第79話 また謁見
ルディールの背中で寝ているリージュを起こさない様エレベータにたどり着くと起動させた。するとゆっくりと上昇し始めた。
「起こした方がええんじゃろうか?」
「……寝ている方が面白い……ゴホン。疲れていると思いますのでそのままにしておいてあげましょう」
「心の声が漏れておるぞ。まぁ寝てるのを起こされると激怒する人もおったりするからのう、もう少し寝かせておいてやるか」
そう話し静かな時間を楽しんでいると上昇が止まりようやく地上へと戻って来られた。そしてルディール達が部屋を出るとミーナとセニアと王女が護衛を連れて待っていた。
ミーナがルディールを見た瞬間に飛びつこうとしたが、王女が止めルディールの背中に乗っている面白い物を確認してきた。
「ルディールさん、これリージュという生物ですか?」
と言ってリージュの頬を指で突き遊んでいたのでルディールが少し呆れながら答えた。
「下で色々あったから疲れたんじゃろな」
「リージュは普段から隙がないので、こう隙だらけだと何か面白いですね~。何か面白い事でもありましたか?」
ルディールは特に思いつかなかったので、大きな戦闘があったから疲れたのでは?と言ったが横からソアレが会話に加わりとても余計な事を言った。
「……王女様、リージュさん病にかかりました……」
「えっ?呪いとかですか?」
「……いえ、恋の病です」
その一言でそこにいた大半の人はこいつ何言ってんだ?と言うような顔をしたが、数名が色々と察し王女はとても面白いおもちゃを見つけた子供の様に目を輝かせた。
「なるほど、未来のローレット王国を支える貴族が病にかかったとなっては一大事です。起こして話を聞かなけれ駄目ですね」
そして無駄に威厳がある態度になり、ルディールに命令した。
「ルディール・ル・オントよ。リージュの声を真似、母が娘を起こす様に優しく起こしなさい。リージュ・シュラブネルには国王陛下にカタコンベで何があったのかを報告する義務があります」
さすがにルディールも周りに護衛などの人目があるため断る訳にもいかず、言われた通りにリージュの声を真似して軽く王女に確認してもらいリージュの母親の声になった所で背中のリージュを優しく揺さぶり声をかけた。
「リージュ起きなさい。国王陛下に報告しないといけないのでしょう?」
そう言うとリージュはお母さん?と言って眠い目をこすって目を開けると、そこには凄い良い笑顔の王女がおり、色々と察してきゃあぁぁ!と叫びながら飛び起きた。
「おおおお王女様!」
「さて、まずは先手を打たせて貰います、リージュ・シュラブネルよ。国王陛下に報告が終わり時間ができ次第私の部屋に来て報告しなさい。それと今のは私からルディール・ル・オントに命令しました。何かあれば私に直接言いなさい。分かりましたね」
そう言われリージュは動きを封じられ目だけでルディールに起こしてくださいよ! と言ったのでルディールがこの二人が悪いとソアレと王女を見た。
「それと、セニア・リノセス。ミーナ・ルトゥム。とても面白いおもちゃ……ゴホン。お話が聞けそうなのでまた私の部屋に来なさい。わかりましたね?」
その二人の王女の命令を断れる訳がなく、なんとも言えない表情になっていたが、そういう話にも興味津々だったので実は目が輝いていた。
「大神官とか聖女の姿も見えるので何かあったのは分かりますが、リージュのその姿を見られたのは私の中では一番の収穫ですね」
リージュはため息を付くことも出来ず、これから起こる確定された未来を考えると憂鬱になり王女の少し後ろを歩き国王陛下の元に向かった。
大神官や聖女を護衛に渡し、簡単にだが説明し王女達の後ろを着いていくと、セニアはソアレの元に行きミーナはルディールの元に来て話しかけた。
「ルーちゃん!怪我とかしてない!?」
「そうじゃな、色々あったがバルケや火食い鳥達のおかげで精神的にも肉体的にも無事じゃな」
「ルーちゃん、誰かいないと無理して突っ込んでいくっぽいもんね」
そう言うとバルケがミーナに無理してじゃなくて油断してと訂正し地味にルディールを凹ませた
「ルー坊は何つーか強者のくせに変に考えすぎて油断するんだよな~」
「ぐっ、油断しておる訳ではないがのう……」
「でも、ルーちゃんもバルケさんも皆無事で良かったよ~」
そう言ってミーナは大きく息を吐き出し安堵した。
