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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第42話 聖女

大神殿に戻りクララも交えて4人で相談するこになった。

一番広いヨハンの部屋に集まり4人が揃うと、おもむろにヨハンが話を切り出した。

「レイア。本物の聖女になってはどうだ?」

レイアは驚いてヨハンを見た。


聖女になるということはその身を神に捧げるということで、王子との結婚も避けられるが他の誰とも結婚出来ないのだ。

もちろんクルム侯爵家を継ぐこともできない。


ヨハンはレイアの目を見ながら言い聞かせるように続けた。

「フェリクス王太子はもう19歳だ。弟王子の婚約者までいなくなったし、跡継ぎのことを考えると王子たちの結婚は王家の最重要案件だろう。レイアが聖女になればエルフリードとも結婚出来ないが、さすがの王子でも手が出せない。王子は1~2年か遅くても3~4年のうちに他の誰かと結婚せざるをえないだろう。王子が結婚したら還俗してエルフリードに嫁入りすれば上手く収まる。」


エルフリードも不満そうな表情を浮かべながらも頷いた。

「不本意ですが、それしかないですね。」

「なあに、2~3年なんてあっという間だ。いきなり侯爵夫人になるより、王都に慣れるのにそのくらいの時間があった方がいいんじゃないか。」

ヨハンが明るい口調で励ましてくれた。


              ※

その日のうちに神殿に聖女になりたいとの申請を行った。

強大な神聖力を大神官に認められていたため、翌日にはあっさりと聖女に認定されることになった。


そしてレイアが神殿に入る日、エルフリードが神殿の寮まで見送りに来てくれた。

「聖女は神の花嫁だから指輪はできないだろう。チェーンを持ってきたよ。」

エルフリードがシンプルな銀のチェーンを取り出した。

それにプロポーズで渡した指輪を通し、レイアの首にかけてくれた。

「学院を卒業したら一刻でも早くレイアと結婚したいと思ってた。」

「エル・・・」

レイアも同じ気持ちだったし、何ともやるせない気分になりエルフリードを見つめた。

「レイアが僕に嫁いでくれた後、少しでも過ごし易く出来るよう君が自由になるまで僕も頑張るよ。レイアも慣れない生活になると思うけど頑張って。」

エルフリードは最後にレイアをきつく抱きしめた後、名残惜しそうに公爵家に帰っていった。

クララはフェルゼンシュタイン公爵家で侍女として働くことになり、エルフリードと一緒に神殿を離れた。


                  ※

残されたレイアはクルム侯爵家に一人連れて行かれた時のことを思い出し、寂しい気持ちになった。

しかし、あの時よりは未来の展望が見えている。

エルフリードの横に立つのに相応しい教養や聖女としての実績を残したいという目標もある。

「頑張らなきゃ。」

自分を鼓舞しながら神殿の中へと戻って行ったのだった。



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