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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第28話 聖堂

ユリアが本館に帰った後、入浴を済ませレイアは自室に戻った。


初日以外、ここに来てから離れの中でユリア以外の人間を目にしていない。

単調だが、穏やかな毎日ではあった。


部屋に戻るとレイアはソファに座り本を手に取った。

王都で流行っているという冒険小説だ。

思いのほか面白く夢中で読んでいると、気付けば時間が過ぎていた。

時計を見ると夜の11時を少し超えていた。

「あら、もうこんな時間だわ。」

本を閉じ、レイアはベッドにもぐりこんだ。


明日が約束の7日目になるけど、トーマスは今日も何も言ってこなかったわね。


そんなことを考えながら目を閉じた直後、部屋のドアがノックされた。


「レイア様、トーマスです。」

こんな夜遅くに未婚女性の部屋まで来るなど非常識なことだ。


さすがにレイアもムッとしながら返事をした。

「こんな時間にどうしたの?」

「旦那様より、今から敷地内に建てられた聖堂の方へお嬢様をお連れするように言われたので、お支度いただけますか?」

レーゲンスブルクを訪れた時から、この執事は傍若無人な欲求ばかりしてきたが、今回は酷すぎる。

「こんな時間に聖堂へ?どうして?」

「会わせたい方が今からおいでになられるそうです。旦那様からのご命令ですので、お早くお願いいたします。」


旦那様の命令・・・

トーマスの決め台詞ね。


こうなったトーマスがてこでも言う事をきかせようとしてくることは、短い付き合いでも身に染みて実感している。

レイアはため息をつきながら、外出着に着替え始めた。


レイアが着替え終わると、離れの外で待っていた飾り気のない黒色の馬車に乗せられた。

動き始めて数分もしないうちに、敷地内に建てられた古い聖堂に到着した。

トーマスの後に続き聖堂の中に入ると、そこには1週間前と同じくクルム侯爵家の面々がそろっていた。

4人とも前よりも神妙で緊張した表情を浮かべていた。


前回と異なりレイアの中でこの家族と仲良くなりたいという思いは消えており、険しい表情でルイスに尋ねた。

「こんな時間に、何の御用ですか?」

聖堂内に飾られた時計は、あと10分程で深夜0時だ。

「お前に会わせたい人がいる。あと10分程でくる予定だから、ここで待っていてくれ。」

ルイスは淡々とそう告げ、黙り込んだ。

その後広い聖堂の中はシーンと静まり返り、神聖な場所のはずなのに何とも言えない不気味さが広がった。


そして、その静寂をうち破ったのはトーマスだった。

「旦那様。私は聖堂の外の扉の前に待機させていただきます。御用が終わりましたらお呼びください。」

彼はそう言うと、スタスタと聖堂の外に出て行ってしまった。


御用が終わる・・・?


レイアがその言葉に眉をひそめた時、ガチャっと外から鍵をかける音がした。


今から誰か来る予定なのに、外から鍵をかけた?


さすがに不審に思い、レイアは訝し気に扉の方を見た。

「侯爵様。今、トーマスが外から鍵をかけたような音がしましたが、出入口が他に・・・」

あるのですか?


レイアがそう続けようとした瞬間、聖堂内に飾られた時計が0時を指し、ボーンという音が室内に響き渡った。




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