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第52話 たまにはのんびりと

 宿の部屋を確認して通信用魔道具でイオード商会の商会長に連絡を入れたルディール達は、自由時間になったので街へと向かう。


 バルケがこれからどうする?と尋ねたのでルディールはバルケとスナップを一緒に行動させてやりたいと思ったが、知らない街で何があるかも分からないので今日はまとまって行動する事に決める。


「わらわはいつもの様に本がある所じゃな。皆は行きたい所はあるのか?」


 ルミディナもルゼアも特に行きたい所は無いと言い観光するだけなので付いて行くと言った。


 スナップは雑貨などを見たいとの事だった。


「そうだなー。商業区で冒険者用の道具とかは見たいな。ここでしか売ってない物も多いって聞くしな」


 バルケが地図を広げ皆が行きたい場所を確認すると皆が行きたい場所が似たり寄ったりの場所にあったのでそこに向かって歩き始める。


 そしてルディールは少し気になった事をバルケに質問する。


「そう言えば換金とかせんでよいのか?ルストファグナは十数年に一度の浮上なんじゃろ?自国通貨とかあるのではないか?」


「いや、ローレットと同じだな。普段は人間とかその辺りの種族がいけないだけで泳いだり潜ったりが得意な種族、マーマンとかスキュラとかは海底にいる時でも普通に行けるからな」


「ほほ~。それで宿とかが機能しておるんじゃな。十数年に一ヶ月程度なら普段は儲からんじゃろうからな」


「そういうこった」


 ローレットの街とは違う町並みに感動しながら歩いて行くと目的の商業区に入った。


 そこにはルディール達が見た船団の人達や他の地域からも様々な人達が観光や買い付けに来ている様でとても繁盛していた。


 売っている物の物珍しさにルミディナとルゼアは目を輝かせ市場を回り始めたので、ルディールは迷子にならない様にと声をかける。


「どうする?先に図書館いくか?」


「急ぎと言えば急ぎなんじゃが……流石にあれぐらい嬉しそうなのを無視して行くのはのう。まだ時間はあるんじゃし。もう今日はここでよかろう。わらわも土産を買わねばならぬしのう」


 バルケが違いねーやと言ってルゼア達を見ると本当の姉妹の様に仲よさげに市場を見ていた。


 ルディール達もお互いが目に付く範囲で行動する市場を見て回る事になる。


「さて何があるのかのう……というか色々あるのう。バルケ的には何を買うんじゃ?」


「そうだなー。採取系の依頼とかあるから水の中でも呼吸できる魔道具を買おうとは思ってるな。ローレットで買うとクソ高いからな」


「便利良さそうじゃな」


 市場は露天として出している所もあれば店舗として店を構えている所もあり、様々な物が売られていた。


 そしてルディールは友人達のお土産を買う為に色々と悩み始める。


 ただ思った以上にお土産の量が増える事に、知らない世界の知り合いは増えたと笑顔になった。そして笑顔になりながら露店を見ているとルディールの耳に仲よさげな姉妹の声が届く


「ほらほらルミディナ。お姉ちゃんがこの魔虫の置物を買ってあげましょうか?魔力を流すと発光するらしいですよ」


「ありがとうお姉ちゃん!私その魔虫の置物が欲しかったんだ~とか言いませんよ!年頃の女の子が欲しがるとでも思ってるんですか!?」


 その光景を眺めていたスナップが感想を述べる。


「なんというか……ルディール様とミーナ様みたいですわ」


「わらわもそう思う」


「俺もそう思うな」


 そんな話をしているとルミディナ達が露店で何かを見つけた様でルディール達を呼ぶ。


 そこにはかなり古い書物などが置かれており水や海といった魔法が書かれた魔道書が置かれていた。


「くっ!これはオント家のいつものヤツじゃな」


「立ち読みすると覚えてしまうから買うしかないやつですね……分かります」


 その露店の店主に少し説明をして貰いどういう事が書かれた物かの説明を受ける。


「その魔道書は空気を作る魔道書でそっちは流れを作るだね。使い所としては海中の洞窟とか調べる時に使う物だね。空気をドーム状に張れるから人間族でも水の中で作業出来るって事さ」


「なるほどのう。水の中で呼吸できる魔道具を使っても水の中じゃ水圧でまともに動けぬからこの魔法があるんじゃな~」


「そういう事。私達みたいなネレイスとかいらないけどね。それでこっちの流れを作る魔道書は溜まってるガスとか抜く時に使ったりするけど普通の風の魔法とかでも代用が利くから正直いらないと言えばいらないね」


「せっかくじゃし両方もらおうかのう。風の魔法が使えなくてもこれなら使えそうじゃし」


「まいどあり。他には何かいるかい?」


「後はこの辺りの生き物の図鑑みたいなのと魔法の歴史とか古文書っぽい物があればもらえるかのう?」


「あいよ。じゃあ……この辺りの生き物と魔物の図鑑とルストファグナの歴史が載った本でいいかい?古文書と言うよりは私達には読めない本とかも数点あるけどそれはどうする?」


「わらわにも読めるかは分からぬが……古い本なら家の飾りにはなるじゃろうから貰えるか?」


 お金を払い本を受け取る。露店の店主は古い本とかが好きなら図書館に行くと古い文字を翻訳した本があると教えてくれたので、ルディール達は礼を言ってから他の露店を回る。


 ルミディナもルゼアも買った本が気になったのかルディールに質問する。


「古い本は別としてお母様的にはどちらも必要ないと思うんですけどどうして買ったんですか?」


「うむ。リベット村で地下通路とか作っておるんじゃが空気とかが滞留するんじゃよな。それでわらわがおらぬ時でも村の人達が作業出来るようにじゃな。たまに変な所掘るとガスとかでるしのう」


