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Swish ースウィッシュー  作者: 青空 翔
第一章 高校バスケの始まり
9/26

第7話 本日2度目のゲーム

このゲームはあくまで新入生のスキルを見るものなので、7分7分の14分間で行うようだ。


審判などの仕事がない先輩たちはフロアを囲む観覧席の一角に座った。


見られるってなんか一緒にやるよりも緊張するぞ……?


新入生は16人。チームはまたあみだくじで決定。あみだくじ好きだな……。メンバーは以下の通りだ。丸印はスタメン。替要員は後の7分間に同じポジションの人と交代して出る。


ビブスなしチーム

○小山 ポイントガード(以下PG)

 佐々木 PG

 伊織 シューティングガード(以下SG)

○渡辺 SG

 武田 スモールフォワード(以下SF)

○石田 SF

○田中 パワーフォワード(以下PF)

○小林 センター(以下C)


ビブスありチーム 以下試合中は選手名の後に「ビ」(ビブスのビ)と付けます。

○松野 PG

○瀬川 SG

 藤本 SG

○野原 SF

 福田 SF

○村山 PF

○後藤 PF&C

 夏川(夏川先輩の弟らしい!)C


……なんかバランスおかしいな。こっちのチームにもう一人くらいはPFかCちょうだいよ……。


俺はまたしてもスターターじゃない。

本当に後から出してくれるんだよな……?(何故かちょっと不安)

そう思いながらフロアに据え置きのベンチに座る。(チームごとで分かれて座った。)

武田と佐々木君も一緒だ。

「あ、あの……佐々木です。PGです。よろしく」

佐々木君が挨拶してきたので、挨拶を返そうとして、口を開く。

「俺は伊」

「俺は武田。こっちは伊織。俺はSFで、伊織はSG。こちらこそよろしく!!」

「おい!!全部持ってくな!!」

自己紹介ぐらい自分の口でさせろよ!馬鹿野郎!ぶっ潰してやろうかこら!!と、心の中で怒鳴る。(やっぱ武田に対して限定で情緒不安定)


そうこうしているうちにゲームが始まる。

『お願いしますッ』

挨拶からジャンプボールへ。

そういえば応援は初だな。頑張ろう。声出るか……?スゥと息を吸い、


「「頑張れー!!」」


武田と声がハモった。

俺たちは数秒顔を見合わせた。

武田はニヤァーとしたのでチョップした。

喜んでんじゃねえ。俺はお前に怒ってるからな!


ジャンプボールを制したのはビブスありチーム。

野原ビ、村山ビ、後藤ビといった身長の高い人達を使って、うまく攻めていく。

圧倒的に相手は有利だ。

こちらのチームは小林以外は身長が相手より下回っており、小林一人で止め切れるはずもなく、さらにはオフェンスすらもディフェンスが高く困難で、あっという間に差が開いていく。


