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第3話 大学校 魔法の授業 その1

ヴィッセンスブルク大学校 24号館 202号教室

- 第6紀 363年2月9日(土曜日)2刻



「さて,壁守育成課程の皆さん,おはようございます.今日から“基礎魔法技術”の授業をはじめます.この授業は必須科目で,しかも,他の魔法系の授業の“前提授業”になっています.合格しないと卒業どころか,他の授業も受けられませんので,理解の上で ぜひ受講お願いします.期末に1人ずつテストをします.合格する方法は“魔法を使うこと”,です.」


「はいっ!もう魔法を使える人は,この授業をうけなくていいのですか?」

「自信があれば,テストだけ受けてもらえればかまいませんよ.ただし,この授業は魔法を使えるだけなら1単位,上手に使えれば2単位,完璧に使いこなせれば3単位を与えます.この授業で得た単位数によって後の授業のレベル分けがが決まりますので,その辺りはご理解くださいね.」

ザワザワ.

「“上手”,“完璧”って,あいまいだよ.と言うことは,授業に出て,先生に気に入られた方が得だということだよね?」と,エリーは二人に聞いた.

「そういうことですの.」と,アンジェは同意した.

「わたし ちゃんと でる よ.」(魔法 どれだけ できる か,ちょっと 心配 だし.)と,リエリはなんとなく自信が持てなかったため,ちゃんと受けておこうと考えていた.


「はい,そろそろ雑談はいいですか.この授業は皆さんが受けて来た初等教育のばらつきをなくすために,一から教えて,できていることを確認します.最初は簡単ですが,後半は大学校らしいレベルになりますので,その辺もご理解お願いします.後で,聞いてなかったとか言わないでくださいね.」

ザワザワ.

「はい!静かに!」


「“魔法”とは,魔力,つまり“マナ”を源泉として,それを消費することでいろいろな現象を引き起こす技術のことを言います.魔法を使える人々のことをマギアス(魔法使い)と呼び,使えない人々をマグニル(非魔法使い)と呼びます.」


マギアス(魔法使い)マグニル(非魔法使い)との,大きな違いの一つは“魔力励起(マナ アーレグング)”できるかどうかです.人類種は脳のすぐ下に魂の入っている“宿魂晶(ズィーレンユヴェル)”を持っています.宿魂晶に“魔力(マナ)”を込めると魔力励起できます.魔力励起しないと自分の体の外側で魔法を発動することができません.こどもの頃,自分一人でできた人もいるでしょうし,大人の助けを経てできるようになった人もいるでしょう.さて,みなさんやってみてください.」

「はじめからって,そこからですの?」


「できたら,さらに魔力を込めて,第二(ヅヴァイテ)励起(アーレグング)と,賢者(ザーゲ)級の人は第三(ドライテ)励起(アーレグング)まで,やってください.」

エリーはまじめに第一励起から第三励起までやって見せる.それを見て,リエリは

(うん,魔力 励起は できるよ.さすがに わたし でも.)

とはいえ,リエリは術者(マギア)級なので,第二励起までしかできないが,第二励起特有の光輪(ヘイロー)を頭の上に光らせた.

「先生!第一励起ができません.励起すると勝手に第二励起になります.」と,クロエが発言した.

「ラ・フォンさん,それは問題ないですよ.魔力量の多い人は第一励起だけする方が難しいのです.」

エリーは遊んでいるようにすごい勢いで第一励起から第三励起を切り替え,そのたびに第二励起の光輪(ヘイロー)と第三励起の光翼(フィーネル)が現れたり,消えたりしている.それを見ていた先生は,

「エインズワースさんはすごいですね.賢者級なのに,第一励起までこなせるなんて,魔力制御がうまい証拠です.」

なお,第一励起は,わかりにくいものの頭部全体がボヤッと光っている.


「次は,マナの源泉である宿魂晶からマナ伝達系を経てマナ腺(マナドリューゼン)から魔力を出します.一番使いやすいマナ腺は指先ですね.まずは両手10本から,あっ,エルフの方は12本から,同時に魔力を出してみてください.この教室のカーテンは魔力が当たると光るようになっています.」

すると,アンジェが振り向いてリエリの指を見た.

「わたし 10本 だよ.」と,言い,リエリは逆にアンジェの指を見ていた.ひぃおばあちゃんと一緒だと懐かしく思っていた.

