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第9話[涅槃]罰の炎に焼かれて。

挿絵(By みてみん)


 気付くとそこはお菓子でできた巨大な教会だった。

 頭が働かない。空から叩きつけられて、頭が砕けたからなのだろうか?

 私は教会の入り口に突っ立って、ぼんやりとしていた。


挿絵(By みてみん)


 傍にはカンナが座っていた。

 カンナは私の方を見ていない。教会の檀上の方を見つめている。

「カンナを忘れたい?」

 私が何度も口にした言葉を、カンナはオウム返しのように口にする。

「……あんなことするくらい、好きだったのに?」

 あんなこと?

「……………………あ」

 私の目の焦点が合って、壇上にいる二人の女の子をとらえた。

「良い時も悪い時も」

「富めるときも貧しきときも」

「病めるときも健やかなるときも」

「死がふたりを分かつまで――」

「いいえ」

 "美雪"はカンナの顔にそっと触れる。

「死んでもずっと一緒でしょ?」


挿絵(By みてみん)


 "美雪"は、カンナの額にそっと口づけをした。

「私とカンナの結婚式ごっこ」だ。

(そう、私は本当にカンナのことが好きで、好きで……好きで……)

 はっとする。

 気付くと私は、壁の巨大な十字架に縛られていた。

「ひっ――――!」

 縛り上げられた私の事を、カンナが見上げている。

 そしてその目から真っ赤な涙がこぼれていた。

「美雪ちゃんがそう言ったんでしょ?」

「いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

 身体がカッと熱くなる。何事かと思って腕を見ると、体中に"くち"が現れていた。

 その"くち"たちは私の声で叫んだ。

「「「「「私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる。私はカンナを愛してる」」」」」

「いやあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 私は絶叫し、強い罪悪感の炎に包まれた。


挿絵(By みてみん)


 カンナ、あなたは私のもの。

 ずっと私だけを見てればいい。


 私はなんで、カンナにあんなことをしちゃったんだろう……。

 カンナは嫌がっていたのに。

 私はカンナの事が欲しくてたまらなくて……。

 あんなことをして、追い詰めて、

 カンナを死なせてしまったのだ。



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