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第十二話 街を目指して

 その日は盗賊のねぐらで過ごした。

 盗賊のねぐらは思ったより過ごしやすく、まぁギリギリ許容範囲だった。

 ちょっと臭かったけど。


 次の日の朝、俺は再び出発しようとしていた。


 「ねえ、ジル。聞きたいことがあるんだけど。」

 「何ですか?」

 「里ってどっちの方向にある?」

 「里…?」

 「そう。ハイエルフの里。どっちにあるの?」

 「…ハイエルフって何ですか?エルフとは違うんですか?」

 「…え?知らないの?」

 「ハイエルフ何て聞いたことないですね。」

 「じゃあ里は?」

 「勿論知りません。」

 「嘘…」

 「ホントです。」


 メノは膝から崩れ落ちた。

 ここまで『チーン』という擬音が合う状況は初めて見た。


 「終わった…帰れない…」

 「あの〜落ち込むのは早いですよ。僕以外の誰かが知っているかもしれないですし。

 とりあえず、街に行きましょう?

 僕も今から街に行きますし、一緒にいきましょう?」

 「…街はどっち…」

 「歩けば着きます!」


 俺は凄く『此奴について行って大丈夫か?』みたいな顔をされた。

 とても心外である。


 そっから俺達は再び歩き始めた。

 途中、俺の体力が切れて止まることがあったが、焦れったかったのか、体力が切れたらメノがおぶってその間も進んでくれるようになった。


 そして昼頃、あの事件があった道に戻ってこれた。


 「…やっぱり皆残ってないか。」

 「ここで逸れたの?」

 「はい。でも、多分街の方に居ると思うので、行きましょう。」


 多分街の方に行けば皆が居る。そう信じて俺は()()()に向かった。


 だが、予想は違った。

 まず、手がかりがない。圧倒的手がかり不足。

 メノが俺の保護者と間違われるわ、前に泊まった宿含め約1週間の探索したが、家族の情報どころか、ハイエルフを知っている人物すら居なかった。


 「はー…」

 「…あの、ほんとにハイエルフって居るんですよね?」

 「いる。絶対居る。だって私が居るもん。

 それこそ、君の家族もほんとに居るの?」

 「居ますよ。」

 「「…は〜…」」

 「次の街に行きますか。」

 「君の家族はどうするのさ。」

 「いや。多分あの街には居ません。」

 「何でそう言い切れるのさ。」

 「僕が落ちた崖、アレ、上から見ると底が見えないんですよ。

 しかも、僕は魔法を最大限活用して何とかしたんで、普通の人から見れば、死んでてもおかしくない様に見えるんですよ。」

 「でも、自分の子供なら探しに来ない?」

 「…実は僕、拾い児なんですよ。」

 「え…」

 「あの馬車には病人もいたし、本当の子供も居ました。しかも、あの時は盗賊に襲われた直後です。

 普通の人なら、我が子でもない子供の為に家族を危険には晒しません。」

 「…ジルは、そんな人の所に何で戻りたいの?」

 「…実の子じゃ無くても、僕は5年以上育ててもらってます。それは、もう『家族』なんですよ。

 それに、彼らは一度たりとも僕を『家族』として見なかった事は無かったです。」

 「ふ〜ん…ま、何でも良いけどね。」

 「それにしても…ここの物価が高すぎるせいで盗賊達の資金がもう底をつきそうなんですけど。」

 「ぇ゙…どうするのさ。」

 「…働くしか無いですよね…」

 「そんな!仕事をしてる時間はないよ!」

 「大丈夫です。宛がありますから。」


 俺達は冒険者ギルドに向かった。

 受付の所にはお姉さんが居たので声をかけた。


 「ようこそクリス支部へ。」

 「冒険者登録をしたいんですけど。」

 「はーい。一人ですね。」

 「いえ。2人です。」

 「は~い。じゃあ此方にどうぞ〜」


 俺達はカウンターの端のほうでカードに必要事項を書き、衛生面が怪しそうな針で指を差し、血を垂らして冒険者カードを作った。

 因みに手数料も取られた。

 …チッ!金欠なのによ!


 「これで登録完了ですね。3年毎に更新が必要ですので、お忘れなく。

 あっ、パーティーって組まれます?」

 「組みます。」

 「分かりました。解散の際にはギルドに提出が必要ですのでそちらもお忘れなく。

 じゃあこの書類に記入してください。」


 俺達は無事にパーティーを組み終え、E級からのスタートとなった。

 そして、俺達は依頼票の前に立った。

 E級が受けられるのはD級の依頼まで。

 俺が狙ってたのは護衛依頼。移動しながら金も貰える。最強!

 だが、それはB級からだった。


 「…次はどうする?」

 「…これなら、ギルドを挟まずに直接交渉した方が良いかもしれませんね。」

 「…誰と?」

 「勿論、商人です。」


 だが、俺たちにはつてが無かった。

 …しょうがない。この世界で通用するかどうか分からないが、アレをするしか無いな。


 その日の夜、俺達は酒屋に向かった。

 だが、店の外で既に騒がしく、ビビった俺達は数軒離れたところのバーの様な所に入った。


 其処にはお客はおらず、ただ一人の老人が立っていた。


 「いらっしゃい」

 「アルコールが無いのあります?」

 「なら、ミルクなんてどうかな?」

 「じゃあそれで。」

 「…お二人さん方は親子じゃ無さそうだね。冒険者か何かかい?」

 「そうですね。」


 そこからは沈黙がひたすらに続いた。

 メノも気まずかったのかソワソワし始めた。

 俺としてはもう少しこの優雅な雰囲気を楽しみたかったのだが、しょうがない。

 俺は話を切り出した。


 「…マスター。この辺で護衛依頼を出してそうなキャラバン知ってます?」

 「…良いや、知らんの…お二人さんが冒険者ならギルドを使えば良いんじゃないのか?」

 「ランク的にあっちを挟と時間がかかって面倒でしてね。纏まった金が欲しいし、同時に移動もしたいんでキャラバンの護衛依頼が欲しかったんですよね。」

 「…お二人さんの目的地はアガルタリアの方かい?」

 「いえ。逆です。」

 「…それなら、言い当てが有るよ。」

 「本当ですか?!」

 「あぁ。私の知り合いでね。依頼を受けてくれる人物を探していた者が居るんだ。

 彼のところまで行けば、良い値で依頼してくれると思うよ。」

 「その方はどちらに?」

 「ここから馬車で2ヶ月ほどかな。」

 「だとすると…『カタ』辺の人ですか?」

 「いいや。『ブルケルマ』だ。」


 場所が分からなかったので、俺は大まかな位置を教えてもらった。


 『ブルケルマ』…俺のルートとは少しズレた位置にある街だな…けど、迂回した所で精々馬車でプラス1.5ヶ月。更に依頼内容によっては多くてもプラス1ヶ月くらいか?

 まぁ、纏まった金が手に入るならそれくらい許容範囲内だな。


 俺達は情報量として多めにお代を払い、更に店主が親切心で紹介状を書いてくれた。


 「それで、結局どうするの?」

 「とりあえず、適当な依頼をして金を貯める。

 それで馬を1頭買って、それで向かいましょう。」


 俺達はその後約一ヶ月D級の依頼を受け続けC級一歩前くらいの状態にし、金を十分貯めて馬も買った。

 食料は最低限だけ買って物価が安い街で都度調達することにした。


 「さぁ、出発です。」

 「いざ、『ブルケルマ』へ!」

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