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第41話 新たな冒険

 ルディール達がエアエデンから帰ってきて約二週間ほど経ち、リベット村には少し前から来るのが増えたイオード商会の行商が、いつもよりさらに数多く来ていた。


「また今回はやたらと多いのう…村の人は喜ぶじゃろうがイオード商会の儲けはあるんじゃろうか?」


 と自宅の二階から外を見ながらルディールのメイドになったスナップに話しかける。


「わたくしは見るのが初めてですのでなんとも言えませんわ。でも使い古しの賢者の石を渡した時に泡吹いて倒れましたからそのお礼では?」


 倒れたお礼と言うのもおかしな話じゃなと言って、エアエデンから戻ってきて、翌日にイオード商会に向かった時の事を思い出していた。




 中央都市の倉庫からイオード商会に向かう途中の道でルディールはスナップに話しかける。


「何処まで話して良いんじゃろな?わらわを信用して傭兵として雇ってくれたんじゃし、嘘は言いたくないしのう」


「ですわね。けど全部が全部お話しする訳にもいきませんし、どこまで信用していいかも分かりませんわ」


 と二人で悩みながら商会の扉をくぐると中には見慣れた先客がいた。


「昨日ぶりじゃな、バルケよ」


「おっ、ルー坊とスナッポンコツかどうした?」


「ポンコツではないですわ!」


 空中庭園が再浮上したので、その事で話があるとイオード商会から呼び出しがかかったと言う事を伝え、何処まで話すか悩んでいるともバルケに伝えた。


「なるほどな…ここの商会長だったら話しても大丈夫だと思うぞ?」


 そうなのか? とルディールが答えると、ちょうどイオード商会の商会長が出てきて、バルケにお金を渡していた。


「バルケさん、灯台の街の周辺の魔物の討伐の報酬です。…オントさん、いらっしゃいませ、少々お待ちくださいね」


「お主、灯台の街に行ったと言っておったのう」


「海上はさすがに戦えんから周りの獣とかの討伐だけどな。昔、船の上で戦った事あったが狭すぎて大変だったわ」


 ルディールとバルケが話しているのを見て商会長が、おや、お知り合いでしたかと言って少し考えてから、オントさんの知り合いの冒険者はバルケさんでしたかと言って三人を応接室に案内した。


「ではオントさん、空中庭園の事ですが再浮上したので行く事が不可能になりました」


 残念そうな商会長見ながら何処まで話すかをルディールは考え、エアエデン完成の事とスナップやスプリガンの事は話さずに自分たちが行った事を話す事に決めた。


「うむ、その事なんじゃがバルケも知っておるが」


 そう切り出してからルディールは空中庭園に行った事を伝えた。


 その話を聞いた商会長は始めの内は子供の様に目を輝かせて居たが禁書が出てきた辺りの話で顔色が悪くなり商人の顔になった。


「オントさんやバルケさんが行ってくれて助かりました…冒険者ギルドが一冊でも持ち帰っていたらと思うと生きた心地がしませんな…」


「やはり戦争とかになったりするのか?」


「表だって戦争にはならないとは思いますが、影では相当の武器などが出回りますよ、オントさんですからお教えしますが、少し前から貴族側と神官側に武器などが多めに流れていっていますからね」


「あーそういや、王女が誘拐されそうになったって話だったな。なんか貴族の凄腕魔道士が全員殺さずに捕縛したって話だったか?」


「誘拐の話は商人側にもでてますが、詳しい話は王室が箝口令しいて流れない様にされてますから、どこでその情報を?」


「浮浪者のじいさんとかと仲が良いからな、噂程度なら色々聞けるぞって、なんでルー坊がドヤ顔してんだよ」


「バルケ様と似たようなものですわね」


「俺は冒険者だよ!」


「話はそれましたが、何かある時は理由があってお金が動きますからね…他の商会や商人は別ですが、私のイオード商会は戦争で金儲けしようとは考えていないので、そういう火種になりそうな物は無い方がいいんですよ」


 なるほどのうっとルディールが呟くと、商会長がですが私も商人の端くれですので空中庭園のお宝には興味がありましたがねと、少し残念そうに苦笑していた。


「なるほどのう、なら二つほどお土産じゃ」


 その言葉に商会長がお土産ですか? と首を傾げた、そしてルディールはスプリガンに寄生して合体した大型のライフイーターの亜種の魔石を机の上に置いた。


「多分、新種の魔物の魔石じゃ詳しくはバルケに聞くとよいぞ」


 その大きな新種の魔石に商会長は目を輝かせいくらになるか計算していると、ルディールがそれに比べると遙かに小さい赤い石を机の上にそっと置いた。


「後はこれじゃな…この二つは好きに使えば良いが、お釣りがくるなら空中庭園の事は内緒にしリベット村に行商増やすぐらいかのう?行商の数は多くなったから別にいいんじゃが」


