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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第39話 国王との謁見

すぐ側にいた国王も驚いた表情で息子を見た。

「それはどういう意味だ?」

王が尋ねた。

「リリアンヌが急逝して、私には今婚約者がおりません。私と年齢や身分が釣り合う令嬢の多くは既に結婚しているか、婚約者がいる状態でしょう?」


リリアンヌとはフェリクスが13歳の時に婚約者となった女性だ。

結婚式の日取りまで決まっていたが、結婚目前に病気で急逝してしまったのだ。

今はリリアンヌの喪に服しているため、すぐに次の婚約者を決めるわけにはいかない。

しかし、王太子ももう19歳になる。

そのため国外も含め、水面下で王子妃の選定に入っている状態なのだ。


「それで?」

「ルイス・フォン・クルムの犯した罪は重いものです。しかしクルム侯爵家はわが国にとって歴史的に意味を持つ重要な家柄です。ですので、建国の勇者の家系と救国の乙女の家系の婚姻という慶事で侯爵家の不祥事を打ち消すのです。それに彼女の突出した神聖力やカリスマ性のある容姿は国母になるにふさわしいと思います。」

建国の勇者とはベルナー王国を興した初代国王のことだ。


「なるほどな。」

息子の主張に王は一理あると頷いた。

「お待ちください!レイアは私の婚約者です。」

エルフリードの反論をフェリクスは一蹴した。

「ルイス・フォン・クルムは娘を悪魔に捧げるつもりだったんだ。そんな娘と公爵令息との結婚を認めるわけがない。婚約はお前たちの口約束だろう。王太子妃の選定は国の重要案件だ。それに私情をはさむことが許されないことはエルフリードもわかるだろう?」


確かに王太子の婚姻は国の重要案件だろう。

しかし、レイアに恋をしている自分にはフェリクスが同類であることがわかる。


私情をはさんでいるのはどっちだ!


睨みつけるようなエルフリードの視線をフェリクスは好戦的な表情で受けて立った。

そしてその険悪な空気を打ち消したのは王だった。

「お前たちの考えはわかった。今日の謁見は元々クルム侯爵令嬢の見極めと本人の意向を聞くのが目的だった。それは果たされたし、今日は一旦解散しよう。どうするかは追々意見を聞きまとめていく。それでいいな?」

国王の言葉にエルフリードもフェリクスも頷いた。


入室時と同じく、レイアはエルフリードにエスコートされホールを出た。

そして、控室に戻ると3人は無言でソファに腰かけた。

「いやはや、こんな横やりが入るとは予想外だったな。」

ヨハンが心底疲れたように呟いた。


ヨハンの言葉に同意しつつ、2人とも軽口は叩けなかった。

フェリクスが本気なら、彼が自分の案を実行すべく動いてくる可能性がある。

彼の言う通りルイスの犯した罪は甚大で、クルム侯爵家の汚名を注ぐにはレイアと王太子との結婚は格好の好材料となるだろう。

彼の言っていることは間違いではない。


でも、そもそも私にはクルム侯爵家に何の思い入れもないのに・・・。


ずっと好きだったエルフリードと想いを通わせたばかりなのに、侯爵家のために彼と別れなければいけないなどレイアには考えられなかった

それにレーゲンスブルクで育ったレイアに、いきなり王妃になれなどと言われても無理なものは無理なのだ。


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