第42話 戦力強化
イオード商会の商会長が帰り、ルディール達に会いに来た人物は魔法使いのソアレだった。
「…ルディールさんおひさです、近くに来たので遊びに来ました」
「おおっ!ソアレか良くきたのう、上がるのじゃ」
失礼しますと頭を下げ中に入るとルディールの近くにいるスナップに気がつき、その事について訪ねた。
「…メイドさんを雇ったんですか?」
「そんな感じじゃな、名前はスナップと言う。スナップよ、この魔法使いは、ソアレと言うわらわの友人じゃ」
ルディールが二人に紹介すると二人とも頭をさげ、お互いに名乗り始めた。
「スナップ・ノイマンですわ。ソアレ様、今後ともよろしくお願いいたしますわ」
スナップの名前を聞いたソアレが少し考える仕草をしていた。
「…ノイマン……気のせいでしょう、私はソアレ・フォーラスです。よろしくです」
二人の挨拶が終わり、応接室に向かう途中でスナップがルディールに話しかけていた。
「お父様の様にガチボッチかと思っていたら、ルディール様にもちゃんと友人がおられるのですわね」
その言葉に言い返そうかと思ったが、それはありがたい事だったので素直に受け取った。
「ありがたい事に数人はおるのう、と言うかミーナやバルケもおったじゃろうに」
「それはそうですけど、ミーナ様は妹っぽいですし、バルケ様はただのバルケかと思っていましたわ」
などと話している内に応接室につき、ソアレに座ってもらい、たわいも無い話もしつつ情報交換などした。
「探しておったのに、お主全然おらんかったが何処に行っておったんじゃ?」
「…護衛の仕事などしてましたから、スティレも戻って来たので王都から中央都市に飛空挺できてそこから、イオード商会の護衛の仕事を受けてここまで来たという感じですね。後、貴族と神官達ですが、さすがは王女様というか王族ですね。引っかき回しているようでお互いに動けないようです」
「なるほどのう、王族はどっちの味方なんじゃろな?」
「…それは分からないので、人聞きの良い様に国民の味方と言う事にしておきましょう。それとセニアとアコットから伝言です」
そう言うとソアレは数日前にリノセス姉妹から預かった感謝の言葉をルディールに伝えた。
「空中庭園から持ち帰って渡したものじゃが、気に入ってくれて良かったわい、セニアもアコットも気に入っているようじゃしな。アコットの方はああいう浮くおもちゃが無かったら少しめんどうじゃがのう」
「…あの浮く木馬ですか?今の技術なら作れるので見られた所で大丈夫ですよ、性能は天と地ほどの差がありますが、セニアへのプレゼントですが少し運が良くなったような気がすると喜んでました」
「なんというか、セニアは侯爵の娘で、おやっさんイケメンでママは超美人で妹は可愛くて、家はめっちゃ金持ちで人生勝ち組まっしぐらなのにまだ運良くなってどうするんじゃろな?」
「…付け足すなら王女様がクラスメイトで知り合いに大公爵がいて、姉役に天才美乙女魔法使いがいて、友人にとんでも魔法使いとその弟子がいますね」
「美少女とは言わないんじゃな…」
「…学校も卒業していますから流石に少女ではないでしょう」
二人で話をしていると、スナップが紅茶とデスコックが作り置きしていたクッキーを持ってきてくれた。
「その方とお会いした事はありませんが、話だけ聞くと物語の主人公のようですわね、ソアレ様、お口に合うかは分かりませんがどうぞですわ」
「…ありがとうございます。私もそう思いますね」
ソアレがこれ美味しいですねと言って、クッキーをつまんでいるとルディールがアイテムバックの中からエアエデンから持ち帰った杖をソアレに渡した。
「もっと早く渡そうと思っておったんじゃがのう、なかなかお主に会えなかったのでな」
「…えっ?えっ?はい?これもしかして神鳴りの杖ですか?」
