表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/306

第72話 また面倒事

「ルディールさん、二つの選択肢が用意できました。一つはこのまま城の地下にいき対象物の破壊、二つ目はこちらが対象物を破壊するまで定期的に王城へ通いお母様の治療。どちらが良いですか?」


「……私は二つの選択肢を出されたら三つ目を選べるように生きようと思っているのですが?」


「お母様はいますがいつもの話し方で大丈夫ですよ。ちなみに三つ目はありません、三つ目を選ぶとルディールさんの人生は詰みます」


「王女様よ、そういうのは脅迫と言うんじゃぞ?まぁそんな気はしておったから良いが……二つ目はありえんしのう」


「ルーちゃん……流石にそれは失礼だと思うよ」


「ほう……王女様よ学校が始まったらミーナが毎日、城まで迎えに来てくれるらしいぞ?」


「えっ本当ですか?ありがとうございます。友達と登校とか憧れていましたので!」


「ルーちゃんも王女様も本当にごめんなさい」


 また話が変な方向に逸れ始めたので、セニアに注意されると元気になった王妃が直々に説明をしてくれた。陛下もルディールの話の全てを信じる訳には行かないので十数人の王宮騎士と王族直轄の兵士を監視役に置き、そのメンバーでカタコンベを調べよと。その事でルディールから意見がある場合は遠慮無く申せとの事だった。


 そう王妃が話したのでルディールは素直に自分の考えを述べた。


「ありがとうございます。ですが正直に申しますと王宮騎士は信用できません。過去の事と言われればそれまでですが、王女様が誘拐された時に巻き込むように攻撃してきたのも彼らですので、どこまで神官側の人間がいるか?という話になってきます」


 ルディールの言いたい事も分かったので、ルディールと王妃達は話を詰めた。


 (陛下達の話を無下にする訳にもいかんし……かと言って着いて来られると絶対にわらわの情報が国へ残るしのう……言いたい事は分かるんじゃよな~。また禁書が出てくる可能性も考えておるんじゃろうし、目の届く範囲で行動させたいんじゃろな~。)


 いくら考えてもお互いが上手くいく結果が出そうになかったので、ルディールは王女様に誘拐の時の話を知らないバルケ、スティレ、カーディフに伝える許可を貰い、少し皆と相談させて欲しいと頼み時間を貰った。


 そしてルディールは王女誘拐の事件を知らなかった三人に伝え、その時に王宮騎士の中に神官側の人間がいた事などを伝えた。


 その事にバルケ達は驚いたがルディールに自分の意見を言った。


「ルー坊の言いたい事は分かるが、王女様と関わった時点でどうしようも無いと思うぞ、陛下の勅命だしな」


「じゃよな~。断ると言う選択肢はないのう……」


「まぁ、ルディが本当に嫌ならこの国を捨てて余所に行くって言うのも全然ありだけど、そこまでしないでしょ?」


「その考えはありえんしのう」


 そう話すと少し考えていたスティレが小さく手を上げ、ルディールに一つの妥協点をを提示した。


「本来なら悩むと言う事自体が駄目なんだが……王宮騎士だけ省いて貰って王族直轄の兵士と、私達火食い鳥とバルケ殿を連れて行くと言うのはどうだろうか?王宮騎士には劣るが何かあれば私達もそこそこは戦えるからな」


「俺は大丈夫ならそれでいいぞ」


「その方がルディール殿も精神的な疲れは全然違うだろうと思うし、カーディフはレンジャーだから罠等を見抜くし、ソアレは魔眼持ちだからな」


 と、友人達に相談をした事で覚悟を決めルディールは王妃にその考えを伝えると、王妃も断る事無く了承し王女と共に城の地下へ言って貰うための準備に一度この場を離れた。


「あれか、王女様が誘拐された時に凄腕の魔道士が制圧したってのはルー坊の事だったのか……いやまぁ凄腕だが……」


 とバルケが少し考えルディールを上から下まで見下ろした。


「なんじゃい、わらわの魅力に今更気がついたか?」


「違うわよ、冒険者ギルドの方の噂では絶世の美女とか外見を褒める方の噂ばかりが流れてたからね……男からしたら凹むんじゃないの?」


「なんじゃと!わらわは自分の見た目には自信あるぞ!」


「そうなんだが……ルー坊だぞ?」


「まぁ、バルケ殿の言いたい事は分からないでもないが」

 

「えっ?バルケさん、ルディールさんで駄目ならどれだけ面食いですか?」


「そうじゃった、バルケは幼子の方が良かったんじゃったな……」


 ルディールの爆弾発言でバルケは一気に劣勢となり、バルケは大慌てて否定したが信じてもらえずスティレの暴走した考察が相まって疑惑がさらに深まった


 その考察はバルケは今までにも魔法学校で臨時教師の仕事を頼まれた事はあったが、全て断っていたのに今回は受けたから皆が不思議がっていたとの事、だがそういう特殊性癖に目覚めたのであれば全ての合点がいくと一人納得していた。