 ルディールの言葉が右から左に抜けている商会長はその赤い石を恐る恐る手に取り、ルディール達に質問してきた。


「……もしかして賢者の石ですか?」


「中古じゃがのう」


 その言葉に商会長は目を回し後ろに大きく倒れ気絶した……




「あれから、憲兵さんきたりして大変じゃった……」


「ですわね……賢者の石も隠さないと駄目でしたし」


 二人で少し前の事をはなしていると玄関の鐘がなり来客があったようだった。


「またガキンチョーズのピンポンダッシュか?スナップにお仕置きされたのに懲りんのう」


「さすがに違うと思いますので、少し行ってきますわ」


 そう行ってスナップは玄関に向かって行くと本当に誰かが来ていたようで応接室に案内していた。


「ああやって見ると普通のメイドさんじゃな。誰もバルケと互角ぐらい戦えるとは思わないんじゃろな~」


 独り言を言っていると、スナップが戻ってきてイオード商会の商会長が来たと教えてくれたのでルディールも応接室に向かった。


「いらっしゃいませじゃな、商会長殿」


「こんにちはオントさん。先日はお恥ずかしい所を見せてしまって…」


「かまわんよ、行商の数も聞いておったようでかなり増やしてくれたしのう。所で今日はどうしたんじゃ?」


「多少行商を増やした所で賢者の石の価値に比べたらね、この間の魔石ですがやはり新種の魔物の魔石でした。どうします?またオークションに出品しますか?」


「ん?あれはお主にやった土産じゃしのう。好きにしたらええわい」


 そういうと商会長は大きく頭を左右に振り、流石に賢者の石を頂いていますからといい断った。


「言っても聞かなさそうじゃな…ではオークションに出して売り上げ金を四等分にしてもらえるか?わらわとミーナとバルケとスナップの分じゃな」


 そう話すと横で静かに聞いていたスナップが私の主はルディール様なので三等分ですわと言って絶対に譲らなさそうだったので結局、三等分になった。


「いくらになるかは分からんが、ミーナは学生じゃから実家の方にお金を渡しておくと良いと思うぞ」


「ミーナさんはたしか未来の大魔法使い様でしたね、了解しました。私も手が空いている時は行商達について来てリベット村に来ようと考えていますので、その時にお渡ししますよ」


「なるほどのう、ちなみにオススメの宿屋はミーナの実家じゃな、わらわ的には王都の竜の顎より料理はうまいと思うぞ、ひいき目かもしれぬがな」


「なるほど…それは楽しみにですね後で行ってみます、それと賢者の石は本当に頂いても?」


「かまわんよ。と偉そうに言うておるが、正直わらわの手に余る代物じゃからな、売るなり何か作るなり商会長の好きにしたらよいぞ」


「ありがとうございます、おかげで何処に対しても使えるカードが手に入りました」


 そう言ってしばらく二人で情報交換などして話を詰めていると、商会長がルディールに次は何処か冒険をするのかと尋ねてきた。


「そうじゃな、吹雪の国か灯台の街に行って見たいとは思っておるのう」


 そう商会長に話すと今の時期だと吹雪の国はまだ雪が残っていて国境が封鎖されていると教えてくれて、灯台の街に行く方が私にもメリットがあると言った。


「後、一週間後ですが私も灯台の街に向かうので良ければ一緒に向かいますか?」


「それはありがたい申し出じゃが、仕事の邪魔にならぬか?」


「大丈夫ですよ、向こうで会う方はその様な事は気にしませんし、道中は冒険者を雇うのでゆっくり行けますよ」


「灯台の街には飛空挺はでておらぬのか?」


 出てはいるが元が取れないので荷馬車で行く方が良いと教えてくれた、ルディールも灯台の街には行く予定だったので特に断る予定も無かったので、イオード商会と一緒に灯台の街に向かう事にした。


 そして勝手に決めてしまったので、スナップの方を向き声をかけた。


「勝手に決めてしまったがスナップは大丈夫か?」


「?いえ、特に問題ありませんが何かありましたか?」


「いや、錆びたら困るな~と思ってのう」


「錆びませんわ!真面目な顔して何を言い出すかと思いましたわ!」


 ふたりのやり取りに商会長が不思議そうな顔をしていたが、話を詰め一週間後の朝に中央都市のイオード商会前で合流となった。


「分かった、その予定で行くようにしよう、何か持って行く物はあるか?」


「いえ、とくにはありませんね。私の方でいりそうな物は用意して置きますのでそのまま来て頂ければ」


「了解した、では道中は分かる範囲で護衛もしておくのじゃ」


 それは心強いですねと話し、村長さんと話があるのでそろそろ行きますねと、言って帰ったなと思っていたら、もの凄い勢いで走って戻って来た。


「はぁはぁはぁ!オントさん!」


 その鬼気迫る表情に少し気圧されながらルディールは返事をした。


「どっどうしたんじゃ?」


「あの!はぁはぁ!花壇に植えてある花は竜燐華草ではないですか!」


「おお、ってなんでお主が知っておるんじゃ?」


「いえ、前の国王の生誕祭の時にリノセス侯爵が国王に献上し、たいそう喜ばれておりましたから!」


 ルディールは暢気になるほどのうと答えると、商会長は言い値で買いましょうと言ってきた。


「……ただの光る花じゃぞ?大丈夫か」


「あの花はこの国には無い花です!出所も分からず他の商人達も必死に探していますよ!王様があそこまで喜ばれるなら持っておきたいカードですから!」


「なるほどのう……でお主は何に使うのじゃ?」


「……言わないと駄目ですか?」


「駄目じゃ」


 ルディールがそう言うと先ほどまでの鬼気迫る雰囲気は消え、その辺にいる気の良いおじさんのようになり、かなりの小声でもうすぐ妻の誕生日ですからと答えた。


 その言葉に力が抜けたルディールは庭に行き植木鉢に植え替えて、ここが出所と言うのは内緒じゃぞと言って、スナップに竜鱗華草を包んでもらって商会長に渡した。


 受け取った商会長はあまりの嬉しさにスキップしながら村長の家に向かっていった。


「お主のとーちゃんもそうじゃが、仕事のできる人間はああいう所があるのう」


「そっそうですわね。昔、手袋編んであげたらスキップしてましたわ」


 そう言って家の中に入って二人でのんびりしているとまた玄関の鐘がなり来客があった。


「何か、今日は人が多いのう…」


「ですわね。普段なら子供達が来るぐらいですものね」

 次回の更新はまた明日の朝になると思います。


 いつもありがとうございます。おかげさまでブックマークが100超えました。



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