表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/49

第35話 大神殿

ヨハンたちが乗ってきた馬車で4人は大神殿に向かった。

厳かで重厚な建物にレイアは驚き、中に入ってからはその清浄な空気に目を見張った。

「さすがだな。この清浄な気がわかるか?レイアは侯爵家を継ぐより、神官か聖女として過ごした方がいいかもしれんな。」


ヨハンの言葉を聞き、エルフリードは鋭い視線を彼に向けた。

還俗することは可能だが、神官や聖女として過ごす間は婚姻を結ぶことが出来ないのだ。

「ハハハ。エルフリード、そう怒るな。適性の話をしただけだ。今となっては他に侯爵家の跡継ぎはいないし、おそらくレイアが家を継ぐことになるだろうから心配するな。」

ヨハンがなだめるように言った。

クララは微笑ましそうにそれを眺めていた。


「さあ、もう部屋へ行こうか。明日は国王との謁見もあるだろうから、今日はみんな早く寝なさい。」

「国王との謁見?」

レイアは驚いてヨハンを見た。

「明後日以降になる可能性もあるが、爵位の継承なども絡んでくるからレイアが謁見を避けることは不可能だ。大丈夫、わしが付いて行ってやる。」

そう言うとヨハンはチラリとエルフリードを見た。


エルフリードはヨハンの視線を受け、一瞬息を飲んだ。

そして覚悟を決めたようにレイアに向き合った。

「レイア。本当はこんな場所や、他の人が居るところで言うつもりじゃなかったんだけど・・・、君を愛している。僕と結婚して欲しい。」


予想もしていなかったいきなりのプロポーズにレイアは驚いた。

「えっ?」

エルフリードがずっと好きだったし将来彼と結婚出来たらいいな、と思っていた。

しかし色々大変なことがありすぎて、今はそんなことは頭から抜け落ちていたのだ。

「もともと今回レーゲンスブルクに行ったらプロポーズしようと思ってたんだ。」

そう言って、エルフリードは銀の指輪をレイアに差し出した。


嬉しいという気持ちはもちろんあるが、状況にそぐわないタイミングでの急なプロポーズにレイアは少し戸惑った。

それに助け船を出してくれたのはヨハンだった。

「エルフリード。先走りすぎだ。レイアが戸惑っているぞ。」

レイアは視線をヨハンに向けた。

「レイア。お前たちが婚約関係になっていれば、謁見には関係者としてエルフリードも同伴できる。彼はそれを言いたいんだ。」


唐突な行動の意味が理解できた瞬間、レイアの目に涙が浮かんだ。

国王との謁見と聞き、不安そうな表情になったレイアを支えてあげたい。

そんなエルフリードのレイアへの想いが痛い程伝わってきたのだ。


「ありがとう、嬉しい・・・。私もエルが好き。」

レイアの返事にエルフリードは感極まったように彼女を抱きしめた。

そしてゆっくり身体を離すと、先ほど手にしていた婚約指輪をレイアの左手の薬指にはめた。

「君に渡すつもりで用意してたんだ。受け取って。」

レイアは薬指に光る指輪を見つめた後、右手で左手を握りこんだ。

「ありがとう。大切にするね。」

そう言って笑顔でエルフリードを見つめた。

「お嬢様、良かった・・・。」

クララも目尻ににじむ涙をぬぐっている。


ヨハンはそんな3人の様子を穏やかな目で見ていたが、落ち着いたのを見計らって声をかけた。

「明日レイアが王宮に呼ばれるとしても、侯爵や夫人の尋問が終わってからになるし、早くても午後からだ。謁見の打ち合わせは明日にして一旦休もう。」


そして、ヨハンに促され各自の部屋へと別れた。


しかし、レイアは気持ちが高ぶってベッドの中に入ってもなかなか寝付けなかった。

昨日までの不安で陰鬱だった気持ちは嘘のように晴れやかだったが、目をつぶるとルイスやソフィアの顔が思い出される。

実の家族のことを思い出すと心が痛むが、彼らは家族と呼ぶには遠すぎる存在だった。


あの人たちのことは、もう忘れよう・・・。


そうこうしているうちに自然と眠気が訪れ、レイアは目を閉じたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