「……なるほど、流石にセニアはミーナさんと同じなので妹のアコットを狙っていると」


「アコットって誰だよ!」


「貴族とかだと男色を好むのも多いって聞くから小さい子が好きなぐらい普通と言えば普通なのかな?」


「ネタで言う分には良いがガチだとかなり引くのう……」


 それからしばらく疑惑の追及が入り、バルケが話す度に劣勢に追い込まれて行きバルケが色々と諦めた所で、王女がルディール達を呼びにきた。


 そして王女に案内されついていくと、闘技場の様な場所に案内されそこには騎士や魔法使いや格闘家の様な人間が四人ほどおり、闘技場のを見渡せる位置に国王と王妃がいた。


(これ、戦えとかそういうのか?わらわが言っても説得力ないかもしれぬが……あまりそういうのは好きではないんじゃが……)


 と、ルディールが考えていると国王直々に説明があった。


内容はその闘技場にいる四人と戦い、カタコンベへ王宮騎士を連れて行かないのならルディール達の実力を見せよとの事だった。


 ルディールはその事について少しだけ考えたが、ここで戦うにしろカタコンベに行って何かするにしろある程度の実力はバレる事が分かったので拒否権は元から無いが膝をつき頭を下げた。


 そして闘技場の中の連中がルディール達に全員でかかって来て構わないと言ったので、少し時間をもらい相談した。


「……さすがに少しめんどくさくなってきたのじゃ」


「……ルーちゃん、王女様いるからね」


 そう言うと王女が笑いながらルディールに闘技場の上にいる四人について説明してくれた、騎士は王宮騎士の中でほぼトップで魔法使いは宮廷魔法使い、格闘家の様な男は王様に仕える拳闘士でもう一人は宮廷の女僧侶と話し、どの方もXランクまでは行かないがSランクには個人で行ける実力の持ち主だと教えてくれた。


「さてルー坊、どうする?勝たなくてもいいと思うが強敵どころの話じゃないぞ」


「ルディール殿、作戦を立てる時間をもらえれば一人ぐらいなら勝てるかも知れないがどうする?」


「お主達はこの後カタコンベへ行かないと駄目じゃから待っておってくれ、余波が来るかも知れぬからミーナとセニアと王女様を頼むぞ」


「……ルディールさん、どういうことですか?」


「わらわはミーナの師匠でセニアの家の護衛じゃからのう。少しだけ王女が今後動きやすい様に働いてあげるのじゃ」


「ルディ……本音は?」


 カーディフがそう聞くとちょっとイライラが溜まってきたから八つ当たりしてくると言って、空を舞い一人で闘技場に降り立った。


 すると国王がルディールに一人ずつ戦うのかと尋ねたのでルディールは頭を左右に振り少し周りの四人を煽る様に言った。


「いえ、弟子も見ていますしリノセス家の護衛の中では最強と自負しています。少し言葉は悪いですがこの程度の方々なら私一人で十分ですので、皆さんが四人纏めてかかって来てください。時間ももったいないですしね」


 そうルディールが少し煽ると周りの四人の気配が変わった、そして国王の気配も変わりまた一人で大笑いした。


「ははははっ!お前達!自分が言った台詞を言われ返されただけで怒るか!なかなか面白い!ルディール・ル・オントよ!今ならまだ撤回出来るが本当に一人で戦うか?」


「時間も無いですから大丈夫です。陛下、申し訳ありませんが開始の合図をお願いできますか?」


 そう言うと国王はすぐに合図し戦闘開始となったがすぐには戦闘にならず、拳闘士の男が話しかけてきた。


「無知か?お前がどのような奴かはよく知らんし、それなりの実力はあるのは分かるがこのメンバー相手に一人だと?馬鹿か?」


「ええ、賢いか馬鹿かの二択でしたら馬鹿だと思いますね。常々もう少し賢く生きたいと思っていますので。ちなみに一つ、余裕のある態度は大事ですが、相手に時間を作らせる事になるのでお気をつけを」


「そんな時間はない」


 拳闘士の男がそういったと思ったら瞬きするより短い時間でルディールの視覚に急接近しルディールの顔面にその拳を叩き込んだ。その衝撃は凄まじく、離れた所で見ていたミーナ達がよろめくほどだった。


