に来るように誘ってくれたのだ。
「ですが、勝手なことをしたら旦那様に怒られるかもしれないし・・・。」
怯えるクララを見て、神父様が言ってくれたのだ。
「子供の育児を放棄している親にそんなことを言う資格はない。神父に無理やり学校に通わせるよう言われたとでも言いなさい。」
クララは3か月に1度、レイアの様子をルイスに手紙で知らせていた。
念のため神父に言われ地元の子供と一緒に教会学校に通わせていることを知らせたが、ルイスからの反応はなかった。
レイアがレーゲンスブルクに行って1年程はクルム夫妻もクララの手紙に目を通していた。
しかし、毎回田舎での単調な生活をつづったものであり、1年を過ぎたころから手紙は開封もせず放置され処分されるようになっていたのだ。
もはや2人にとってレイアは存在しない子供となっていた。
どのように成長しているのか興味もなく、全く知ろうともしないまま年月が過ぎていった。




