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Swish ースウィッシュー  作者: 青空 翔
第二章 ゴールデンウィーク
17/26

第15話 合宿最終日

翌朝、昨日と同じ音で起こされた俺たち。


昨日と同じようにランニング。


そして朝食。


「いやー、作るって大変だね!」

ものすごい笑顔でこういう武田。


「お前、いいのか?」

「ん?何?」

「お前が焼いている目玉焼き、焦げてんぞ」

「あああああ?!」


バカだろ。

バスケは上手いのに、それ以外がからっきし。

なのにこいつモテる。俺にはそれが不思議でならない。


そんなことを考えていたら、いつの間にか味噌汁がいい具合。


「よしっ」

満足だ。


「伊織ー、こっちもサラダできたー」


「おーう。ちょっと待ってて」



「伊織、ご飯盛り付けこんな感じ?」

「伊織?ウインナーこれでいい?」

「伊織、目玉焼きの焼き方教えて」


「ああ、もう!うるせぇ!1人づつ喋れ!!」


俺は、昨日のこともあってか料理番長(武田命名)にされた。

料理がうまいってだけで。


……いや、ご飯の盛り付けぐらいわかるだろう。ウインナーなんて見た感じで判断できる。目玉焼きのやつ……知らん。


と、色々あって朝食完成。

ちなみにメニューは、白飯、味噌汁、目玉焼きにウインナー。サラダに梅干し。そしてヨーグルト。


「「「いただきます!」」」


作るのに手間取っても、食べるのは一瞬。

すぐに楽しい時間は終わる。

談笑しながら後片付け。


そして練習へ。


今日は、割と実戦的な練習ばかりだ。


とにかくボールが回る回る。

パスからパス、そしてパス。さらにパス。

走って走って走って。


とにかく動きまくった。


多分朝飯全て体力に消費したってくらいに動いた。


そして昼飯。


3日間全部食堂だ。


今日はグラタンにした。

食堂のメシはいつもうまい。


本当に学食のおばちゃんたちには感謝だな。


お腹が膨れた後はまた練習。


練習なんだけど……。


「ゲームするぞー」


監督が一言。


「マジで?!」

「よっしゃー!」


周りがざわつく。


「合宿最終日だからな。合宿で学んだことを生かして頑張ってくれ」


「「「はいっ!」」」


もうみんなの顔がイキイキし始めたよ。



チームで半分に分かれる。

サブコートを使ってゲームだ。

3年と2年の一部、2年の残りと1年で分かれた。



今回は全員が出れるように交代交代で試合に出るスタイル。


俺は赤色のビブスとなった。ちなみに相手は緑だ。

武田は……、赤か。たまには対決してみたいけどな……。


まあ、いいか。

赤ビブスをマネージャーの人から受け取りつつ、早速試合を始めてしまっている上級生側のゲームをチラリと見る。


やっぱすげぇな……。

思わず見惚れていると……。


「おいっ、伊織、始めるぞ!スタメンだぞ!」


武田が俺を呼んでいる。


ん?まじ?俺スタメン?

聞いてなかった。


「すまんすまん」


「しっかりしろよー」


「すまん」


なんか謝りっぱなしだ。

なんか武田はバスケの時だけ真剣だからな。

こういう時は頭が上がらないと、チームメイト歴1ヶ月にして悟りました。


「いくよー」


審判のマネージャーの声があって、


「「「よろしくお願いしますっ!」」」


挨拶を交わし、それぞれポジションにつく。


俺のチームのスタメンは、俺、松野、福田、中木(初登場、2年)、林(初登場、2年)だ。


バッシュの裏を手で擦って、スキール音を確かめる。

いい感じだ……。


審判がボールをあげた。


俺の方のチームの、松野がジャンプボールを制した。


「ナイス松野っ」


ポイントガードの林先輩が、ボールを持った。


パスを回していく。


林先輩から俺、俺から福田、福田から中木先輩……。


「へいっ!」


一際大きな声を出した松野は、ゴール下で戦っている。


ボールを持っていた中木先輩は、迷わず松野にパス。


「よっしゃあ!!」


松野が雄叫びを挙げ、マッチアップしている小林に突っ込んでいく。


「いけぇ!!」

「いけるぞ松野ぉ!」

「押し込めぇ!」


味方のベンチも応援をしている。


応援の声が通じたか、松野はゴリ押しでゴール下のシュートを決めた。


「ナイッシュウ!!」

「いいぞいいぞー!!」


「ナイス松野っ」


松野とハイタッチを交わし、ディフェンスへ。


バスケットは、守りでも攻めでも勝たないと試合に勝てない。

1点1点の積み重ねが大事になってくるのだ。


一瞬たりともプレーに手抜きをしてはいけない。


ディフェンスでもオフェンスでも変わらない。


だから必死でディフェンスする。


「カバーオッケェ!!」

「見てるよ見てるよ!!」


コミニュケーションの言葉が飛び交う。


相手の佐々木が林先輩を抜きにかかってくる。

うえっ、こっちじゃん。ちゃんと止めて欲しいっす。


「カバーっ!!」


「次っ!次!」


俺がカバーに出て、その影響で陣形が変わる。


コミュニケーションも取れないと、バスケはやっていけないのだ。


中木先輩がボールを取った。


「速攻っ!走れ!」


パスを繋ぎ、相手がディフェンスに戻るよりも早くゴールへ!