そして5分が経つころ、点数は

ビブスなし6ー15ビブスあり

となっていた。


「頑張れぇ!!」「ファイトー!!」「いけー!!」

俺たち3人も必死に声を上げて応援するが、差は縮まらない。


相手は野原ビが速攻でダンクを決めたりといいプレーや盛り上がるプレーが続いたが、こちらはあまりパッとせず、結局最初の7分間は

10ー19

で終了した。

ここで2分休憩を挟む。



「くそう、点が決まらねえ……」

田中君がベンチに座るなりぼやいた。

「田中君」

俺は喋りかける。

「呼び捨てでいいよ。なんだ?」

「田中、次の7分間リバウンドを重点的に頑張ろう」

田中君にはリバウンドを頑張ってもらう。

「分かってんだよそんなことは。相手が高くて取れねえんだ」

「しっかりポジションを取ろうよ。で、頑張って取って。取ったらパスして。俺が決めるから。後半から出るし」

「ふはっ。すげぇ自信だな。決めれんのかよ」

「決めれるさ。中学ん時は無名だったけどな」

自信はある。さすがに全部全部決めるとは言ってないけど。

そして、水分補給などをしながら話し合いをして時間を使う。


そして、2分が経過した。


俺、武田、佐々木、田中、小林でコートに入る。

「いよっしゃあ、やるぞぉ!!」

武田はやけに声が大きい。

「「うるせえぞ武田」」

俺のみならず田中からも突っ込まれた武田はちょっとシュンとしていた。

ナイス田中。ていうか武田はそこまで落ち込むなよ。

相手もコートに入ってくる。

松野、藤本、福田、村山、夏川だ。


俺たちのオフェンスからゲームが再開する。佐々木君がじっくりボールを運んでいく。

さっきの自己紹介の時とかはおとなしい人の印象だったのに、バスケを始めたら一気に顔が引き締まり、真剣になる。よくいるよな、こういうギャップあるやつ。


佐々木君は武田にパスを出した。武田は鋭い右ドライブで福田君をあっという間に抜き去ると、そのままゴールに突っ込んだ。左レイアップ。

村山君ビと夏川君ビがディフェンスに入った。しかし武田はダブルクラッチでボールをゴールに入れる。


12−19だ。


「おお!!」

先輩たちもどよめいた。


……なんだよっ!!普通に上手いな!!ほんとに後で中学の時のことを問いただしてやろう。そんな気持ちも込めて武田に強めのハイタッチをお見舞いする。

それからディフェンスに戻る。


「い、いてぇよ!!絶対悪意あったろ伊織ぃ!おい無視すんな!!」

武田が言いながらディフェンスするべく自陣に走ってくる。

「おーい、伊織ぃ!無視すな!バスケやってたことを言ってなかったのは謝るって!ごめん!おい、伊織ぃ!」

なんか言ってるけどまあ、スルーで。

「伊織ぃ」

まだなんか言ってるけど後でいいや。ディフェンスに集中。


相変わらず向こうには身長というアドバンテージがある。真剣にディフェンスしないとまた離される。松野君ビから夏川君ビにパスが通る。

「小林君!!」

「おうよ!!」

この場合、ディフェンスの要になるのは身長が唯一超えている小林君だ。応援の意も込めて小林君を呼ぶ。


小林君はシュートブロックに成功した。ボールは跳ねたが、田中が意地で取った。

「よし!速攻!」

俺と武田が我先と走っていく。田中が佐々木君へ、佐々木君が俺へパスを回す。

俺がパスを出して、速攻が完成した。


「やったぁ!!」

武田が喜んで、俺のところに寄ってきて、ハイタッチをしようとしてきたのでとりあえず力一杯武田の手を叩く。

「っっ!!イテェよ!!なんで!?」

再びスルー。俺は怒ると怖いのだ!(全く怖くない)


点数は14−19。

着々と点数を縮めていく。

勝ってやるぞ……!


ビブスありのオフェンスに移る。

今度は藤本君ビがミドルシュートを打ったが、入らなかった。

いいポジションの獲得に成功した田中君がしっかりとリバウンドを取った。

再びこちらのオフェンスだ。

今しがた成功した速攻を阻止すべく相手はディフェンスに走っていたので、速攻はできない。しっかり点を決めるべく落ち着いて攻めていく。


佐々木君は武田にパスを出した。と同時に俺のディフェンスについていた藤本君ビにスクリーンをかけた。そしてボールは俺へ。

「やべっ」

藤本君ビがディフェンスにつこうと追ってくるが、遅い。


俺はスリーポイントシュートを打った。


パスッと音が鳴り、ボールはゴールに入った。


「伊織はよくスリーを入れるな」

「そうだな。そういえば朝も一本も外してないんじゃ?」

「そういえばそうだな……」

以上は河田先輩と植原先輩の会話だ。

俺は知る由もないが。


17−19。



ディフェンスだ。守らないと結局意味がない。

「やったなぁ!!2点差だぜ!!後シュート1本で追いつける!」

武田が寄ってくる。

「そんなもん見たらわかる」

「なんだよまだ怒ってんのかぁ?」

怒ってるよ。今すぐシバき倒したいよ。言わないけど。


「お前すげえなぁ」

田中も寄ってくる。

「ありがとう」

「俺と対応違うな!!」

武田が言ってくるが再度スルー。

ディフェンスに集中する。


そうしてなんとか流れを掴み、点数は入れられたものの、田中や小林の絶大な活躍で、逆転を果たし、最後の1分を24ー21で迎えた。


「勝てるぞぉぉ!!」

武田が雄叫びを上げた。

うーん……いや、同感なんだけど、武田ってこんなキャラだったっけ……?