 その光景にミーナとセニアの顔が青くなりルディールの安否を気遣い叫んだ。


「ルーちゃん!」


「ルディールさん!」


 叫び声が聞こえたのか殴られた場所とは少し違う場所にいたルディールはミーナ達の方を見て手を振っていた。


 拳闘士の男は突如気配がかわり驚き距離を取った。だが確かに拳には人を殴った感触があったので先ほどルディールがいた場所を確認した。


「男女平等とは言いますが……女性は殴らない方がいいですよ?」


 ルディールが元いた場所には影の紐の様な物で縛られ固定された女僧侶がいた。ある程度は衝撃を吸収していたので生きてはいたが、気を失い戦闘の続行は不可能になっていた。


 そしてルディールは場外に僧侶を放り投げ、残った三人に向かい合った、すると三人は甘さを捨て殺意を持ってルディールを見つめ直した。


 Sランククラスの本気は少し離れていたバルケや火食い鳥達にも分かる物でその圧力に冷や汗をだしたが、当の本人はそういうのに本当に鈍いので涼しい顔をしてた。


 そしてその事が癇にさわった宮廷魔法使いが重力魔法を使いルディールを圧死させようとしたが、ルディールも重力操作の魔法を使えるのでその重力を拳闘士や騎士にプレゼントし膝を付かせ自由を奪った。


「私も重力魔法を使うので一つアドバイスです。人は踏み込むと力がでるので時間を稼ぐだけなら浮かす方がいいですよ。地に足が着かないと安定して力がだせませんので」


 そう言って宮廷魔法使いに重力魔法をかけ軽くし天井まで蹴り飛ばし重力をもどして地面に激突させ気絶させた。


 魔法使いが気絶すると重力魔法も解け、次は即座に騎士が斬りかかってきたが、ルディールが装備しているバフォメドブーツというヒールの部分がヤギの角の様になっている装備には、装備者の魔力に応じて装備破壊できるという効果があるので、騎士の剣を一蹴りで砕き二回三回と蹴り全ての装備を破壊し最後に顔面にかかと落としを決め気絶させた。


 そして即座に拳闘士の意識を奪おうと蹴りにいったが、さすがに拳闘士と言うだけあり、力業のルディールの蹴りは流された。


「技もないタダの蹴りでこの威力かよ……」


「流石に力だけでは流されますか……時間があれば今度、蹴りについて教えていただけますか?」


「はっ!嫌だね。今の戦闘で見て覚えな」


「それは残念。もう終わっていますので」


 ルディールがそう言うと拳闘士は意味が分かっていなかったが、ルディールと拳闘士の影がくっついておりそこから拳闘士を影の中に引きずり込みシャドーステッチでぐるぐる巻きにした。


 そして国王達に挨拶をし戦闘終了した。


 国王は国の最高戦力クラスが負けた事に驚いていたが、ルディールに賛辞の言葉を言い、まだ拳闘士以外は気絶して意識がなかったので国王は拳闘士にも言葉をかけた。


「さて、なにか言い分はあるか?」


 拳闘士は素直にルディールの強さを認め自分達が甘く見てろくに連携もせず負けたと話しどんな罰でも受けると伝えると、公式の試合でも無いしその敗北を元にさらに励めと拳闘士を激励した。


「さてと、ルディール・ル・オントの勝利で終わった訳だが、本来はここまでやる予定ではなかったのだがね、カタコンベに行く人選また考えないとな」


「真に申し訳ありません」

 

 ルディールが調子に乗ってボコったので、用意された信用できる人間が壊滅したので王様は笑いながら少し悩んでいると、ルディール達が来た方向から一人の娘がやってきて王様に意見した。


「でしたら国王陛下、私が着いて行ってもよろしいでしょうか?」


 そう話す娘は先ほど、シュラブネル公爵と一緒に帰った筈の娘のリージュだった。


「私ならルディールさん達と友人ですし、貴族の名誉挽回のチャンスを頂きたいと思います」


 国王は少し悩んだがルディールに尋ねた。


「ルディール・ル・オントよ、今の言葉は本当か?」


「はい、光栄な事に冗談が言い合えるぐらいには仲良くさせて頂いています。リージュ様が来て頂いた方が私も少し気が楽です」

 

「……そうか、ではリージュ・シュラブネルよ。リノセス家の護衛や冒険者を指揮し見事に王妃の呪いの元を破壊せよ!」


 そしてルディール達は国王の勅命を受け城の地下のカタコンベへと向かった。

あけましておめでとうございます。


次回の更新は、多分明日ですが明後日になるかもしれません。


今年もお肌に合いそうなら朝起きたら知らない世界でマイキャラでしたをよろしくお願いします。

誤字脱字報告いつもありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
自分の立ち位置を曖昧にしたまま、面倒だ、関わりたくないと逃げた結果が一番面倒な展開。この小市民感が主人公のチャームポイントですかね。国王に見抜かれてるな、振りだけ傲慢ムーブ。 最適解は暗躍してさっさと…
[良い点] 長文失礼します。 もう少し主人公、るるるの花子は傲慢に なってもいいと思う一国を救ったわけだし。 個人で国滅ぼせそうだし。真なる王の指輪? 持ってるなら一国に 従うだけじゃないところを…
[気になる点] ルディールは、王の臣下でないのに、このように頭ごなしに命令できるの
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