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第20話 砂都サンファルテ

Sランク冒険者とルディールは近くに聞き耳を立てている者がいないかを注意してホテルロビーで死角になっている場所で話し始める。


「王女様から話は聞いていますがルディールさんが居ると心強いですね。低ランク冒険者達をお願いします」


「うむ。それは任せてもらってよいが……ピラミッドへのアタックはいつ頃になるんじゃ?」


 ルディールにそう尋ねられたSランク冒険者の男は腕を組んで少し考えてから答える。


「体もこの暑さに慣らす必要があるので五日後と考えていましたが……王子が急いでいる風に思えましたので二、三日後と考えています」


「こっちの命がかかっておるんじゃし、それは無視してもよかろう。BやCランクの冒険者は砂漠は初めての連中が多いんじゃろ?」


 ルディールの言葉に男は苦笑してから話を続ける。


「サンファルテ側との相談になりますができるだけ無理の無いように頼んでみますよ」


「うむ。わらわもサンファルテは初めてじゃしな。観光がてらに色々見てみたいからのー。まぁ、このような場所を用意してくれておるのはあまりウロウロするなよって意味なんじゃろうが……」


「多分そうでしょうね。かといって釘を刺された訳ではないので私達の思い過ごしもありますが……」


「わらわはCランクの冒険者のパーティーじゃから特にウロウロしても問題あるまい」


「ルディールさんがCとか世も末ですね……分かりました。私達高ランクの冒険者はおとなしくしておくのでルディールさんもお気をつけて」


 ルディールが礼をいうと男は苦笑しながらこれぐらいで恩を返せて光栄ですよ言ってからまだ話を続ける。


「どういう目的でサンファルテは冒険者を集めたんじゃろな?お主はどう思う?」


「正直に言うと分かりませんね。元からピラミッドにはローレットからも多数の冒険者がアタックをかけていますし……攻略はされていませんが、目に見えてサンファルテに不利益は無いはずですしそれどころかピラミッドが目的で人が集まってますからね」


「そうなんじゃよな……わらわの方でも簡単には調べておったが目に見えて問題が出ておる様には思えんのじゃよな~」


 二人が腕を組みながら考えたがどれも仮説の域はでない話ばかりだった。


「まぁ……これ以上は考えてもでんのう」


「ですね。もしかしたらローレットの冒険者の力を見る為かもしれませんね」


 その言葉の意味が気になったのでルディールが尋ねると、笑いながらサンファルテとローレットの冒険者の強さを図る為と言った。


「サンファルテの冒険者はピラミッドを攻略したとは聞きませんからローレットの冒険者だとどうなのか?と思って比べているのかと思いまして」


「なるほどの~隣の国の冒険者が攻略したとなるとメンツもあるし……簡単に国力も比べるんじゃろな」


「簡単に言えばですけどね。国が豊かな所に冒険者は集まりやすい傾向がありますからね。私もヘルテンで冒険者になってローレットに流れて来ましたからね」


 ルディールがなるほどの~と納得しているとテテノ達がルディールを探していたのでSランク冒険者の男に礼を言ってから別れテテノ達の所に戻った。


「ルディールさん、何処に行ってたんですか?」


「うむ。う○こじゃな」


 ルディールの見た目でそう言う事を言うのは止めてくれとテテノとタリカの二人に懇願されているとサンファルテの王子が近づいてきた。


 そしてテテノに挨拶をしてから少し世間話を始めたのでルディールとタリカは少し離れた場所で話が終わるのを待っていた。


「テテノさんって有名な方と知り合いが多いですよね……火食い鳥とも元クラスメイトですし」


「聞いた話じゃとテテノンが臨時講師やっておる時に王子も生徒でおったらしぞ」


「あーなるほど。上手くやればテテノさん玉の輿を狙えたのでは?」


 ルディールがタリカの顔を見ながら本当に聖職者なんだろうか? と思いながら話を続ける。


「そういえばタリカ殿は殴りプリじゃが一応は聖職者なんじゃよな?なんでまた冒険者やっておるんじゃ?」


「一応ってなんですか一応ってれっきとした聖職者ですよ。と言うかタリカと呼び捨てで良いですよ。冒険者の名もその名で登録してますしね。それで質問に答えますが……」


 言ってから少し思い出す様な仕草をしてから話し始める。約半年ほど前に王都の教会で大神官が悪さをして捕まった時にタリカの父親も高位の神官だったので巻き込まれた訳では無いが責任を取って辞めたとの事だった。


 その話を聞いてルディールがすまんかったとあやまるとどうしてルディールさんが謝るんですか? と不思議そうな顔をしてから笑った。


「それで父が引退して母としばらくはのんびり暮らすとの事なので私も教会に微妙に居辛いので辞めて冒険者になった感じですね。冒険者といえば冒険者ですけど、教会には毎日行って祈ってますので聖職者です」


 なるほどの~と納得しテテノの方を見るとまだ話していたので、ルディールは冒険者の名前の登録に着いて尋ねる。


「タリカじゃとタリカって名前で登録してあるんじゃよな?ソアレとかじゃとフルネームで名乗っておったが何か関係ってあったりすのか?」


「フルネームで登録する人も居れば、私みたいにファーストネームで登録する人もいますね。名前が長い人とか心機一転頑張りたい人は別の名で登録していますね。ギルドカードにはちゃんとフルネームが乗るので戦闘中に間違えないなら何でも良かったはずですよ」


