第82話 相談
「おっルディールさん、村から飛空艇が飛び立つようですよ」
「わ~ホントですね。飛空艇を空から見下げる体験ってなかなか出来ないから素敵です~とか言うのとでも思ったか?ソアレよ」
王女やリージュが王都に戻り、護衛に付いていたバルケや火食い鳥の手が空いたので、ルディールはソアレに色々と相談がありスティレはバルケに稽古を付けてもらう為にどこか広い所へ行こうとなったのでルディールはエアエデンに全員連れて来ていた。
「……ルディール殿、私達にこれを教えてよかったのか?」
「うむ、ちゃんと考えがあってやっとるから大丈夫じゃわい。リージュも連れて来たしのう」
「……なるほど。あのお酒以上に危ない物はそう無いのでそこを付きましたね。一人バレたら全員巻き込む道連れですね」
「少し違うがそれでええわい」
「私も王宮騎士を辞めて冒険者一筋で生きていこうかと考えてもいるから、本来はだめだが……まあ、いいかとも思う」
そういうとスティレはバルケやスナップの元に行き稽古を付けてもらい始めたので、ルディールはソアレと不実の指輪の調整や前の世界のと今の世界の繋がりの相談を始めカーディフはスティレの特訓を見て来るかとそっちに向かった。
「まずは、王女様からもらった指輪の調整じゃな、どうやるんじゃ?」
「……魔眼で見ながら見える部分だけを残す感じですね、魔眼が無くても魔力を見たりする魔法があるのでそれで調整できますよ。どの辺りぐらいとかリクエストありますか?」
ルディールは少し考えてから当たり障り無いぐらいとの強さ言うと、分かりましたと答え調整を始めた。
それからルディールの魔力の量を魔眼で確認しながら作業していると、吹き飛ばされたスティレが転がって来たので、ルディールは回復魔法をかけてやるとすぐに起き上がった。
「バルケ殿が強いのは分かるが、メイドのスナップ殿が同じぐらい強いのは納得いかない!」
「セニアの家のメイドも強いじゃろうに……また飛んで来たら回復をかけてやるわい」
スティレはかたじけないといいまたバルケやスナップに向かって突っ込んで行き、即座に宙を舞った。
「スティレも弱い訳でもないがバルケやスナップには全然じゃのう。火食い鳥としてPTで戦えば勝てるかな?」
「……リーダー頑張れとしか言えませんね。海上でスナップさんと共闘しているので私は強さを知っているのでスティレと一緒に戦おうとか思いませんよ……さてとルディールさん大方終わりましたよ」
「おお、ありがとう。早いのう」
「……どういたしまして。これで魔眼や魔法で視られてもちょっと強そうな魔法使いに見えると思いますよ」
「けっこうあやふやじゃな……」
「魔力多さ違いが戦力の決定的差ではないと言う事ですので、多ければ有利なのは有利ですが」
「それはそうじゃのう。ミーナの方が魔力は多いがリージュには負けるじゃろうしな」
そういう事ですとソアレが言い次の話に入ろうとした所で、またスティレが吹っ飛ばされてスナップもこちらにやって来た。
「スナップ的にはスティレはどうなんじゃ?」
「ええ、十分お強いですが……しいて言うなら危機感が足りないですわ。と言う訳でルディール様、お忙しい所すみませんがあの影の紐の様な魔法を出してもらえますか?」
何に使うかはルディールは分からなかったがリクエストに応え、シャドーステッチを唱えスナップに渡した。
そしてスティレの片足にくくりつけルディールに回復魔法をかけてもらいまた戦闘訓練を開始して、カウンターを決めエアエデンの外に吹っ飛ばした……
それを見ていたルディール達はため息を付きシャドーステッチを巻き取りスティレをまたエアエデンに引き上げる。
引き上げられたスティレは一目散にルディールの元に走ってきて抗議したが、面白いおもちゃを見つけたバルケとスナップに連れ戻されまた特訓を開始した。
バルケ達の方に耳をやると、また空を舞いたくなかったらちゃんとガードしなさいですわ! スナップ殿!寒いし高いぞ! 大丈夫だ!集中したら忘れる! などと聞こえてきたので、とりあえずルディールはシャドーステッチだけは解けないようにスティレの足をきちんと掴みソアレとの話に戻ろうとするとスイベルが飲み物を持って来てくれたので、スイベルの意見も聞きたかったので三人で話になった。
「私ですか?ええ、大丈夫です。ですがお役に立つとは思えませんが頑張ります」
「スイベルだと客観的に見てくれそうじゃしのう」
「それは無理ですね。私個人の主観があるだけですよ」
「ソアレよ、どうしようウチのメイドが格好いいんじゃが?」
「大丈夫です。私視点から見ても普通に格好いいメイドさんだと思うので」
二人が褒めるとスイベルも褒められるのは慣れて居なかったのかほんの少しだけ頬を赤く染め二人にありがとうございますと礼を言った。