 なるほどとルミディナとルゼアは納得したがバルケはまた発展させようとしてるのかと苦笑していた。


「そうそうバルケよ。知り合いに魔物使いとかおって仕事とか探しておらぬか?」


「いるが……だいたい冒険者やってんな。というか魔物使いとか余る職業じゃねーしな。基本的に何処に行っても仕事があるから引っ張りだこだぞ」


「じゃよなー。冒険者やめても魔物が扱えるんじゃから仕事には困らんと言う話じゃしな……」


「そういうこった」


 それからスナップにコソッとバルケのプレゼントを相談されて、ルミディナとルゼアがニヤニヤしたりその逆もあったりと皆で市場を楽しんだ。


 生物の体内なので昼夜が分からないはずだったが街を明るく照らす街灯が夕日の色に変わっていったので、外は日が沈む時間だと言う事がわかった。


 一度宿に戻る事になったので宿に戻ると商会長達も同じ様に宿に向かっていたので合流する。


 そして宿で休憩してからルストファグナに来た全員で食事を楽しむ。


「……ルディールさんもですがルゼアさんもルミディナさんも体の割によく食べますね」


「うむ!流石は海の幸!美味い!」とルディールが力強くいうとルミディナもルゼアも口に食べ物が入っていたのでコクコクと力強く頷いた。


 宿の人が少し引くぐらい食べた後に楽しい食事は終わり解散となった。そしてルディール達も部屋へと戻る。


 ルミディナとルゼアはベットに飛び込み二人でキャッキャッと遊んでいたのでルディールはテーブルの上に買った本を置き椅子に座って読み始める。


 するとスナップがコーヒーを入れてくれ、優しい表情でルゼア達を見ていた。


「……わたくしは思った以上に子供好きかもしれませんわ」と話を振られたのでルディールは本を閉じて同じ様にルゼア達を見る。


「村で子供達に勉強を教えている時もかなり楽しそうに見えるから好きじゃと思うぞ?」


「そうなんですの?」


「うむ」


「自分でも分からない事は多い物ですわ」


 等と話しているとルミディナがこちらにやって来たのでスナップは二人にもコーヒーを入れてあげる。


 そしてルミディナとルゼアがルディールに質問する。


「こちらの世界のお母様は、ミーナお母様かセニアさんどちらを選ぶんですか?」


 いきなりの爆弾発言に思いっきりコーヒーを別の世界の娘に向いて吹き出したが。時を止めたようでその場に二人の姿は無く代わりにコーヒーが染みこんだタオルがあった。


「お母様!あぶないですよ!」


「すっすまんが!いきなり変な話を振るお主が悪いじゃろ!」


「いえ、この世界の私の出生がかかっていますので別に変な事ではないですよ?」


「お主な……親の恋愛事情聞いてどうする?って話なんじゃが……」


「いえ!今のお母様なら見た目も私達に近いのでどちらかと言うと姉妹かと!」


 もう何を言っても面倒くさい事になるのがわかったルディールは多くは語らずノーコメントとだけ言って貝の様に口を閉ざした。


 年頃の娘がそれぐらいで止まるはずもなく二人の攻撃はスナップへと向かった。


「スナップさん的にはどうですか?」


「ミーナさんですか?セニアお母様ですか?」


 スナップに余計な事を言うなとルディールはアイコンタクトを送るが、そういう話が大好きなスナップが話に乗らないはずも無く……


(絶対に面倒くさそうじゃし……先にシャワーでも浴びてこようかのう)


 三人を呆れながらルディールは風呂場に向かうが三人はそれに気がつかない程に盛り上がる


「個人的な意見でいいんですの?」


 コクコク


「わたくし的にはミーナ様もセニア様も同じぐらいだと思いますわ」


「え?こちらの世界のルディールお母様はハーレム狙いですか!?」


「その可能性もありえますが……今の所はシュラブネルのリージュ様が今は一強かと思いますわ!先に理由を言いますと、人工呼吸とは言えルディール様とリージュ様はキスされていますし、デートもされていますわ!」


「「おお!!」」


「ですので!リージュ様が一番かと!続いては命がけで魔界まで助けにいったソアレ様が来ると思いますわ!なんと言ってもルディール様の親友ですわ!そしてソアレ様は私とも仲良しですわ!」


「「なるほど!!」」


「そして次にミーナ様とセニア様が三番手辺りに来るとわたくしは思っておりますわ。でもルディール様は女たらしなので他にもライバルが多いと思いますわ」


 スナップの話に納得した二人は手を叩き他の世界のルディールを知っているルゼアが話を始める。


「ルディールお母様とリージュさんが結ばれた世界も見た事ありますが子供は男の子の双子で超絶イケメンでしたよ!たしか……ルリとリディだったはずです!」


「そのお話を詳しく聞きたいですわ!」




 シャワーを浴び終わったルディールだったが三人は恋バナ? で盛り上がっていたので買った本だけ回収してバルケの部屋へと避難した。


「おう。ルー坊どうした?」


「避難じゃな。三人で恋バナしておるわ……」


「あー……大変だな。一杯やるか?」


「うむ。飲むか」


 そんな感じで流都ルストファグナに着いた日は無事に過ぎていった。

いつも誤字脱字報告ありがとうございます。


次回の更新の予定は、本日中に更新できれば良いですが、帰宅が遅くなりそうなので明日の可能性が高いですのでよろしくお願いします。

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