第29話 お墓?
ルディール達が落ちた穴を見上げるとそこからは確かに綺麗な青空が見えていた。その事に首を傾げながら誰に問いかけるわけでも無く声を出す。
「ピラミッドの一階におったんじゃし絶対に落ちたよな?」
テテノも頷きその穴から青空を見て驚きながら答える。
「間違いなく落ちました変な浮遊感もありましたし……」
「私は崩落した岩が直撃していてあまり意識がありませんでしたが……落ちていた様な気はします」
「じゃよな?間違いなく落ちたはずなんじゃが……何処かに転移させられたのか?訳も分からずに動くのは危険じゃが見た方が早いか」
そう言って背中に翼を生やしてテテノとタリカをシャドーステッチで縛り二人を連れて青空が見える穴に向かって飛び上がった。
落ちた時の様に何かの干渉を受けるかも知れなかったのでルディールは全員に魔法障壁を張り穴を抜ける。
特に何事なく拍子抜けとなったが、無事に穴を抜けるとそこには一面の大空が広がっており足元には砂が溜まっていた。
その場所を確認するのにもう少し高く飛び上がり、空から見下ろすとそこは砂時計のピラミッドの屋上だと言う事が分かった。
「意味不明じゃな……」とルディールが呟くと二人も同じ事を思っていた様で頷いた。
そして屋上に降り立ち辺りを調べ始めると、所々に杭が打ち付けてあったりと人が来たような痕跡が少しあった。
そんな痕跡を見ながらルディールが悩んでいるとテテノが気づきすぐに声をあげる。
「ルディールさん!穴が小さくなっています!」
ルディールが驚きながら確認するとピラミッドに空いた穴は逆再生するかの様にゆっくりと再生を始めたのでルディールは急いでテテノとタリカをシャドーステッチで縛り二人を連れて中へと戻った。
「とりあえず砂時計のピラミッドと言う事は分かったんじゃが……色々ありすぎて混乱しそうじゃな」
「ですね……どうして上にいるのかと言う話になりますし、その前にサンファルテ側からはこの場所は伝えられていませんし……」
タリカはそう言いながら辺りを見渡すと先程を変わらず座った巨人の像が所狭しと並び手入れでもされているのか状態はとても綺麗だった。
それからテテノがアイテムバッグの中から羊皮紙を取り出して分かった事を書き連ねて話をまとめていく。
「分かった事ですがここは砂時計のピラミッドで私達がいる位置はほぼ間違いなく最上階です。落ちた弾みで上の階に転移させられたのはどうしてか分かりませんが……後、屋上の杭ですがあれはたぶんサンファルテのグリフォンを止めておく杭ですね。ほとんど消えていましたが少し足跡が残っていましたので」
「サンファルテ側もこの空間には来ておるじゃろな……この並ぶ像たちも綺麗じゃし……感じ的にお墓なんじゃろか?」
ルディールの質問に二人は答えを持っていなかったので辺りを調べようと言う事になった。
辺りを調べ始めてすぐにテテノ達を巻き込んで落ちてきた岩砕きの死骸が見つかった。ルディール達がピラミッドに来る時に襲われたものよりは小さかったが数十年は生きたであろう立派な大きさになっていたので装備を無くしたタリカが喜んで解体し魔石を抜き始める。
岩砕きの事はタリカに任せルディールとテテノは辺りを調べると、岩砕きが落ちた衝撃で壊れた像がいくつかあったが天井と同じようにゆっくりと再生を始めていた。
「ん~?像は石じゃから回復関係で修復しておる訳じゃないから……形状記憶合金とかそんなんで作ってあったら面白いが」
「無くはないですけど……この大きさでこれだけの数を作るとサンファルテの国家予算の数十年分とかになるので時間が蒔き戻っているのかと思いますね」
「じゃよなー……像自体に基準になっている時間があってそこまで戻っておる感じなんじゃろか?」
「そんな感じだとは思いますが……難しいですね」
そんな事を話していると岩砕きの体液まみれになったタリカが目をキラキラさせながら戻ってきたので調べるのを後にして水魔法でタリカを洗い風魔法で乾燥させてから探索を続けた。
「ありがとうございます……ですがもう少し丁寧に洗ってもらえると……」
「お主な……聖職者なんじゃからもう少し見た目に気をつけたが方が良いぞ。返り血を浴びた殺戮者みたいに見えたぞ」
等とルディールとタリカが話しているとテテノがかなり綺麗な像の前で止まった。
その像には花や宝石などが大量に飾り付けられており誰が見てもとても大切にされているのが分かった。
その像の足元にも一階と同じで文字で名前が書かれておりそれを読んだルディールが頭を傾げる。
「ルディールさんは読めるんですよね?なんて書かれているんですか?」
「先に言っておくし冗談は言わんがマカーラ・フォン・サンファルテと書かれておるのう……隣の石像は今のサンファルテの国王様の名前が書かれておるのう」
どういうことですか? とテテノとタリカも頭を傾げたが明確な答えがそこには無いので三人を悩ませた。
「う~ん……こういうのは歴史上の偉人とかが亡くなられた後に石像になったりすると思うんじゃが……王子も国王様も生きておるしのう?」
「亡くなった後に眠る場所かも知れませんけど……それだったら花とか置かないですし……」
「それこそ……物語とかでよくある王子は実は死んでいて実は別人とかですかね?」
「タリカがいう様にそれも全然あると思うが……今の国王様も別人ってなるんじゃよな?それに……」と言って辺りを見渡し石像の足元を見るとサンファルテの王族だと言う事を示すフォン・サンファルテと名前が丁寧に掘られていた。
(う~ん……意味不明じゃのう……じゃが街で見かけた聖職者達が王子を陛下と言っておったからタリカの言う事も全然あり得るんじゃよな~)