まさかバスケしてると人格変わるやつなのか?

ま、いいや。問い詰める時に一緒に聞こう。


現在ビブスなしチームはディフェンスだ。

全員必死で守る。


福田君が攻め込んでくる。そしてストップアンドジャンプシュート。

「上手いっ」

思わず呟く。かなりのスピードからキュッと止まってジャンプシュート。みただけで分かる。


パスッ


いかんいかん。あまりの上手さに見惚れていたが時間は有限だ。


24−23。

1点しか離れていない。

まずいぞ……!

あと40秒ほどだ。


ビブスなしチームのオフェンスだ。気を引き締める。

佐々木君がボールを運ぶ。


佐々木君が俺へパスを出した。

俺はさらにパスを回し、ボールは武田へ。武田はスリーポイントシュートを打った。

(入るか……?)


ガンッ


一気に焦りに移行する。


あいつめ!!


しかし……。


「伊織!」

「!?」

田中がリバウンドを取ったのだ。

「ナイス!!」


ビッ


力一杯ボールにスピンを掛けつつスリーポイントシュート。


しばらく宙を飛び、


シュパンッ


ボールはリングを通過する。


27−23。


「伊織ぃ! ありがとぉぉ!!」

武田がまた寄ってきた。お前あとでビンタね。

「ナイシュウ!!」

田中も寄ってきた。

「いやー、ほんとに決めたな」

「あざっす!」

「最後ディフェンス頑張ろう!」

残りは20秒ほど。

最後まで気を引き締めていこう!


そして……!


「勝ったぁぁぁ!!!!」

体育館に武田の声が響いた。


「くっそー、負けたぁー!!」


ビブスありチームはがっくし。

ビブスなしチームはやったぜ。


「シュート教えてよ。上手すぎ」

渡辺君や瀬川君にも声をかけられた。


楽しかった!!



ゲームの片付けが終わると、体育館の中央に集められた。

河田先輩の話が始まった。

「このゲームは勝ち負けは大した問題ではない。いかに勝つために行動できたか、どれだけのプレーをこなせたかが重要だ。まあ、何はともあれ、よくやった。お前らの–––––」


主将のありがたいお話が終わり、仮入部時間は終了し、一年生は帰ることになった。二、三年生は残って練習するらしい。残りたかったが、さすがにダメだと言われた。仕方なくウィンドブレーカーを着て、他の一年生と共に体育館を出る。


同じ中学が故に家も結構近い武田と並んで帰る。

とりあえず聞きたいことだらけだし。


「まず、お疲れ」


「お疲れ!楽しかったな!」


「さて、色々話してもらおうか?」


俺が凄むと武田の顔がちょっと引き攣った。


「お、おう……」


武田から聞いたことをまとめてみる。

武田は、俺がバスケに誘った時、部活ではバスケをしたくなかったので、その場で終わらせれる断り方をしたかったらしく、あの言い方をしたらしい。あんな言い方をしてしまったが、言い直すのが面倒だったらしく、誤解を招くのを防ぐべく、体育の授業でも手を抜いていたらしい。遊べなかったのも練習があったから。


ここまで聞いて、俺は率直に言いたい。というか言わせてもらおう。


「最初っからちゃんと言うか弁明するかしろよアホォ!!!!」


「……はい。ごめんなさい」


とりあえず今日の分も加算してチョップ1発で許してやる。仕方ないから。(やらかしてしまった武田に対しては徹底的に上から目線である。)


そのあとはクラスの話や世間話をしながら帰った。


明日も朝体育館に行こう。

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