第24話 離れでの生活
ルイスたちが離れを去った後、トーマスが屋敷の中を案内してくれた。
建物自体は小さなものだったので、案内はすぐに終わった。
レイアの部屋は綺麗に整えられており、浴室にはすでに湯がはられ、いつでも使えるようになっていた。
「明日から一人専属の侍女をこちらに寄こします。こまごました事はその者に申し付け下さい。ご希望の物はおしゃっていただいたら全てご用意いたしますので、この1週間はこの館から出ないで下さい。」
「1週間もずっと?どうして?」
「侯爵様のご命令です。理由は私には知らされておりません。では、外から鍵をかけておきます。館の周りには護衛の騎士を配置していますのでご安心ください。」
トーマスは淡々とそう告げると、さっさと離れを出て行ってしまった。
外から鍵?
護衛?
安心してくださいとか言ってるけど、それって私が出て行かないように見張っているということ?
1週間ともに旅をしたが、トーマスは得体のしれない男だった。
明らかにレイアと距離を取りたがっているようだったし、町の散策をしたいなどといったレイアの希望は全て強引に潰された。
理由を聞いても今と同じように侯爵の命令で自分は知らないとしか答えない。
旅の途中も幾度となく感じたが、周囲からレイアを隠したがっているようだった。
期待していた家族との再会も全く思ってもみないものだった。
自分をレーゲンスブルクにやったのは、何かやむにやまれぬ事情があるのだろう。
本当は家族はレイアを愛し大切に思っているのだ。
そんな家族というものへの願望は無残に打ち砕かれ、もはや一刻も早くレーゲンスブルクに帰りたいと思っていた。
しかし、1週間後に誰かに会わねばここから出られないらしい。
会わせたい人って、いったい・・・?
貴族らしい教育など実の親からは何もしてもらっていないが、貴族の間では政略結婚が珍しくないとクララやエルから聞いたことがある。
もし、知らない人との結婚だったら?
こんな監禁状態にして逃げられないようにするなんて、相手はもの凄く年上とか人格がおかしいとか何か問題のある人なのかもしれない。
逃げ出したくてもこの館の周りには騎士がいるし、首尾よく逃げれたところでレイアは王都の地理も分からなければ、生活する術もない。
どうしたらいいの・・・?
エル、クララ…会いたい。
涙を流しながら眠れない夜を過ごした。