「ア・ン・ジェ!」

「ご,ごめんなさいなの.ちょっと,気になっただけなの.」


ちなみに,1日12刻だったり,数字の数え方が12まで特別だったりするのはエルフ由来で,13から3と10みたいに数えるのは,その後をどう数えればよいのか困ったドワーフたちがそう呼んだのが由来である.エルフたちは144まで平気で12進数で数を数え,他種族にわかるように10進数になおせるのである.エルフたちは144より大きい数はあまり興味がない.144恊歳が成人なので,成人になるまでは歳を数えるがそれ以降はどうでもいいのである.



「そして,普通のマギアスは親指の付け根が一番大量にマナを出せるマナ腺です.ここもみなさん,大丈夫ですね.それ以外のマナ腺はどうですか? 足の親指の付け根は杖を使う人は大丈夫ですよね.足の指,額,蟀谷(こめかみ),頭頂点,上頸部,胸腺,鳩尾(みぞおち)(へそ),そして,性器ですね.全部使えるか確認してみてください.」

ザワザワ.

「さすがに,今ここでするのはどうなのかな?」

「全部 できた よ!」

「「「リエリ!」」」

「え?…あっ!」と,リエリは気づいて顔を真っ赤にした.



ヴィッセンスブルク大学校 24号館 202号教室

- 第6紀 363年2月14日(土曜日)2刻



「マナを指先からまっすぐ出すのは簡単です.指先から横方向に輪のように広がるようにとか,球を描くように広がるようにとかが,できるようにならないといけません.」


「マナ腺の開路を全開にするとまっすぐ進んで,絞っていくと,徐々に広がっていって,楕円になり,球になり,一番少なくすると,輪になり,止まります.これもやってみてください.これの難しいところは,マナ腺の開路とマナ流量を別々に制御しなければならないところです.下手な人は,マナ流量を多くすると勝手にマナ開路が開いてしまって,まっすぐにしか飛ばないとか,そういう制御不可能な状態になります.指全部で開路と流量を調整して,いろいろやってみてください.」


「次に,これの組み合わせですね.法印になります.まずは“指向法印”から行きましょう.人差し指でまっすぐ目標を指しマナ腺を全開,親指を上に立ててマナ腺は球,中指から小指は合谷*を指してください.最初は親指からマナを流して球を作って魔法陣と連結し,その後,人差し指からマナを流して,魔法を標的に誘導する.これは簡単なのでやったことがあると思いますので,どうぞ.」


「接触法印は魔道具や魔法陣などに接触させて発動させるだけなので,これも簡単ですね.手の指の代わりに足などの他のマナ腺を使うことがあります.掌握法印は,杖や箒の制御用で,受掌法印は魔導書の制御用になります.」



ヴィッセンスブルク大学校 24号館 202号教室

- 第6紀 363年2月24日(土曜日)2刻



「昔々,杖がなかったころは,魔法は全部法印で制御していたのです.それが,立指法印,三方法印,掌底法印,発散放出法印,走輪法印,循輪法印,前面三角法印などです.これらを使えば,杖とよく似たことができますが,杖を使った方が簡単です.」


「しかし,杖を持っていない時に,これらは使えるので練習しておくことは大切です.万が一の時に,杖がなくて魔法が使えないと,困りますよ.では練習してください.特に三方法印を使いこなせると,かなりのことができますが,この三方法印はとても制御が難しく,先生でも四苦八苦するほどです.」

「こんな感じかな?これでどうよ.」

エリーは難しいと言われた三方法印を両手で駆使して,紙でできた小鳥を魔法で空中に何匹も飛ばしていた.左手は上にピンと伸ばして,固定しており,魔力の流す量をコントロールして,小鳥をくるくる回す力場を形成していて,右手で次々と新しい紙小鳥をその力場に追加していっていた.もうすでに20羽くらいはくるくる回っていた.

この紙小鳥は法印練習用の魔道具なのだが,普通1つを飛ばして練習するようなものだった.先生はその様子を,口をぽかんと開けて見ていたが,

「エインズワースさん!あなた天才ですか!」と,あきれたように褒めていた.


隣でリエリは悪戦苦闘しており,両手を三方法印にして,変な踊りを踊っているようにしか見えなかった.

「リエリ,手を動かして制御するんじゃなくて,指に流す魔力量を調整するんだよ.そうすると簡単だよ.」

「6本 の どの 指に どれだけ 魔力を 流す かを 考えるの, 頭の 回転が 追い付か ないよ.」

「そんなことできるのはエリーぐらいなの.」

普通はそういうものである.



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