「で?お主は王女様の部屋で何してたんじゃ?」
ルディールがそう聞くとミーナとソアレと話していたセニアにも聞こえた様でその時の事を思い出し少し顔を赤くし答えた。
「ん~読書かな……と言うか本の感想を語り合ったと言うのがいいのな?」
その事でルディールは察し、性教育の本かとツッコミそうになったがそれを言うとまた面倒なことになりそうだったので言わず、なるほどのうとだけ言い話を変え、王妃が待つ部屋に先に向かった。
そして国王に謁見する前に王女と王妃の部屋に行き、真実の水鏡を使い王妃の体の状態を確認した。
そして、王妃にも王女には見られたく無い事もあるので、真実の水鏡でみえる情報はルディールだけにして、王女は離れた所で見守った。
「ルディールさん、お母様の容態はどうですか?」
「ちゃんと治っておるな。わらわ達がカタコンベで破壊したので正解だったようじゃな」
そう話すと王女は安堵し王妃と共に先にルディールに礼をいった。それから一旦、王女達とわかれ国王との謁見する場所に向かった。
そしてその場所でしばらくまっていると先ほど別れた王妃と王女と共に国王が現れたのでルディール達は膝をつき言葉を待った。
まず先にルディール達に王妃の呪いが解けた事への礼を言い、リージュにカタコンベで何があったのかを尋ねた。
そしてリージュは詳しく語る前に、禁書があった事と王宮騎士の中に内通者がいることなどの重要な事を先に伝えると国王は即座に行動した。
「解った。私の直属の部隊を即座に派遣して制圧しよう。カタコンベの案内は誰かできるか?」
「はっ!私が全て覚えております」
スティレがそう言うと国王はカタコンベへの部隊にスティレが案内する様に指示し地上と地下の両方から制圧するように言った。
次にリージュはアイテムバッグの中から厳重に封印を施した禁書を出し、国王を守る護衛達に渡すと、普段は穏やかな国王の顔にも少し怒りの色がにじみ出ていた。
「二冊目か……一体どれだけの禁書を持っていれば気が済むのだろうな」
そしてリージュは分かる範囲で説明し、目隠しされていた所や魔法の事でわからない事があれば、ソアレやルディールに頼み事細かく話した。
「そうか……最初に捕まえた大神官は偽物だったか……」
「はい、聖女様の偽物も大量におり、戦闘になりましたが皆様の協力もあり無事に討伐できました」
「治癒師に聞いたが、お前達が連れて帰った聖女が行方不明になった聖女と同一人物という事でいいんだな?確かに見た目は似ているが……」
「はい、私達も未知の魔法で詳しい事までは分かりませんが、大神官が天秤の様な魔法を使用した際に壊れたのは確認出来ましたので、お互いに流れる時間も壊れたかと思います。大神官もあちらで戦闘した際にはお若く強敵でしたので」
「分かった、大神官の話も聞くがあやつの話を全て信用するわけにはいかないからな、リージュ・シュラブネル。お前の話を主軸にこれからの話を進めていこう」
「ありがとうございます」
その話を聞きルディールは心の中でリージュに礼をいい頭を下げた。
それからまた詳しく国王や宰相達にも話を伝えていると、体感で一時間ぐらいたった辺りで国王に地下を含め聖堂の制圧が終わったと伝えられた。
そして地上にも数は少なかったが魔眼や角などが発見されたとの報告が入りさらにリージュの話に信憑性がました。
次は宰相や国のお偉いさん達の質問がまっておりその全てに答えかなりの時間がたったが、事が事だけにすぐには終わらないので一旦休憩となりルディール達は別の部屋に案内されたが、王女はミーナ達を従えリージュを自分の部屋に来るように命令した。
「あの……王女様?まだ国王との話が残っていると思いますが?」
「ええ大丈夫です。重要な所は全部聞けたのでほとんど終わった様なものですから、仮にリージュがいなくても話は進みますよ」
「あの……私も疲れているのですが?」
「リージュ、貴方に拒否権はありません。権力というものはこういう時に使わずいつ使うのです?貴方も間違いなくこういう使い方をするでしょう?」
王女の言葉に反論できるはずもなく、リージュは王女のおもちゃになるべく連行されて行き、応接室でくつろぐルディールとソアレを恨めしそうに見ていた。
「……ふっふっふ、私におんぶを譲らない奴などおもちゃにされればいい」
「お主、キャラ変わっておるぞ」
