第46話 午後の患者
「エル?夢・・・?」
レイアは目を潤ませ、口元を両手で押さえた。
「夢じゃない。本物だよ。レイア久しぶり。」
「エル。会いたかった!」
レイアは駆け出しエルフリードの腕の中に飛び込んだ。
「レイア、僕も会いたかった。別に体調が悪いわけじゃないんだけど、こうでもしないと君に会えないから・・・。3か月ぶりだけど、どう?」
エルフリードは両手でレイアを抱きしめながら尋ねた。
「神殿での生活はほとんど毎日同じだからもう慣れたかな・・・。」
「フェリクスが頻繁に会いに来てるんだろう?」
その言葉にレイアはビクッと身体を震わせた。
「ごめん。君を疑っているわけでもなじってるわけでもないんだ。ただ、僕が勝手に焦ってて・・・。彼は従兄だし昔からよく知っているけど、僕が女性だったら好きになってもおかしくないくらい魅力的な人だから。」
バツが悪そうにそう言ったエルフリードに、レイアは愛しさが込み上げてきた。
そして自分からぎゅうっと彼に抱きついた。
「私もフェリクス様は素敵な方だと思うわ。でも、私はエルがいいの。今度、殿下が来られたらキッパリお断りするわ。」
「レイア・・・」
しばらく抱き合っていたが、レイアはエルフリードの顔が見たいと思い視線を上げ彼を見つめた。
そんなレイアを愛しそうに見つめ返した後、エルフリードはそっとレイアの唇に口づけを落としてきた。
その後、与えられた時間が許す限り2人はお互いの近況を伝えあった。
エルフリードは学院に通いつつ、卒業後に家から独立するのに必要な勉強や準備をしているとのことだった。
そして、クララはエルフリード専属の侍女として公爵家で働いているそうだ。
実家の男爵家の借金の返済も済み今は心穏やかに生活していると聞き、レイアも安心することが出来た。
「また、来るよ。」
その言葉にレイアは嬉しそうに頷き、エルフリードは笑顔で治療室を出ていったのだった。