そしてルディールはスイベルが入れてくれた紅茶を飲みゆっくりと元いた世界とゲームの中の世界と今の世界であった繋がりを二人に話し始めた。
話し終えると二人は笑いもせず真剣に悩み、まずはソアレから話し出した。
「まずは話してくれてありがとうございます。……そうですね。今の話を聞いた感じですと確認出来ない事がかなりありますね。まずはルディールさんが会ったと言う、その意味不明の指輪の持ち主達ですが、獣の王にしろ双子の聖女にしろ何百年前の人物ですが?という話になりますからね」
「そうですね、お父様がお会いになったフクロウも関係あるのも間違いなさそうですし」
「全部が全部関係あるとは分からんしのう……」
「もうこの際、仮説なのでその真なる王の指輪でしたっけ?その指輪に関係した人物や物は全てこの世界と関係あると考えましょう。違うときはまた考えればいいので」
「うむ、それがいいかもしれんのう。ゲーム世界の未来とか過去とか言えば可能性もあるかも知れんが地形とか全然違うしのう」
「はい、ルディール様がゲーム世界の地図をお描きになったのでエアエデンで過去と照らし合わせ未来の地形をシミュレートしましたが全てが違いました」
【王の鎮魂】【双子の聖女の指輪】【知恵と知識の指輪】【太陽と月の指輪】【獣の王の指輪】【運命の女神の導き】【古の腐姫の嫉妬】【世界樹の祈り】【狭間の魔導士の祝福】【戦女神の指輪】がルディールの真なる王の指輪に眠る十個の指輪だった。
そしてその中でこの世界と繋がりがあるのは今の所、獣の王の指輪、双子の聖女の指輪、知恵と知識の指輪だけだった。
「内の三つじゃな。双子の聖女と獣の王は確実に過去におったようじゃし、知恵と知識も大賢者ノイマンと関係しておったようじゃから関係有りじゃな」
そういうとソアレが自分の帽子を脱ぎ、つばの部分に小さく入ったフクロウの刺繍を指さしルディールに見せた。
「いつから始まったのかは気にもしていませんでしたが、魔法使い達が知識や知恵を求める時の象徴もフクロウなので関係大ありですね」
「へ~そうだったんだ。だとするとルディの世界樹の祈りっていう指輪もたぶん関係あるわよ。エルフの国だと大昔の大戦で全て焼けて無くなったって話が残ってるし。あっ世界樹の事ね」
「なるほどの~。話してさらに意味不明になったって感じじゃのう」
「ええ、ですがカーディフ様のお話を聞けた事で方針が決まってきましたね」
「……いや、いいんだけど。話が聞こえてたから勝手に加わったけどそこにはつっこまないのね」
「ん?正直バレても困る事ないしのう、何より友人兼冒険者の意見が欲しい」
「いや、冷静に考えてバレたら大変だから隠しなさいよ。魔神とかの世界から来たんでしょ?」
「全部が全部同じでは無いがのう、前に王都でちょろっと見た奴とか全然知らんやつじゃし。もしかして異世界人とかバレると問答無用で滅殺とかか?」
「異世界の知識として国が確保するし。危険人物なら国が総力を上げて討伐するわよ。一つ友人として忠告、こっちの世界に来て慣れたきた頃だろうからもう一度気を引き締めなさい。この場所もそうだし、あのお酒もそうだけどほいほいと人に話す様な物じゃないわよ」
カーディフの忠告に確かに最近気が緩んでいたのでルディールは頭を下げて礼を言い、来た時の様な気持ちを思いだしもう一度気を引き締めた。
「まぁルディが話した人が話す事はないと思うけど、魔法とかで記憶見られたりしたら隠しようがないからね」
そしてその話を元に二つの目的地を出し三人に相談した。
「次に行く所は太古の森のエルフの国か吹雪の国どっちかじゃな。国が違うんじゃし行けば何かしら情報はあるじゃろ」
「……ん~行って欲しくはないので行かせたく無いのですが吹雪の国ですね。今なら通行可能ですし、太陽と月に関する知識や魔法があったはずです」
「あー年がら年中、雪がある国だから太陽に関する事に詳しいんだっけ?」
「それなら前から行ってみたかったし吹雪の国が良いと思うが何か問題あるのか?」
「……はい、ルディールさんは女たらしなので詳しく言いませんが。向こうで永住する可能性もあるので」
その言葉が意味不明だったので聞き返したが、ソアレは吹雪の国に着いて詳しくは教えてくれなかった。
「わらわの何処が女たらしか!」
「ミーナさん、セニア、もちろん私。少し頑張ればカーディフ、スティレも可。難攻不落と思われたリージュさんを攻略。王女様も攻略圏内に入ってますが?」
付け加えると姉さんと私もですねとスイベルが話した。
「ルディ……女で良かったわね。男なら刺されてるわよというか私をいれるな!」
何か言い返しても不利になりそうだったのでルディールは話を無視してソアレ達に礼を言って少しさめた紅茶で喉を潤し、今度はカーディフも交え話を詰めていった。
次回の更新は明日か明後日になります。
四章は五千字あたりで書いていたので、四千字付近で書くと何処で切るかが難しい……