「ええ、そうですわ。ソアレ様その杖の事をお知りで?」
スナップがそう聞くとソアレが自分のアイテムバックの中から一冊の古い本を出し幾度となく開かれ少し破れたページを開いて見せてくれた。
そのページには若い頃であろう時の大賢者ノイマンの絵が精密に描かれておりその手には、ルディールがソアレにあげた神鳴りの杖が握られていた。
「…この杖は私の様な雷を主軸に使う魔法使いには憧れ、いえ信仰に近い物があります」
「ほーそうなんじゃな…絶対にこの絵、尾ひれが付いておるのう…」
「ええ、お父様はこんなにかっこよくは無かったですわ、というかルディール様にお父様の写真はお見せしました?」
ルディールがそのやり取りをごまかしていると、スナップが大賢者ノイマンをお父様と言ったのでソアレがその事に深く食いついてきた。
「…お父様とはどういうことでしょう?」
「あっ…失敗しましたわ」
「ん?元より話すつもりじゃったし聞きたい事もあるから別にかまわんよ」
ルディールはそう言って空中庭園もといエアエデンで自分達が体験した事をソアレに伝えた。その事を聞いたソアレは紅茶を一口のみルディールの安否を気遣った。
「わらわは大丈夫じゃな、それで聞きたかったのは聖女のことじゃな」
「…私が言うことではありませんが気をつけてください。聖女ですか?」
「そうじゃ、少し前にバルケに聖女はXランクみたいな事を聞いた事があったのを忘れておってのう、お主と入学式で見た聖女はAクラスじゃったがそこまで強いと感じなかったのでな」
禁書でも聖女の造り方をみたのでその事が少し気になっていた。
そうですね……と少し考えてからソアレは自分の考えをルディールに伝えた。
「…まずはあの聖女の魔力は濁っていましたが、私達に比べたら脅威にはなりませんが聖女と言うので何かしらの力はあると思います。後バルケさんが言ってる聖女は先代の事だと思いますね、今は全然見かけませんが」
「なるほどのう、先代とかそういうのも居るんじゃな」
「…確実では無いですが、神官達の歴史はかなり古いので何かあると思いますよ」
「想像で全員ぶちのめす訳にもいかぬし、王族も歯がゆいじゃろうな」
「…ええ、神官全員が悪という訳でもないでしょうし、それはそうと本当にこの神鳴りの杖を頂いても?大賢者ノイマン様の形見では?」
ソアレがスナップに聞くと少し笑いながら一番の形見は空に浮いていますわ、使って頂いた方がお父様も喜びますわと快く杖の所有権を渡した。
そしてソアレはその事に深く頭を下げ礼を二人に礼を言った。
「…ルディールさん、この杖に対する対価がありませんが…」
「ん?別にかまわんじゃろ?お主が強くなっておけばわらわも安心じゃしな」
「…そうですか…かわりに私の胸でも揉みますか?」
とソアレがいきなり突拍子もない事を言い出したのでルディールは飲んでいた紅茶を吹きそうになった。
「お主、友人として一つ言わせて貰うが、下ネタを言って受けなかったら只の変態じゃぞ?」
「…渾身のネタでしたが駄目でしたか…ちなみにカーディフに、昔言った時は殺されそうになりましたね」
「自分もそうとう無茶をしとるではないか…」
「…ではルディールさん、この杖の性能を試したいのと前に言っていた感知型の雷魔法を教えて貰いたいので外か森に行きましょう」
「わらわはゆっくり…ごほん。お主も護衛で疲れておるじゃろ?休んだ方がいいと思うのじゃ」
ルディールはそう言ったが聞き入れて貰えず、スナップからも魔法をもっと見たいので行きましょうと声をかけられたので諦めて、転移魔法で森の中のルディールが召喚された開けた場所に飛んだ。
「さてと、元気な内に感知型の方から教えようとは思うんじゃが、どう説明したらええんじゃろな?」
