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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第40話 マルクス

重苦しい雰囲気が漂い室内が静まり返った時、扉をノックする音が響いた。

ヨハンがどうぞと返事をすると、ガチャっと扉が開き、一人の青年が入って来た。

「マルクス。どうしたんだ?」

エルフリードが青年に声をかけた。


「ちょっと君たちに話しておきたいことがあって・・・。クルム侯爵令嬢。先ほど会ったから初めましてではないけど、一応自己紹介をしておくよ。僕はマルクス・ベルナー。第二王子だ。」

謁見の時、国王の左隣りにいた青年だ。

フェリクスと同じく金髪碧眼の端正な顔立ちだったが、兄より柔和な印象を受ける。


この方がソフィアの・・・


レイアはそう思いながら、立ち上がり挨拶を返した。

「レイア・フォン・クルムです。」

マルクスはレイアの顔をじっと見つめてきた。

レイアは居心地が悪くなり、愛想笑いを浮かべた。

「どうかなさいましたか?」

「いや、失礼。エルが君を隠しておきたかったのも頷けると思って見てたんだ。」

そう言って苦笑しながらエルフリードの方へ視線を移した。


名指しされたエルフリードも居心地が悪そうだった。

「長い休暇の度にオイレンベルクに飛んで行くから、好きな人でもいるのかと聞いたこともあったんだけどね。返事をはぐらかされてたんだよ。」

その言葉にレイアはエルフリードを見た。

エルフリードはバツが悪そうにつぶやいた。

「休暇中しかレイアに会えないし、誰にも邪魔されたくなかったんだ。」

レイアも休暇の度にエルフリードが来るのを心待ちにしていた。


エルも同じ気持ちだったのね・・・


頬を染めもじもじする2人を見て、マルクスが苦笑した。

「君たちは本当に両想いなんだね。・・・そのことで少し話しておきたいことがあったんだ。単刀直入に言うよ。兄上は本気だと思う。」

エルフリードが鋭い視線を向けた。


「込み入った話をするのなら、一度席につきましょう。」

ヨハンに促され4人はソファに腰かけた。

全員が座るのを見て、マルクスが話し始めた。

「兄上は生まれた時から王太子として育てられ、その期待に沿うべくずっと我慢と努力を強いられてきたんだ。結婚相手も自分の好みで選べないことは理解していたし、リリアンヌのことは女性として愛しているということはなかったと思うけど、大事にされていた。」

マルクスはそこで一息ついた。


レイアはそこで改めてマルクスの顔をじっと見つめた。

金髪碧眼の王子様然とした容姿は、エルフリードといとこになるためかよく似ている。


王太子様も似ているけど、もっと怜悧な感じだった。


王太子のこれから狩る獲物を見るような自分への強い視線を思い出し、レイアは身を震わせた。



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