悲惨の王国 Reino de las miserias
化膿した傷と、這い回る甲虫と、
糞尿に満たされた王国を知っているか?
どんな偽善者も、どんな詭弁屋も窒息する
死の香り漂う大理石で作られた悲惨の神殿では、
貧困の王が住まう。
あるいは奴隷の骸より生まれた女帝が。
彼らは誰よりも現実を見据え、
キリスト教徒達が竦み上がり、怯える
冷たい水死人の目でじっと世界を見つめるのだ。
昔、その悲惨は、
ギニアから船に積まれ、やって来た。
それは臓物を撒き散らし、
バラバラの肉塊で世界を見つめる。
この世の真実の王国を。
その王国にはどんな聖歌も時祷書の祈りも届かない。
キリストにすら救えぬ蛇が一匹、
積み上げられた虚しい叫哭の上を這い、笑う。
蛇と霊達は言う。
「おお、聖者よ。
何を語ると言うのだ?
いつかここに真の高潔を、
気高さを連れて来るがいい。
その時は我は逃げ惑い、
あるいはお前に頭を垂れよう。
だが、その時までは、
ここは冷気すら凍え死ぬ無機と、魂のない肉の王国だ。
ここは我々の王国なのだ。
マニオク・パンと、塩漬けの魚しか与えられない
哀れな我らの棺に
灰でお前の印を刻んでくれるな。」
と。
善良なキリスト教徒よ。
打ち上げられた水死体に怯えるのも無理はない。
船の残骸の洞穴に怯えるのも無理はない。
どんなに祈ろうと、慈悲を乞おうと、
その古い死に住まう腫瘍の二枚貝は知っているのだから。
お前達が半死半生の
病に犯された病人である証の
診療録に書かれている文字と、
自室に一人でいる時の顔を。




