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第1話 遠野美雪は片思いの恋人に殺された。

挿絵(By みてみん)


 死んだはずの蓼原たではらカンナが私の目の前に現れたことに気付いた時、私の首はもう彼女の手で切断されていた。

 血の雨が降ってきて、目の前にいるカンナの白い髪と肌を赤く染めている。

 私の視界からは見えないけれど、きっとこの血は私の首から噴き出している血に違いない。

 私の顔を覆うその手から伝わる体温は、間違いなく私が知っているカンナのぬくもりだ。

 一年前、失ったはずのぬくもりだ。


 ――私はカンナの事を忘れたかった。

 ここから遠く離れた高校を受験して、嫌な思い出の染みついたこの町から逃げて、カンナとの思い出をすべて捨ててしまいたい。

 最低な自分の事を、もう思い出したくなかったから。


「そんなの、許されない」


 なぜか私の目に、カンナが腰にぶら下げる黒いウサギのマスコットが目に入った。


挿絵(By みてみん)


 いやに低い声だったけど、その声は間違いなくカンナの声だ。

 その声が耳に入った途端、陽だまりのように暖かく、私に笑いかけてくれるカンナの笑顔が鮮明によみがえった。

 だけどいま目の前にいるカンナの笑顔は、まるで氷のように冷たかった。

 気付けば血の雨なんかもう降ってなかった。

 私の視界は、ただ目の前にいるカンナの冷たい顔でいっぱいになっていた。

「……………………カンナ?」

「迎えに来たよ、美雪ちゃん」


 遠野美雪は、死んだはずのカンナに殺された。


挿絵(By みてみん)

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