さすがのバルケやカーディフも長時間の謁見で疲れたようでソファーの上に寝転がり次の呼び出しが来るまでぼけーっと天井をみたり仮眠を取り始めた。
ソアレも疲れていたが、謁見の事やルディールと話をしたい気分だったのでルディールにお茶をいれ話しかけた。
「ルディールさんどうぞ。少し聞きたい事などがあるのでお話しようと思いますがお疲れですか?」
「ありがとう、確かに気疲れはしておるが、あの二人のようになる事はないから大丈夫じゃぞ」
「ありがとうございます。一応魔眼で周りを見ましたが変な魔力の流れはないので盗聴などはほぼ無いと思うので気にせず話せますよ」
「魔眼って便利じゃのう……と何が聞きたいんじゃ?」
「はい、双子の聖女の事について聞いておこうと思いまして、もう聞かれる事はないと思うのですがあの扉の事や大神官がいった書物が出て来た時の為にと」
「うむ、別によいぞ。これが終わったらお主の知恵を借りて色々調べるつもりじゃったからその時に話そうと思っておったからのう」
そういうと少しだけ嬉しそうにそうですかと、ソアレが言ったのでルディールは説明を始めた。
双子の聖女はゲーム中での話だが、初めてプレイヤー達が会う時は元気の良い双子だった。
話を進めてクエストやお願いを聞いてあって行く度にプレイヤー達と親しくなるイベント等もありそれなりに人気のキャラ達だった、そこからさらに話を進めると聖女達が自分の力に目覚め、会う度にどんどんとやつれていった。
邪神にたぶらかされる直前は一人になっており、運営からも情報が上がらなかったので様々な憶測が飛び交い合ったキャラクターだ。
闇墜ちしてプレイヤー達と敵対する事になるがそれでも二人の生存を喜んだプレイヤーは多かった。
その事をかみ砕きルディールはソアレにバルケ達がいるので自分の国の伝承にあったという事にして伝えた。
「わらわの金色の天秤の魔法と大神官が使った羽の魔法等も双子の聖女の魔法じゃな」
「なるほど……その天秤の魔法が何処まで出来るのか?が気になる所ですね」
「そうなんじゃよな~。わらわが思っておったよりは出来る事の幅が相当増えておるみたいじゃから正確に把握したい所なんじゃよな。若返りに使えるとかも意味分からんしのう。大神官が使ったのも形が違っていたからのう」
「……人体実験するわけにもいきませんしね。それをすると大神官と変わらないですからね……後、気になる所と言えばルディールさんが描いた双子の聖女に関する本を読んでみたいですが、お持ちですか?」
ソアレに自分の黒歴史と元の世界のマンションに厳重に封印された不良在庫の山の事を思い出しお茶を吹きそうになったがなんとか耐えた。
「……あれは若気の至りで描いた本じゃから人様に見せられる物ではないし持ってきておらぬから無いぞ」
ルディールがそう言うとソアレもそうですかと諦めた。
(思えばわらわの画力でよく描いたのう……まさに若気のいたりじゃな。いやギルメンに唆されたのもあるが……)
バルケやカーディフは仮眠を取り始めリージュも帰って来る気配がなかったのでルディールはソアレに大昔の事や魔法の歴史が詳しい所が無いかを尋ねた。
ソアレは顎に手をあて少し悩み教えてくれた。
「そうですね……吹雪の国も歴史はローレット王国並みに長いですし、行って調べれば何か出てくるかも知れません、後は太古の森のエルフ達辺りが近場で魔法に関しては有名ですね。後はかなり遠くだと選択肢は広がりますが聞きますか?」
「先に近場を調べてからじゃな。落ち着いたら次は吹雪の国に行く方がええかのう。太古の森の方はややこしいとカーディフが言っておったしのう」
時間が合えばお供しますので行く時は声をかけてくださいとソアレが言ったのでルディールもその厚意に甘えその時はよろしく頼むと言った。
そして真面目な顔になり情報料として膝枕を要求しますと訳の分からない事を言い出したので、ルディールが先に質問に答えたのはわらわなんじゃが? と言うと、では膝枕しましょうか? と言ったので考える事を諦めソアレに膝枕をしてあげた。
それから少しゆっくりとした時間が流れルディール達はまた呼び出された。
次回の更新は多分明日になります!急用が入ったら明後日になるかも知れません。
誤字脱字報告いつもありがとうございます、おかげさまで10万PV超えました!次回で4章は終了です。




