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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第31話 アルベルト

「私もお前と契約した時は、代償は銀の娘だと思っていた。」

アルベルトの言葉にルイスは顔を上げた。


「その銀の娘はクリスティーナに匹敵するほどの神聖力にあふれていたし、お前が私を滅するために立派な祓魔師に育て上げるだろうと思ったからな。成長しきる少し手前で手折ってやろうと思っていたのだ。まさか切り札になり得る娘を手放し、出来の悪い方を手元に残して大切に育てるとは・・・。理解に苦しむ行動だったが、逆に興味が惹かれ様子を見ていたのだ。」

アルベルトは楽しそうな表情でそう話した。


「最初、そのつもりだったのならレイアでも・・・。」

ルイスが懇願した。

「それは無理な願いだな。私はお前に最愛の娘を寄こせと言ったのだ。」

「ですが・・・」

諦めきれない様子のルイスを見て、アルベルトはニヤッと笑った。

「銀の娘は危険だ。下手をすると私が払われる恐れがある。それに娘が首にかけているロザリオ・・・。」

アルベルトの言葉に反応し、レイアは胸のロザリオに手をやった。

「その娘を守って欲しいという細い1本の祈りが幾千幾万と織り込まれ、太い鎖のように絡みついた状態になっている。私でも触れれば火傷では済まないかもしれない。祈りもここまでくれば怨念のようだな。」

アルベルトはチラッとレイアの胸元を見て、口の端を吊り上げた。


レイアはクララから預かったロザリオを握りしめた。


クララ・・・。


自分を送り出すクララの辛そうな表情を思い出した。

クララは侯爵家の事情を知っていたのだろう。

そしてきっと父に脅されるなどされていたに違いない。


クララが肌身離さず持っていた大切な夫の形見を自分に預けてくれたことに心から感謝した。

そして、そのロザリオは実の家族との冷たい関係に心が凍りつきそうになっていたレイアの心に温かい光を与えてくれた。


その時、いきなり背後からドンッと体当たりされた。

不意をつかれレイアはよろけて床に倒れ込んだ。

それと同時に首に手がかかり強く引っ張られた。

「いたっ!」

チャリッという音がして、その方向を見るとソフィアがレイアの首から奪ったロザリオを手に持っているのが見えた。

「返して!」

ソフィアはレイアの言葉を無視して、アルベルトから離れるように出口の方へと駆け出して行った。


アルベルトは楽しそうに笑っていた。

そしてゆっくりと手を上げ、手のひらを逃げていくソフィアの方に向けた。

そこから黒い茨のような物が出現したかと思うと、もの凄い速さでソフィアの方へ伸びて行った。

気が付くと茨はソフィアの身体にグルグルと巻きついていた。

「いやあ、外して!」

泣き叫ぶソフィアにアルベルトはゆっくりと近づいて行った。

「来ないで!」

ソフィアは手を突き出し、ロザリオをアルベルトの方へ向けた。

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