第46話 到着
日が昇り出発する準備が終わり、灯台の街へ向かってルディール達は歩を進めた。
そして、昨日と同じようにルディールとカーディフが荷馬車の屋根の上で警戒し、スティレが先頭でソアレとスナップが荷台の中にいた。
「おっ、カーディフよ。おったぞ」
ルディールがそう言うと、荷馬車からかなり離れた所に一匹の腐った何かがいた、それにカーディフが弓を構え、魔法で火矢にして放ち、その腐った何かを燃やした。
「ん~なんだろ?少し普通のアンデッドとは違うのよね」
「わらわには違いが全然わからんのう。わらわの浄化で同じように消えるからのう」
「ルディの浄化についても聞きたいけど今はいいわ。なんて言うのかな~強制的に起こされたっていうのかな?」
「アンデッドってそういう物ではないのか?ネクロマンサーとかおるんじゃろ?」
「そうなんだけど説明しにくいのよね。恨みとか怨念があるとアンデッドになるのよ。それが無いのにさっきのでもアンデッドなのよね。時間も経ってるから元が何か分からない死体だしね」
「なるほどの~灯台の街へ近づくに連れて増えて来ておるのう。そこは何かあるのか?」
「私も何回か行った事あるけど、灯台と大昔に隕石が落ちたあとぐらいしか無かったわよ」
(スナップが魔神との戦闘があったと言っておったところじゃな……三十年ぐらい前と言うておったが何か残っておるのか?)
行ったら分かるかと考えていると、カーディフがアンデッドを見つけ、かなりの長距離にもかかわらず一発で当て燃やしていた。
「しっかしこの距離でよく当てられるのう」
「弓ぐらいしか出来ないからね、これぐらいできないと冒険者なんかできないわよ。ルディは接近戦も魔法も回復も使えるからいいわよね」
そう言われると、わらわのはズルだからと言ってカーディフに変な顔をされていた。
「そうそう、遅くなったけど炎毛猿の時はありがとうね」
ルディールの方は見ていなかったが、カーディフは礼を言い何か恥ずかしそうだった。
「どういたしましてじゃな。こちらも蹴飛ばしたりしてすまんかったのう。と言うかこれまでの事を含めると会った瞬間に襲いかかってくるかと思ったがのう」
カーディフはその事を思い出して少しこめかみをピクピクさせたが、深呼吸して話しだした。
「ずっと怒ってるのって疲れるでしょ?それに過ぎた事は置いておかないと前に行けないでしょ」
その言葉に少し思う事があったのかルディールは少し思いに耽た。
「置いておくんじゃな?捨てては駄目なのか?」
「なんで捨てるのよ。捨てたら後で見られないからまた繰り返すわよ」
「なるほど、さすが二分の一エルフじゃな!伊達に歳は重ねておらぬな」
カーディフが振り向きルディールに向かって弓を構えソアレと同い年よ! と言ってまたこめかみをヒクヒクさせていた。
少ししてから交代の時間になり、スナップとソアレが屋根の上に上って来た。
「…交代です。新しい魔法もなれてきたので索敵なら大丈夫です」
「わかったわ、じゃあ任せた」
「…任されました」
「では、わらわはまだ上に居るかのう」
と、ルディールが言ったのでカーディフは戻り、屋根の上に三人が索敵する事になった。
「ソアレよ。この国の弓使いのレベルはカーディフ基準で考えて良いのか?」
「…いえ、弓だけならかなりのレベルですよ。弓のレベルを魔法に置き換えて例えたら、私よりは上ですね。彼女は」
「そこまでお強いのでしたら、何故Bランクですの?」
「…まだ自分達の得意分野の戦闘に持ち込めませんから、わたしもですが相手の得意分野で戦ってしまう事が多いんです。それが出来ないとAには上がれません。単体の火力がいくら高くても倒せない魔物は多いのです。私の得意分野に持ち込めてもスティレ、カーディフが苦手なら意味がないので」
ソアレがスナップに言っていたが、ルディールはもうすぐAに上がれそうと思ってソアレを見ていた。
「…ルディールさんは灯台の街へ着いたら、何をするおつもりで?」
「ん?当初の目的は美味しい物を食べて街巡って終わりじゃったが、この妙なアンデッドが気になるからのう。出来る範囲で調べてみようと思うのじゃ」
「…彷徨っているようなアンデッドですからね」
「そんな感じの予定じゃがスナップは良いか?」
「ええ、大丈夫ですわ。実体がないなら苦手ですが、こちらの攻撃が当たるなら問題ないですわ。世間的には隕石が落ちた所ですから何かがあるのかも知れませんわ」
「その辺りは行ってからのお楽しみにじゃな。しっかし変なアンデッドが出てくる以外は平和な街道じゃのう」
「…森からも離れていますし、獣や魔物も賢いですから、見晴らしが良くて襲ってこないのでしょう。勘の様のなもので相手の強さもわかるでしょうし」
