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プロローグ

 ある日の夜、とある夫婦が獣馬に二人乗りで帰宅している途中の出来事だった。

 その夫婦の家に帰るためにはとある森を切り開いて作られた道を通らなければならなかった。

 その夫婦にはまだ一つに成ったばかりの赤子がおり、仕事の関係でその娘をメイドに任せ家を空けていた。

 しかし、家を出てから2日後、その子供が熱を出したとの文が届いた。

 慌てた二人は速攻で魔物退治の仕事を片付け、大急ぎで家に帰る途中だった。

 そして、森に入って直ぐそこらからウウウゥ゙ゥ゙ゥ゙という音が聞こえた。

 追いつかれると厄介なため二人は馬を急がせた。

 だが、いつの間にか彼らの馬は森狼(フォレストウルフ)に追いつかれてしまい、囲まれた。

 前の三匹と、後ろの三匹。横の森にも一匹ずつの計八匹に囲まれた。

 いくら力が強い獣馬でも、森狼八匹は分が悪い。

 それに、そろそろ森を抜けて村に通ずる道に出てしまう。

 村に森狼を連れ込むわけには行かない。

 夫婦は戦うしかなかった。


 「チッ、もう少しで森を抜けるのに!エリア!魔法の準備を!」


 そう言うと男は馬から降りて腰の剣を抜き、前の森狼に斬り掛かった。


 「分かってるわよ!

 …水よ、球となりて、敵を撃て『ウォーターボール』!」


 水の球は後方に居た一匹を撃ち殺す。

 残りの二匹が襲ってきても、二匹とも獣馬に蹴り飛ばされた。

 その後、二人は何事もなく森狼5匹を倒し、残りは逃亡した。


 「良し。さっさと帰ろう。」

 「…ちょっと待って…」

 「何だよ!早く帰らないと…何処見てんだ?」

 「…道の彼処、何か…籠っぽい物見えない…?」

 「…籠?そんなもんどうだって良いだろ、それにどうせ彼処は通るんだ。その時に見ればいい。」


 そして二人はその籠がある所まで来た。


 「「!」」


 そこで二人が目にしたものは籠は籠でもただの籠ではなかった。

 その籠には、子供が入っていたのだ。


 「こ、子供?!」


 それを見たエリアと言う女性は獣馬から降りてその子供に近づいた。


 「…可哀想に。」


 この辺で捨て子があるのはとても珍しい。

 だが、捨て子は必ずと言っていいほど亡くなっている。

 エリアがその子供を埋める為に抱き上げた時、エリアは衝撃を受けた。

 まだその子は暖かく、脈がはっきりとあり、息もしていたのだ!


 「バリ!この子、生きてるわ!」

 「ホントか!」


 だが、二人は同時に困った。

 亡くなっているならともかく、生きているこの子をほっとくことが心優しき二人には出来なかった。


 「…ねぇ、バリ。…私、この子を放って帰れない!」

 「…どうしたいんだ。」

 「…この子、家の子にしない?」

 「…ハァ。…お前は昔っからそうだよな。

 …でも、俺はお前のそういう所に惚れたんだ。」

 「じゃあ…!」

 「あぁ。まぁ生きてる子供を見捨てたら、気分良くないしな。それに、男の子も欲しいって言ってただろ?

 いいよ。その子は家の子にしよう。」


 そうして、一人の男の子が夫婦に拾われた。

 その子供の名はジル・アストレア。

 この物語の主人公である。


 しかしこの子供、実は普通の子供ではなかった。


 「〜〜〜〜」

 「フフッ寝言でなんか言ってるわね。」


 彼らには理解できない寝言。

 それは日本語である。

 彼の前世は日本人であった。そして、その人生はぶっちゃけ良くはなかったが、人間として終わってる人生ではなかった。

 彼の享年は25歳。死因は頭部を強く打ち付けたこと。

 生まれた頃から身体がとても弱く、大人になった後、病気が悪化し、病院内で血を吐き、ぶっ倒れた時に頭のぶつけどころが悪く、そのまま死亡。

 うん。せめて病死であるべきだと思う。


 人から見た彼は、とても物知りな人物だったそうだ。

 長らく安静状態だった彼は本にはまった。

 そして膨大な時間で沢山の出来事を培った。

 そんな彼が特に気に入った本はライトノベルだった。

 彼も厨二病の少年達のように、大人になっても子供心を忘れられない大人達のように、異世界転生に憧れた。

 彼はこの世界では満足に過ごせないことの方が多かった。

 それもあってか、彼は転生に憧れたのだ。

 彼には夢があった。


 『一日中走り回っていたい』

 『大勢の友達と話したい』

 『()()()()()がしてみたい』


 彼の願いはそんな些細なことの詰め合わせだった。

 だが、今世の彼は違う。

 彼の望んだ普通の生活を彼はできる。

 今世の身体は別に病弱じゃない。


 彼にはチャンスが回ってきた。


 彼はまだ目覚めていない。

 彼が目を覚まし、異世界転生したことに気がつくのは次の日の朝である。

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