「へい!!」


俺が呼んで、林先輩からボールが飛ぶ。


俺はもうゴール下。


シュートをきっちり決める。


「ナイシュー!!」

「いいぞ伊織」

「いやー、料理もできて勉強もできて、バスケもできて。うちの伊織かあちゃんは最強だなぁ!」

「た、武田、それは伊織の逆鱗に触れるぞ……。多分」


おうおう、田中くんわかってるじゃないですか。


黙るんだ武田。

誰が伊織かあちゃんだコノヤロウ。

あとでぶっ飛ばす。



ここで交代。俺は瀬川と交代する。


他にも各自で交代。

こういうところにチームの仲良さって出ると思う。

譲り合いとかね。


水分補給をし、試合を見る。

それと同時に、ここまでを振り返っておく。


林先輩はパスがやたら上手い。

手を出すところに寸分違わずボールがやってくる。


ボールが「こんにちはー」ってやってくる気分になった。

……大袈裟か。


松野もセンタープレーが上手かったな。

そういやあいつ、この合宿中、ずっとセンターやってたな。ポジションはパワーフォワードだったと思うんだけどな。


合宿によって、チームメイトについてより知れた気がする。

それがなんか嬉しかった。



「頑張れー!!」

「いけるぞー!!」


絶賛応援中です。

松野がすごいです。


マッチアップ相手を軽々吹っ飛ばして、リバウンドは取るし、ゴール下のシュートは決めるし。

挙げ句の果てにはダンクかますし。


松野に渡せばなんとかなる状態です。無双中です。



「す、すげぇ」

「やばいなあれは」


武田も口をあんぐり開けて驚いている。


また松野がシュートを決めた。


俺と武田は思わず顔を見合わせた。




ただし、そんなのがいつまでも続くわけがなく。

村山と交代した。


そのタイミングで、俺と武田も出陣。


現在俺のチームは俺、武田、林先輩、村山、渡辺先輩(初登場、2年)である。


おっしゃ、いくぜっ!!

闘志に燃える。



林先輩がボールを持ち、攻める。


「伊織ぃ!」


うわっ!もう来た。


パスが俺の手に飛んでくる。

林先輩、あなたはパスの天才です。多分。


……あら?俺のマークマン、離れすぎじゃね?


少なくとも俺にとったら大した距離じゃないぞ、それ。


迷わず打ってやる。


スパンッ


綺麗な音を発しながら、ゴールネットを揺らす。


マッチアップの相手は驚いている。


……そんなに驚かれても困るんだけどな……。


ディフェンスに移る。


相手の小山からすごい気迫。


絶対気が抜けません。これは。


***


交代を何度もしながら、試合は数時間にわたって続いた。


結果。


赤ビブス342ー328緑ビブス。


凄まじい点差に。


そりゃあ、数時間も交代しながら同じゲーム扱いで点数を重ねたらそうなるよ。


ということで、俺たちが勝った。


「いやー、面白かった!」


「それは同意」


珍しく(?)武田と俺の意見が一致。


さらに、一日目のしんどさを忘れたのかどうかは知らないが、武田はものすごい笑顔で「合宿毎日楽しかったぁ!!」と言っている。


大丈夫か、武田よ。


***


合宿を締め括る最後のミーティングが合宿所の会議室で行われている。


ありがたい監督のお話からスタートだ。


「まず、お疲れ様でした。まあ、よく頑張りました。多分夏合宿はもっときついと思うので覚悟していてください。それで、この合宿を通しての話。初日はフットワークを中心に––––––––」


真剣に監督の話を聞く。


なんだかんだ……と言ったら変だけど、監督の話はいつもタメになる。

校長先生の話は面白くないが、監督の話は面白い。

……面白いとはちょっと違うか。


「––––––と、いうわけで、何はともあれよく頑張ったと思うぞ。お疲れ様でした。そして、明日。ゴールデンウィーク最終日だ。明日は午前練だけとする。朝7時半からな。忘れるなよ。以上」


「「「ありがとうございましたっ!」」」


そして、顧問の先生の話もあって。


合宿所を使えるのは顧問の先生のおかげなので、しっかりお礼を言って。


「じゃあ、また明日な。解散っ!」


キャプテンの声で、合宿が終わった。




家に帰ったら、母さんに土産話を要求された。

何も話すことないし、早く寝たい……。

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