第4話 友達ができました
「すまない、魔力切れでもう生成できないから休ませてくれ」
結局ヴェルトロは同じカレーを鍋で10杯ほど食べた。
((ム、そうか…記憶生成には魔力が必要だったか。
どれ、我の魔力を分けてやろう。ついでに身体汚れておるから浄化魔法で…))シュゥゥン…
「!こんなことも出来たんだな。風呂なんて出せなかったから助かるよ」
((良平…お主の魔力量、相当低いがレベルは幾つなのだ?))
「1だ」
「イチィ!?」
思わずヴェルトロから声が出た
((2年も迷宮におってなんで1なのだ…!?))
「仕方ないだろ…強くなろうにも迷宮にはモンスターなんて居ないんだ。全て死体だったんだたぞ…」
((マジか…まぁ千年前から手付かずだから当然か…
ようし、良平、レベルを上げるぞ!))
「レベル上げ?どうやって…?」
((ここにうってつけの相手がおるではないか!))フフン
「いやいや俺死ぬって…それに勇者でも傷一つつかんのにどうやってダメージ与えるんだ?」
((もちろん我は攻撃せんぞ?まぁ細かいことは気にせず
かかってくるがよい!))
「…。無敵とはいえ、無抵抗の相手を撃つのは抵抗があるが
好意に甘えよう。」ジャキン!
アイテムボックスからグロックを取り出し
ヴェルトロに向けた。
((ちなみに額の眼が弱点だからそこを狙うとよいぞ))
「おお…じゃぁ、言葉に甘えさせてもらうぞ?……(すまない)」
ビシッ!
((どうだ?))
「………」
「だめだ、上がってないな…」
((我も小石が当たった程度の間隔だな。ちょっとその武器見せてくれぬ?))
ヴェルトロは銃を受け取ると、髪の毛を器用に操作し数秒で銃を分解してしまった。
「な!?予備知識も無しに!?」
((ふむ、コンパクトだが、異世界の銃というのは威力の割に複雑な構造なのだな。
魔法ではなく火薬の爆発を使って弾を飛ばすのか…
弾頭は…?フム、柔らかすぎる。どれ、我の爪を…))
ヴェルトロは爪先を少し切り落とし、それを弾頭の形に加工した。
((弾頭を詰め直して…、ほれ、これなら大概の魔物を貫けるだろう。この弾を記憶しとくと良い。))
「あ、ありがとう。しかし無敵魔王の素材を使った弾丸とは、
国がひっくり返るレベルなんじゃ…?と、とりあえず生成してみるぞ。」 シュン!
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レベルが上がりました。
――――――――――
「!?」
「レベルが上がった!?どういうことなんだ?今まで生成してきてもレベルなんて…。」
((もしかしてお主、この世界の物を生成した事が無かったのか?今までのお主の生成は結局、この世界の前に経験してる物でしかないから学習しようが無かったのだろう。))カチャカチャ…
「」スン…
((ま、まあその辺の石や骨を生成しようなんて思わぬもんな!仕方ないしかたない!あっ))カチャカチ…
「ん?どうかしたのか?」
((小さいバネがどっかいっちゃった…))
「…」
結局俺はもう一丁銃を生成した。
((すまぬすまぬ、もう一度ソレを貸してくれぬか?))
「どうするんだ?もうパーツは無くさないでくれよ?」
((いや、構造は解ったから分解はせぬ。))シュォォン…
ヴェルトロは銃を受け取ると銃に魔法?をかけたようだ。
((よし。強度向上魔法と筒の部分に加速魔法を刻印しておいた。
さっきの弾丸と合わせればかなりの威力になるだろう。
ほれ、これで我を撃ってみるがいい。))
「バレルに加速魔法!?とんでもないな…。けど…」
((どうした?撃たんのか?))
「たとえ効かなかったとしても…その…友人になった奴に銃は向けたくないんだ。
さっき撃ってしまった時………後悔してる。」
「ユウジン…」
((わわ、我を友と!?友だと言ったノカ!!?))
「あぁ、あんたが俺をどう思ってるか知らないけど、
俺のカレーを美味そうに食べてた時からそう思ってたよ。」
((!?!?!?~~~~~~~~~ッ!?))
「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!」
身体を震わせるヴェルトロ
「す、すまない!怒らせてしまったか!?調子の良い事を言ってしまったか!」
「………チガウノダ」ぽろぽろ
「!?」
「ヒ、ヒサビサダ……トモト…。
ワレニモ…ヒトリイタガ……トックニシンデルカラ…」ぽろぽろ
「ヴェルトロ…」
「ズット…ホシカッタ…タイトウナ チカラナド…ナクテモ…ソウヨベル…トモガ…… 」
「…」
((お主が…良平…が、我に普通に話しかけてくれた時、嬉しかった…。
初めて我を見る者は怯えるか、逃げるか、戦いを挑む者しか無かった…
それなのに良平は…。))
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「こんにちは!」
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((悲しくないのに涙が出るのは初めてだ…。こんなに暖かい気持ちなのにな…良平よ…。))
「あぁ。」
((我と友達になってくれるか?))
「もちろんだ。よろしくヴェルトロ」