「なるほどの~ソアレに聞こう聞こうとは思っておったがたいした事では無かったのでいつも忘れておったんじゃよな……というかタリカは火食い鳥に入りたいとか言っておったと思うがどうなったんじゃ?」


 ルディールがさらに質問すると一気に顔色を悪くしタリカはかなり凹んだような表情になり答える。


「私がCランクで、火食い鳥の皆さんがSランクなのでランク差が二つ以内じゃないと組めないんですよ……もう少し早ければ組めたんですが……と言ってもあの戦闘についていくのは無理なので私が最低Aランクにならないと……」


「なるほどの~一ヶ月はかかりそうじゃな」


「いえ、一週間もあれば余裕ですよ余裕……って言ってみたいものですよ。ほんと」


 などと冗談を言っていると王子との話が終わりテテノがルディール達の所にお待たせしましたと言って戻ってきた。


 そしてこれからどうするかを話し合う為に割り振られた部屋へと向かう。


 ロビーから出て石やレンガで出来た廊下を歩いて進むとホテルの中庭が見えそこにも植物が生えていたり噴水があったりと砂漠と言われなければここが砂の国とは思えないような場所だった。


 目的の部屋に着いたのでテテノが受け付けで借りた鍵をドアノブにかざすと小さな魔方陣が出た後にドアのロックが開く。


 三人が中に入ると部屋の中は思った以上に広く窓からは先程の噴水がある中庭が見え、中にある家具や寝具は王都の高級ホテルにも引けを取らないものばかりだった。


 タリカとテテノが子供の様にベッドにダイブしてしひとしきり遊び満足した後にルディールは三人分の飲み物を入れてから椅子に座って話しかける。


「思った以上に良いホテルじゃの~。まさかここまで良い場所を用意してくれるとは思ってなかったらびっくりじゃな」


「ほんとですね。それでこれからどうしますか?」


 そうテテノに聞かれたのでルディールはサンファルテは初めてなので本を買いに行ったり街を見て回りたいと答える。


「それいいですね。受付でホテルの方に尋ねてた時も何処へ向かうか等を伝えてから行けば、ホテルから出ても問題無いと言われたのでサンファルテの観光に行きたいですね」


「うむ。ピラミッドにアタックする日が決まれば上の冒険者から通達があるじゃろうし、ある程度は好きに動いてもよいじゃろう」


「観光したぐらいで怒られる事もないでしょうしね……タリカさん。怒られませんよね?」


「遊びに来た訳ではないですが……大丈夫ですよ。部屋に入らずに観光に行った他の冒険者もいましたし」


 それから少し世間話をしてから受付まで戻り、本などを売っている場所や市場など観光出来そうな場所を聞いてから戻って来る時間等を伝えルディール達は砂漠の街へと躍り出る。


 ホテルから出て市場の方に向かうと確かに辺りは水や緑が多かったが足元は一面の砂だったのでここが砂漠の国というのが実感できた。


そして市場に向かって歩いていると街を歩く人達は鋭い日差しから身を守る衣服に身を包んでいた。


「ん?わりと厚手の服を着ておる様に思うんじゃが暑くないんじゃろか?」と人々の服が気になったルディールが呟くとその言葉をテテノが拾い答える。


「私も作った事があるので分かりますが服の中に冷気が出る小さな魔石を縫い込んであって、魔石が外気に触れないように大きめの服なんですよ」


「なるほどのー。防壁魔法系の指輪でもしのげそうじゃが高いしのう」


 などと話しているとルディール達を覆うように影がかかった。


 その正体を知るためにルディールが空を見上げると何匹もの鷲の頭と翼に獅子の胴体を持つ生き物が編隊を組み飛んでいた。


「お?グリフォンか?」


「サンファルテは昔からグリフォンを使役しているらしいので砂都の空を守っているみたいですよ。ローレットのワイバーン竜騎兵の様なものらしいですね」


「ワイバーンも良いがグリフォンも格好いいのう。一匹くれんかのう」


「もらってどうするんですか……ペットじゃないんですよ」


「そうなんじゃが……乗ってみたいじゃろ?」


 テテノもタリカも分からなくはないがワイバーンにしろグリフォンにしろどんなに懐いても魔物で流石に怖いので空を飛ぶのは飛空艇で十分だと答えた。ルディールが同意を得られないまま街の中を歩いていると目的の本などが売っている場所に着いたので、のれんをくぐり中へと入って行く。


 中に入るとどういう原理かは分からなかったが外にいるほどの暑さはなくとても快適で過ごしやすい温度になっており様々は書物やルディールが見た事がない魔道具などが置かれていた。


「わらわはこの辺りで本を見ておるがお主達はどうする?」とルディールが尋ねるとテテノもタリカも砂都の本に興味があったので同じく本を見てみるといった。


 そしてルディールの書物へのお金の使い方を目の当たりにしてとても驚く事になる。


「うむ。なかなか面白い本が多いのう……店員さん。この棚の本を全て売ってもらいたいんじゃがいくらじゃ?」


「「はい?」」

今年も感想や誤字脱字報告ありがとうございました。

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