「ソアレ達は向こうに着いたらどうするのじゃ?」
「…私達は商会長の護衛ですね。街と言うくらいなので人がやはり多いので、憲兵がいるので大きなもめ事は無いとは思いますが、海賊などもいますからね」
ソアレが教えてくれたので、ルディールは海賊がいるのに何故捕まえないのか? と聞いた。
「…街で悪さをすると普通に捕まりますが、海の上で相手の船とか沈めるとか目撃者を消したらどうしようもないので」
「なるほどのう、海賊じゃな」
「…まぁ、それも有りますが、海賊と言うだけあって海上での戦闘は強いので、海の魔物の討伐には少しは役に立ってるのでグレーな所だと思いますよ」
「難しい所ですわね」
「ローレット王国の船というか、海上で戦闘する海軍はおらぬのか?」
「…いますが少ないですね、海に面している所が少ないですし、海軍より空軍と陸軍に力を入れていますよ」
「後、何か気をつける事はあるか?」
ルディールがそう聞くと、ソアレが少し悩んでからポンと手を叩き教えてくれた。
「…たぶん会えると思いますが、ルディールさんが好きそうな海賊団がいますね。と言うか十中八九仲良くなりますよ」
「なるほど……変な奴がおるんじゃな!」
「そこで肯定してしまうと、ルディール様の知り合いは変な奴と言う事になってしまいますわ!」
少しあきれ顔のルディールに否定できるのか?とスナップが聞かれたので顎に手を置き考えてみると、ロリコン剣士に進化速度がパない村娘に物語の主人公のような令嬢など癖のある役者ばかりだった。
「わたくし以外は確かに変なのばかりですわね………」
そうスナップが言ったのでルディールとソアレが同時にお前が一番だろ……と思っていた。
「あれじゃな最近、大公爵とか大賢者とか来たから、大海賊とか言うのもおるんじゃろか?」
「…その辺りは行ってからのお楽しみにですね。でもルディールさんも大魔法使いとか言われてませんでしたか?」
「そういえば言われた記憶があるのう……超魔法使いにしてもらおうかのう」
「どちらも大して変わりないように思いますわ……」
ルディール達がそう会話していると、ソアレが少し笑い間違いないですねと呟いていた。
それから少しずつ増えていく変なアンデッドを浄化して無事に進み、日が沈んだ頃にようやく灯台の街が見えてきた。
「おお!あれが灯台の街じゃな!灯台が大きすぎぬか?」
「…ええ、数は少ないですが飛空挺も来ますからね」
ルディール達を乗せた荷馬車は灯台の街へ入っていった、その街は潮の香りがし波の音が聞こえ、多くは無かったが半魚人の様な人や足がたこの様な女性もいた。
「こう、あれじゃな……リベット村でも思ったが角が生えてるぐらいじゃと普通じゃな」
「わたくしも、人間と言っていい気がしてきましたわ」
二人で話していると、商会長がこちらにやって来てルディール達の予定を聞いた。
「オントさんはこれからどうしますか?一応オントさんの分も宿は予約してあるので、泊まる所はありますよ?」
「それはありがたい。お言葉に甘えてよいか?」
「ええ、大丈夫ですよ。今日はもう日が暮れてるので、私達イオード商会も何もしませんから皆で食事でも行きましょう」
海の見える宿の一階の貸し切ったレストランでルディールは異世界の海の幸を楽しんだ。
「……あんた、ちっこいくせによく食べるわね」
「明日の為の食事じゃからな!これも美味いのう!」
ルディールが座る席だけは他の席とくらべ、大量の食べ物が並べられていた。
「ここまで美味しそうに食べられると、見ているほうも美味く食べられるな。ルディール殿の明日の予定は?」
「ふむ、ふぁしたはまひのふぇんはくはな」
「飲み込んでから話しなさいよ!」
スティレの質問に口の中に残したまま話しカーディフに怒られたので、すぐに飲み込んでから返事した。
「明日は街の見学じゃな。何が売ってるのかも分からぬし、初めて来た街じゃしな」
「……ちゃんと噛みなさいよ!」
「……スナップさんも食べるんですね」
「ええ、構造的にはほとんど人ですわ。食べないとエネルギーに回せないので出来るなら食べないとだめですわ」
と、他の人に聞こえないようにソアレがスナップに疑問を投げかけていた。
食事を終えてソアレ達と別れ、商会長が予約してくれていた部屋にスナップと向かった。
「こう、波の音が聞こえる宿というのも良い物じゃな」
「ええ、そうですわね。ルディール様、おやすみなさいですわ」
「うむ、お休みじゃ」
少し疲れた体を休める為にその日は早めに就寝した。
日曜日は、作者もお休みですね。
次回の更新は月曜日の朝か昼になります。




