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第十三話 依頼

 俺達はブルケルマに着くまでに何度か食料の買い足しをしていたのだが、そのついでに情報を得る為にギルドや街の人達の会話に聞き耳を立てたりしていた。

 俺達がブルケルマに近づくに連れ、ギルドには度々変な依頼が紛れ、主婦達の会話には物騒な事が増えていた。


 「皆、彼処の孤児院が最近潰れたの覚えてる?」

 「そうね。お爺さんが亡くなっちゃったもんね。」

 「それがどうかしたの?」

 「お爺さんが亡くなったその日から彼処の子供たちが全員消えちゃったんですって!」

 「何処かに引き取られたとかなんじゃないの?」

 「それがその日の夜に皆消えちゃったらしいのよ!行方はだ〜れも知らないの。」

 「も〜やだ〜!私が怪談苦手なの知ってて言ってるでしょ〜」


 『隣町からの依頼

 〈依頼内容・捜索〉子供が行方不明。

 〈詳細〉…』


 子供の特徴や関係は全くない。

 だが、自分の今の立場が子供であるせいでこう言うのに過敏に反応してしまう。


 「ジル、貴方最近随分周りを警戒してるわね。」

 「何だか物騒な話題が増えてきましたからね。怖いんですよ。」

 「多分、アレの正体は私達を襲ったような連中よ?」

 「誘拐と販売ってことですか?」

 「子供なら高くわ売れる。」

 「そう言えば、前々から思ってたんですけど何処か分からない場所が出身の割に詳しいですね。」

 「…まぁ、ちょっと家出したことがあってね…その時に街で過ごしたから…」

 「…で、街の名前は…」

 「勿論知らない。」

 「はぁ…」


 そうして話してる内にブルケルマに到着した。


 「さぁ、さっそく紹介状を持って行きましょうか。」


 書いてもらった地図を見る限り、この街から丘の方面にその人の家はあるらしい。


 「…街の中心部からだいぶ離れてますね…」

 「彼処?変人そうだね…」

 「変人ですか?」

 「変な所に住むのは変人っておばさん達が言ってた。」


 …つまり主観だな。ちっとも当てにならん。


 俺達は馬で丘を上がりそこにあった一軒の家の前まで来た。

 立派な家だった。家と呼ぶのが正しいのか分からないが、普通の町中に比べてかなり大きかった。

 何というか、田舎にある二階建て見たいな感じである。

 広い二階建てだった。

 俺達はドアノックを叩こうとしたのだが、扉の前には立て看板があった。


 「…用のある方は、夜に再びお越しください…だって。」

 「したかないですね。じゃあ、また後で来ましょうか。」


 俺達はその間に宿を取り、馬を預け、食事をして、軽い睡眠を取った。

 そして、酒場がうるさくなった頃再びその家を訪れた。


 「…どちら様かな?」

 「夜分遅くにすみません。クリスのバーのマスターから紹介状を持ってきました。」

 「…見せなさい。」


 中から出てきたおじさんはその手紙を一読すると、目に光が灯り直ぐに僕たちを家の中に入れてくれた。


 「君たちはお金が欲しくてその為に依頼を受けたいんだってね。」

 「はい。」

 「熱心なことだ。じゃあ、君達にはそれぞれ一つ。合計二つの依頼を頼みたいんだ。」

 「一人一つですか?」

 「まぁ心配は要らないよ。子供でもできるさ。」

 「まず、小さい君に頼みたいのは『上級回復魔術』のスクロールをゲットすることだ。」

 「スクロール…?」

 「スクロールっていうのは、魔力を通せばそのまま魔術を使える特殊な物だよ。

 君にはそれを持ってきてほしいんだ。」

 「そして、エルフの君には『血の薔薇』を取ってきてほしいんだ。」


 お爺さんは両手を挙げていった。


 「報酬は金貨10枚!」

 「え?!」

 「何ならもう少し色をつけても良い!」

 「じゃあや…」


 俺は慌ててメノの口を塞いで言葉を遮った。


 「今日はもう遅いので、一度この話は持ち帰り、再度色々考えてから受けたいと思います。」

 「…そうか。良い返事が貰えることを期待しているよ。」


 俺達は一度宿に帰った。


 「何で彼処で即決しなかったの?金貨10枚なんてあったら何でも出来たのに!」

 「…貴方は馬鹿ですか?あんな良い話は基本的に何か裏があると思いなさい。」

 「私は馬鹿じゃない!

 …で、裏って何。」

 「それは僕にもわかりません。」

 「じゃあ、別に良いじゃない!」

 「…ハァ…ここまで言って分からないんですか…もしかしたらあのお爺さんは僕たちを利用したり、売ったりしようとしてるかもしれないってことですよ。」

 「何でよ。だったらさっきの時に私達のことをつかまえれば良かったじゃない。」

 「それは、僕にも分からないですけど、普通に考えて、あんなに金があるなら僕らよりももっと優秀な冒険者とかに依頼すればいいじゃないですか。」

 「分かってないな〜!私達に依頼したのは私達がそいつ等より優秀って気が付いたからよ。」

 「…ハァ…」

 「なによ…」

 「…普通そんな馬鹿みたいな事はあり得ません。」


 ここからメノはブスッとして話さなくなった。

 そして、結局話にならなかったので一旦話は中断し、その日は眠りについた。


 しかし、日の出から一時間前くらいに目が覚め、用を足しに行こうとした時、部屋の中から寝息の音が消えていた。

 最初はメノがもう起きているのかとも思ったが、荷物が明らかに減っていたので俺は急いで準備し、あのお爺さんの元へと急いだ。


 「…何だい…あぁ。君か。」

 「ゼー……まさかとは思いますが……連れが此方に来たり……してませんよね……?」

 「あぁ。今から…2時間前くらいに来て出発したぞ。」

 「…ありがとうございました。」

 「じゃあ、君は『スクロール』頑張ってね。」

 「ははははは…頑張ります…」


 そうして俺は一旦宿に戻った。

 俺も急いで準備をしなくてはならなくなったわけだが、文句がどんどん口に出てきた。


 「ふっざけんなよ!あの女!勝手なことしやがって!しかも、あの爺の言い方だと俺も依頼を受けることが決まってたみたいじゃねえか!勝手に決めやがって!マジでくたばれ!そもそもね!

……………………!………………!…………!」


 ここまでイライラしたのは初めてだった。

 だが、こうなったらちゃんとやって金貨10枚を確実に集めてやる。

 だが、俺が依頼されたのは教国の魔術『回復魔術』。

 どっちにしろ、何をするにしても教国に行かなくては始まらない。

 教国はトリニアの北側の国。ここからだと、最低でも5か月はかかる。


 「チッ…面倒だな…まぁ、行くしかないか。」



 俺は運よく残ってた馬を使って教国に向かった。

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