08-014-05 俺君剣聖二才七ヶ月、魚人の岩礁、サルベージ その五
その他普通種の魚人間を相手にする樫の木ゴーレム。
大福の相手はネットに絡み、動くに動けなくなった魚人間の止めである。
だがそんな大福でも、全くの無傷と言うわけにはいかないようだった。
大福は幾本もの三又の矛をその身に埋めながら、バキィ、メキィと、自らの体を文字通り壊しながら奮戦している。
──一方で、俺君の弟子たちは。
魚戦士の獲物三又の矛がアリムルゥネに突きつけられる。素早い、と見れば鱗鎧の戦士種。体格もいと回り違えば、その技量も一回り上だった。
小鉄でアリムルゥネが一太刀押せば、矛の柄で受けようと魚人が踏み込む。アリムルゥネが砂地で滑る、
「お股が痛いですぅ……らぁあああああああ!」
言葉通りにどこかのバラモンかヨガの達人も各屋と言う柔らかな体、股が百八十度ぱっくり開く。
なんたる剛剣、小鉄の刃は矛の柄を力任せに断ち切った。
「まずは一匹」と、アリムルゥネ。その蒼い瞳は迫る戦士種の獲物が三匹、矛に剣に斧である。
アリムルゥネは姿勢を直しざま、股下より矛持つ魚人間の股間から口元までを綺麗に開く。
彼女に斧と剣が両側より迫る。
アリムルゥネは小鉄の峰に手を当てて、目の前にいる斧持つ魚人の背後にルシアのアゾットの光を見るや、横にスライド、斧の刃の上を小鉄の刃が火花を上げて滑りゆく。
アリムルゥネは右手にスライド、アゾット剣をエラに食らい、目から急激に光を失いつつあった魚人間に蹴りを食らわせ次を探す。。
「ルシア!」
アリムルゥネは魚人間の魔法の長剣を弾きながら兄弟弟子を呼ぶ。
「おう、アリムルゥネ! こちらからも行くぜ! 右! お前は左」
とのルシアの声。
別の魚人間の首にアゾット剣を埋めていた。
「了解!」
とアリムルゥネは回転、ルシアが先ほど適当にあしらった盾持つ戦士種に狙いをつける。
その魚人間は楯を掲げた。守る理由。この戦士種の直ぐ背後に彼らのリーダー導師種。
残す最後の一体も、導師種を守ろうとアリムルゥネの間に入ってきて三体一。
──だが、小鉄は剛剣よ。
アリムルゥネは盾の上からその魚人間を真っ二つに断ち割った。
残す戦士種一匹は、一歩引くどころか曲刀を振り回してアリムルゥネに迫る。
「えぇええええええい! 小鉄よ! どっせい! 火を噴き踊れ、炎撃斬!」
年頃の乙女からは程遠いアリムルゥネの掛け声。
途端、
「ぐわっち!」凄まじい閃光、俺君の眼が焼ける。
「ちょ!?」ルシアが急いで目を瞑る。
「GooOOOOOOOOOO!」え? 俺は聞いた。
魚人間の攻撃を受けて、手も足もぼろぼろになっていた『大福』。
火は直ぐに『大福』へと燃え移り、厄払いの聖火のように、巨大な松明そのものとなって燃え出した!
──ああ、さらば零号機『オークゴーレム大福』よ。お前の貢献は忘れない。
無茶しやがって……。
そして。
墨の燃える匂い。
それと、焼き魚、青魚を丸焼きにしたような匂いが立ち込める。
──だが、揺らめく煙の中、動く影がある。
戦士種よりこれまた一つ大柄な魚人間だ。そいつの体から赤い線が見える。
あの魔力! こ、こいつ俺たちに魔法を使う気だ!
「ええい、面倒な!」ルシアが切れる。右の眼帯を取り払い、ルシアの邪気眼が銀色の光を──!
「魔力は!?」とアリムルゥネ。
「ねえよ!」とルシア。
「どうするの!?」
「え? お前がどうにかしてくれるんじゃ無いのか?」
──奇妙な沈黙、ルシアとアリムルゥネ、お互いの顔を見合わせる。
「ええい弟子たち、二人とも気合でかわせ!」
集え集え、俺君の魔力。俺君は腹に溜めた魔力を手に!
集ったのは赤い球。
「いけ! 粉砕しろ!」
俺君は手から赤い玉を導師種へ向け放つ!
「($%”>‘@#」
なにい!? 俺は見た。導師種から蒼い玉が放たれるのを。
焦った俺君、叫んだ! 魔力消費量など考えず。
「──マジックミサイル!」
俺君の赤い珠と導師種の蒼い玉がぶつかった。
力を食い合い凄まじい閃光の元、対消滅する。
そしてその爆発の中から俺君のマジックミサイルが飛び出し、導師級の胸に命中、大爆発を起こした。
──はあはあはあ、俺君疲れたぜ。だが、勝利だ。
「アリムルゥネ、ルシア、良くやった。お前達がいなければ掴めなかったかも知れない勝利だ!」
「そんな。お師様あってのわたし達です」アリムルゥネが微笑む。
「あはは! そうだぜ、ライエン様がいての勝利だ。しかも今回は、これだけの数を倒し、上位種も倒した。……もうしばらくは、魚人間に悩まされることは無いだろうぜ」ルシアにも笑みが。
──うん、凄いぞ俺、俺君強い! そして俺君達は強い! みんな強い! みんなありがとう、この勝利はみんなのものだ!」
こうして。
──俺君は皆の勝利への努力に感謝したのである。
---
ここで一句。
火と氷 使い分けたい 修行中 (ライエン)




