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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第44話 王太子の来訪

「えっと、あの・・・。はい、そうです。フェリクス様が好きとか嫌いとかいう話ではなく、田舎で育った私には王妃という身分は荷が重すぎますから・・・。」

レイアも正直に答えた。

神に仕えたいからなどと取り繕っても、見抜かれると思ったのだ。

「私のことが嫌というわけではないんだな?」

「嫌も何もお会いするのは今日で2度目ですし、前回は顔を合わせただけで。」


「君の懸案事項は理解した。誤解があるようだから聞いて欲しい。王妃に求められる資質は、夫となる王によって必要とされるものが異なってくる。私の場合、政治学を筆頭に必要なものは全て自分で身に付けたという自信がある。君は微笑んで私の横にいてくれれば、それ以上のことを君に求めるつもりはない。」


フェリクスの言葉にレイアは困ったような視線を向けた。

「でも、エルと・・・」

「エルフリードと君が幼馴染で、お互い結婚の約束をしているのは知っている。従兄の私から見ても彼は申し分のない貴公子だと思うが、君は私のことは全く知らないだろう。」

フェリクスは真剣な表情でレイアに語りかけた。

「・・・。」

レイアは返答に困り無言でうつむいた。


フェリクスは立ち上がりレイアの横に腰かけ、握りしめた彼女の手の上に自分の手を重ねた。

「時間が許す限りここに通うから私との時間を取って欲しい。いいね?」

有無を言わさぬ口調で同意を求められ、レイアは頷くしか出来なかった。


それからというものフェリクスは2,3日に一度のペースでレイアの元を訪れるようになった。2~3時間ほど滞在する時もあれば、ほんの10分程度の時もあった。

言葉通り、時間の許す限り空いた時間のすべてをレイアのために割いているというのがひしひしと伝わってきた。


そんな状態が3ヵ月ほど続いた頃、フェリクスが可愛い手土産を持って来てくれた。

「これは異国から献上された珍しいお菓子だ。レイアに見せたくて持ってきた。」

飴でできた薔薇の花のお菓子だった。

サイズはレイアの手のひらの半分くらいあり、まるで本物の花ような造りになっていた。

花びらは薄く透き通っていて、光を反射してキラキラと光っていた。

「きれい・・・、宝石の花みたいですね。」

レイアは驚いて目を見開いた。

「食べてみたが味もなかなかだったぞ。レイアも食べてみろ。」

「こんなに綺麗だと食べるのがもったいないですね。それにどこから食べたらいいのか・・・。」

レイアが悩まし気に飴細工を見ていると、フェリクスは笑いながら外側の花びらを一つ摘みパキッと割った。

そして、レイアが手を出そうとする前にそれをレイアの口元に押し付けた。

反射的に口を開けると、フェリクスはそれをレイアの口に押し込んだ。

すっと指を引く時にフェリクスの指がかすかにレイアの舌先に触れた。

真っ赤になりながらレイアは飴を舌で転がした。

「美味しい・・・。」

「だろう。」

そう言いながらフェリクスは満足そうに頷いたのだった。


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