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第五話 生誕祭

 さて、とうとうサプライズパーティー当日がやって来た。

 あれから一月、アリナもたった一月で俺と同じところまで到達し、お小遣いを貰った。

 俺は姉の趣味や欲しい物が分からないので一緒に買いに行くことにした。

 買いに行ってる間に父さん達が準備をしてくれるようだ。

 因みに、俺たちの付き添いにはセルシアがついてきてくれることになった。


 「セルシアさんありがとうございます。最初から最後まで頼りっぱなしで。」

 「良いのよ。君はまだ子供なんだから、もっと大人に頼りなさい?」


 彼女は他の人達に比べまだ若いから俺達を下の姉弟みたいに接してくれる。

 最初の人見知りをしていた時期が嘘のようだ。


 「で、何贈るか決まってるの?」

 「髪飾り良いんじゃないかと思ってますね。姉さんは女の子にしてはお洒落に興味を持ってないような気がして。

 服は母やマーガリアが買ってきてはいるんですが、母自身が髪飾りを付けないからなのか、姉さんに買ってきたことがないんですよね。

 姉さんは髪も長いし、良いと思うんですよ。」

 「確かにそっか。エリアは髪飾り付けてないもんね。そりゃ子供に買うこともないか。

 それにしても良く思いついたね。普通より無染みないだろうに。」

 「一回偵察に来た時に、それっぽい店を見つけまして。それで、どうかな…と。」

 「いいじゃん!じゃあそれにしようか。」

 「二人とも何話してるの〜?早く行こうよ〜!」

 「姉さん!ちょっと待って!」


 一応今日は建前上は、『お金の使い方の実践』となっている。だから姉へのプレゼントを買うだけじゃないのだ。

 その為、俺達は朝から色んな所に回った。

 だが、その殆どが屋台だった。

 しかも直ぐにお金を使い果たし、結局4軒目からセルシアが奢ってくれていた。

 たかだか大銅貨1枚しか無いのに屋台の物を買いまくるからこうなるんだ。


 「ねね!次は彼処行こうよ!」

 「姉さん…姉さんはもうお小遣い使い切っててセルシアさんがお金払ってくれてるんだからもう駄目だよ。」

 「心配いらないよジル。屋台くらい奢れる。」

 「だって!次は彼処行こ!」


 まぁ、セルシアなりの誕プレなんだろう。

 俺?勿論奢ってもらってないよ。

 お昼ご飯は食べてから来たからね。

 屋台の物なんて食べないさ。

 この世界だと衛生面も怪しいしね。


 この世界は変な事に誰でも彼でも魔術は使えないらしい。

 その証拠に、屋台のおじさん達は火をつける為に火打ち石を使ってた。まぁ、多分裕福な家じゃ無いと魔術を学ぶのは無理なんだろうな。

 マーガリアは町娘だったらしいが、多分地主の子供とかで割と裕福だったんだろうな。

 裕福で、魔術のやる気があって、更に適性が必要。

 この世界で魔術が浸透しにくい理由はコレだな。

 つまり、割と俺は理想的な生まれ方したみたいだな。


 そしてその後、満足した姉を連れて俺は色んな所に向かった。

 正直髪飾りの店に寄るように提案するのは抵抗があったのだが、セルシアが『私が買う予定あるからついてくる?』みたいな感じに上手くやってくれたお陰で無事に買えた。

 本当にセルシアには感謝しかない。





 その夜、俺達が家に帰ると同時にパーティーが始まった。

 因みに、俺も驚いたのだが、セルシアから情報を聞きつけた二人もパーティーの準備をしてくれたそうで、『バスターズ』の全員もパーティーに参加していた。


 「ただいま〜」

 「「誕生日おめでとうアリナ(姉さん)!!!」」

 「え?え!」


 アリナは最初凄くびっくりしていたが、終始とても楽しそうだった。


 「アリナ、これは父さんからだ。」

 「わぁ〜!木剣!」

 「正直、女の子に剣を教えるのはどうかと思ってたんだが、ジルは興味なさそうだし、アリナはすごい興味を持ってたからな。

 明日から本格的に稽古をしようか!」

 「やった!ありがと、お父さん!」

 「これはお母さんからね。」

 「ズボン?」

 「剣をやるなら、スカートじゃだめだからね。

 このズボンを履いて思いっきりやりなさい!」

 「ありがとう、お母さん!」


 そして、マーガリアからはハンカチが渡され、ついに俺の番が来た。


 「じゃあ姉さん。最後のは僕から。」

 「え!ジルもあるの?!」

 「はい。これですね。」


 俺が買ったプレゼントは小さなピンだ。

 ホントなら髪の後ろにつけるようなものを想定していたんだが、予想以上に高くて…

 結局、ピンになったのだ。


 「これは…セルシアお姉ちゃんが寄ってたお店の?」

 「どう?もしかしてこういうの興味ない?」


 アリナはしばらく見つめたあと、母につけてもらった。


 「どう?似合うかな?」

 「すごく。」

 「似合ってるわよ〜」

 「ああ。」

 「へへへ…ありがとう!ジル!」


 成功して良かったぜ。

 そんな感じてパーティーは成功に終わった。



 …だが、まだ俺の手元には箱がもう一つある。


 姉が母さんと一緒に貰った物たちを部屋に片付けに行った時に俺はセルシアに声を掛けた。


 「セルシアさん。ちょっと良いですか?」

 「どうしたの?」


 俺は箱を手渡した。


 「これ、今日までのお礼です。良かったら受け取ってください。」

 「え?!」


 正直、セルシアさんにはお世話になりすぎた。

 親からだけじゃなく、俺もお礼しないといけない。

 セルシアの箱にはアリナのピンとはまた別のピンが入っている。

 アリナのは髪色に近い黄色っぽい白色のピンだが、セルシアのは、黒っぽい紫色の髪色に近い黒っぽいピンだ。

 髪と同じ色のピンはもしかしたらいけないのかもしれないが、俺はそんなことは知らん。

 それに、たとえ問題でも、素材が良ければ何でも合うのだ。


 「え?ほんとに良いの?」

 「はい。」

 「じゃあ…ありがとね。」


 セルシアもその場で身につけた。

 その時初めて、セルシアが帽子を取った。

 帽子でよく分からなかったが、髪はウルフカットみたいな形してたのか。


 「どう?似合う?」

 「はい。とっても!」


 正直、歳が釣り合わないのは分かってるが、かなりタイプな顔してる。

 あ〜ぁ、前世の歳合わせたら父さんと同じくらいの年になれるだろうに…

 ちょっと残念だ。


 そのやり取りを残りの人たちが周りでニヤニヤしながら見ていた。


 「いや〜でも、久々に見たな。セルシアが帽子取るの。」

 「そうだな。あいつが帽子取るのは殆どない。直ぐに着けた感じ見るに、相当嬉しかったんじゃないか?」


 これにて、本当にパーティーは終了した。

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