その情報を二人に教えて意見を聞きたい所だったが天使がいた事などを含めると、もしかしたら二人が狙われる恐れがあるので伝えるの止めて辺りを三人でまた調べ始める。
だが石像飾り付けられた宝石があるぐらいで特に変わったものなどは全く無かった。そしてタリカが聖職者にあるまじき事を話し出す。
「この飾り付けられてる宝石って持って帰って換金……調べても大丈夫なんですかね?」
「お主な……それは冒険者ではなく只の墓荒らしじゃぞ」
「でもこれってお墓じゃなくないですか?王子も国王様も生きていますし」
「そうなんじゃが……ここまで丁寧に装飾されておるとこの石像達が愛されておるのは分かるから、迂闊に余計な事をせん方が良いと思うがのう」
「大丈夫ですよ。愛でお腹は膨れませんし冒険者たる者。未来の自分に投資しないと駄目ですからね!」
そう言って目の前の宝石に目がくらんでいる偽聖職者にテテノも呆れているとルディールが思いだしかの様にタリカに伝える。
「ちなみに……鉱都ヘルテンの旧鉱山の奥にあるお墓でお主がしそうな事をすると、どぎつい呪いを真面目にもらうぞ。そういうのを欲しいなら止めんがいらないなら止める事じゃな」
その呪いの事は二人も知っていた様で宝石に手が届きそうな所でタリカの手が止まり、恨めしそうにルディールに文句を言う。
「そんな事言われたら持って帰れないじゃないですか!」
「そういう呪いもあるんじゃしチャレンジせんでもよかろうが……」
「無かったらどうするんですか!目の前には宝の山ですよ!」
「そこまでは知らん。後はお主が好きにすれば良いがわらわは一応止めたからのう」
「こう言うのって絶対に連帯責任ですから私が取れば皆さんも共犯では?」
タリカの目が明らかに金になっていたのでどうしようかと悩んでいると色々諦めて辺りを調べていたテテノが下へ降りる階段を見つけた。
目の前にいる聖職者は映画などで宝に目がくらんで最後に死亡する人達と重なって見えたので、有無を言わさずシャドーステッチで身体の自由を奪った。
そしてテテノにその階段を下ろうといって縛ったタリカを引きずって階段を下った。
「タリカはしばらくはこのままでええじゃろ?」とテテノに尋ねると最近出来た友人が破滅する所は見たくないので下に着くまではそのままで良いと答え階段を下った。
その階段の作りは思った以上に長く何度も折り返し下って行くとようやく下にたどり付き石でできた巨大な扉へとたどり付いた。
「でっかい扉じゃな?どうやって開けるんじゃろ?」とルディールが悩んでいるとテテノが辺りの調べ始めすぐに答える。
「魔力が枯渇して開かないようですね。ルディールさん、魔力に余裕があればその扉に手をかざせば勝手に吸い上げて開いてくれるはずですよ」
ルディールは頷いてから言われた様に手をかざすと少し魔力が吸われその後に扉に魔力が流れゆっくりと扉が開いた。
完全に扉が開いたので中に入ろうとするとタリカが暴れ始めたのでその拘束を解いた。
「もう少し早く解いてくれませんか?流石に自由を奪われ目隠しされたままだと怖いですよ!」
確かにとルディールとテテノも納得しお宝に目がくらんでいた仲間もたぶん元に戻ったので開いた扉の中へと入って行く。
その中はピラミッドの中にしてはかなり異質で確かに石や岩という様なものでは出来てはいたが何かの施設の様にも思えた。
そしてその部屋の中央には何かがあったようでそれはすでに壊れ下に散乱していた。
「テテノとタリカはどうおもう?わらわは実験施設の様に思えるんじゃが……」とルディールが尋ねるとテテノは研究施設のように見えたといいタリカは錬金工房に見えるといった。
三人は悩んだが調べないと分からない事だらけだったの細心の注意を払いテテノは中央の壊れているものが気になったのでそれを調べる事になりタリカはルディールと共に辺りを調べた。
そして調べ始める内に石で出来た本棚が見つかり中には文字がびっしりと書かれた石盤が見つかった。タリカは読めないのでルディールに頼みその石盤を手に取って渡した。
「ん?なんでこのご時世に石版なんでしょうね?やっぱりこのピラミッド自体が相当古いものなんでしょうか?」
「古いのは確かにあるじゃろうが……たぶん時間対策じゃろな」
「?と言いますと?」
「記憶媒体として長い時間見るなら石版が優秀じゃからな。本は時間が経つとインクが薄くなって読めんが、石じゃと下手すれば何千年も読めるじゃろ?」
「時間が進んだ時に劣化しないようにって事ですか?」
「たぶんそういう事じゃな。アナログな物ほど長持ちするからのう。それで時間が狂って時が進んでも読める様にじゃと思う。この中なら雨風も凌げるから石版じゃとずっと持つのではないかのう」
その話に納得できたのかタリカはなるほどと頷きながら辺りをまた調べ始め、ルディールは近くに石でできたテーブルに石版を何個か置いて自身も椅子に座り石版の解読を始める。
(タリカが大怪我するハプニングはあったが無事じゃったし……ここがピラミッドのどの辺か?と言うのも気にはなるが石版にピラミッドの直し方とか書いてないかの~)
等と考えながら気分良く石版を読んだが中に書かれていた情報の価値……ルディール的に言えば超めんどくさい内容にテーブルに頭からダイブした。
「ルディールさん!どうしたんですか!?」
「神はおらんかった……」
「え?居たから私は助かったと思うんですが……」
いつも誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かっております。
次回の更新は火曜日の予定になります。
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