ルディールがソアレに教えようとしている魔法は、ゲーム中の魔法で雷の触覚と呼ばれる魔法で一定の距離に敵が近づくと感知して形や方向や数がわかる雷魔法使いがよく取る魔法だ。
(プラズマボールみたいな感じと言って伝われば話が早いんじゃがな)
「ソアレは人の体には電気が流れているのは知っているか?」
「…はい、それは大丈夫です。微弱すぎるので魔眼でも見えませんが、私が使える魔法の中にもその流れている電気をいじって手足が逆に動く魔法もあります」
「はやい話がその電気を感知してしまおうという魔法じゃな。わらわは使えんが説明はできるのでな」
「…?ではルディールさんはどうやって敵を感知していたんですか?」
「まだ内緒じゃな。さて説明していくがわらわは説明が上手い訳ではないからのう、一緒に考えていくのじゃ」
「…よろしくおねがいします」
「まずはこのような感じに自分が想像できる範囲に魔力でドームをつくるじゃろ?」
「…はい、私の魔眼でも確認しましたがドーム状になっています」
「その魔眼のままドームに手を入れて見るのじゃ」
ルディールがそう指示をしたのでソアレがそのドームの中に手をいれると、手には何の感覚も無かったが、魔眼には手の周りには何かがまとわりついていた。
「見えたか?」
「…手には何も感覚はないですが、魔眼にははっきりと写っています。」
「この魔法はわらわのおった国の入門的な感知型の魔法じゃな、この国の魔法と少し似ておるがな。お主に教えるのはこの上位互換の魔法じゃな。」
「…わかりました。私の知っている魔法とは違うので少し時間がかかると思いますがよろしくおねがいします」
それからルディールとソアレとスナップの三人で悩みながら教えつつ教えられつつ四~五時間が経過した頃、ようやくソアレが何かを閃いた。
ソアレはコツを掴むと持ち前の理解力と魔法技術で雷の触覚を覚えた。
「流石は魔法学校首席…わらわの説明の悪さで足を引っ張った様な気がしてならないのじゃ」
「…過小評価しすぎですよ、ヒントだけ与えられてもルディールさんとスナップさんがいなかったら無理ですよ、こんな難しい魔法は…」
「そうですわよ、ルディール様もっと自分を褒めてよいですわ」
「お主らほんと良い奴じゃな。…あとその魔法の注意点じゃ、便利じゃが見える範囲を増やすと情報量が増えるから倒れるぞ」
「…はい、この狭い範囲でも色々と情報を拾うので酔いそうです」
「後、言っておく事はなんじゃろな?矢とか投石も感知できるしのう。そうじゃ!」
そう言ってルディールはその感知魔法で重要な事を思い出したので足下から小石を拾った。
「その雷の触覚で便利な事なんじゃが、今からこの小石をお主に向いて軽く投げるから感知したら雷を飛ばすイメージで小石に集中するんじゃ」
ソアレが分かりましたと言ったのでルディールは軽く小石をなげ、ソアレが感知した瞬間に体から雷がはしり小石を撃墜した。
「ソアレ様、おめでとうございますわ」
「…この魔法は凄いですね…感知しながら攻撃ができると」
「一気に打ち落とすと魔力が無くなるから多用はせぬ方がよいぞ?感知魔法じゃしな」
「…ありがとうございます。それを言ってくれて良かったです。調子に乗って大変な事になってました、スナップさんも付き合ってくれてありがとうございました」
「どうする?神鳴りの杖の性能を試すか?」
「…はい、まだ余力があるので大丈夫です」
「わたくしも余裕ですわ」
「ふむ、今覚えた感知魔法で少し周りを感知してみい」
ルディールが笑いながらそういうのでソアレが無理の無い範囲で感知するとその顔が驚きに満ちていた。
「えっ?囲まれている?」
「実戦の方が話がはやいじゃろ?」
そう言って周りを見渡すとルディールの群れの炎毛猿達が囲みこちらを見ていた。
次回の更新も多分明日になります。




