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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第45話 午後の患者

少しずつ距離を縮めてくるフェリクスに、レイアは以前ほど緊張しなくなっていくのを感じていた。


彼は整った容姿に紳士的な物腰で常にレイアをリードしてくれる非の打ち所がない貴公子だった。

彼が素晴らしい人であることはレイアもよく分かった。

ほとんどの女の子は、フェリクスにこんな風に接してもらえたら彼のことを好きになってしまう気がする。

レイアも前より彼のことを好ましいと思っていた。


しかし、幼い時から特殊な環境にいた自分をずっと支えてくれたのはエルフリードなのだ。

「エル・・・。」


聖女は基本的に神に仕える者なので、自由に神殿から出ることが出来ない。

日々、祈りや癒しの仕事があり、面会も家人に限られている。

エルフリードとクララは家族ではないので自由に会うことが出来ないのだ。


月に一日だけ休日が与えられ、その日は外出もすることが出来る。

聖女になって一回目の休日はエルフリードとクララと会い、途中からはエルと2人で町へ遊びに行った。


ところが2回目からはレイアの休日を把握していたフェリクスに攫われるように馬車に乗せられ郊外にある王家の持つ別荘に連れて行かれた。

レーゲンスブルクを思い出させる自然豊かな所で、別荘の側には美しい湖や綺麗な庭園もあり素晴らしい場所だった。

ボートに乗ったり、屋外で料理をしたり、今まで経験したことの無い体験は楽しかったし、そんな機会を与えてくれたフェリクスには感謝していた。


そのため月に一度しかないエルフリードと会える日に予定を入れられ、もう2か月近く彼に会っていない。

確実に距離を縮めてくるフェリクスにレイアは不安を感じていたが、ここにはずっと自分を支えてくれていたクララもエルもいないのだ。


「エル、会いたい・・・。」


レイアは目を潤ませながら神に祈りを捧げた。

「シスター・レイア。午後の患者様がいらっしゃいました。」

聖堂で祈りを捧げていたレイアを少年神官が呼びに来た。


全ての人に平等に癒しの施術を行うことを神殿は明言しており、患者の気持ちでお布施をいただいている。

そうした癒しの施術は主に午前中に行われていた。

ただ、それは建前で特に多額のお布施をしてくれる人には午後から優先枠があるのだ。

神殿の運営はお布施と寄付によって賄われているため、金持ち優遇と批判もあるが昔から慣例的に続いているのだ。


「今行きます。」

レイアは治療室へと向かった。

「お待たせしました。」

レイアが部屋に入ると、そこには会いたくて会えなくて焦がれていた人が座っていた。




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