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第16話 王女様のお話

 ルディールがパフェを食べながら視線を動かすと最近見かけなかったローレットの王女様がおり、目が合うと話しかけて来た。


「……流石にそのサイズは胸焼けしませんか?」と言いながら王女というよりは何処にでも居そうな女学生の雰囲気でルディールの向かいの席に座る。


「大盛りの大盛りじゃから特盛りとでも言うんじゃろか?」


 ルディールがいつもの話し方の戻っているので王女様が辺りをキョロキョロすると周りにはもう誰も居なくなっていてルディールも頷いたのでそのまま会話を進める。


「……サイズはともかく美味しそうですね」


 ルディールが食べるのを王女様が凝視するので、まだ手をつけてない部分をすくって「ほれ。あ~ん」と言って王女の口元まで運んでやるとかなり驚いた様で何度も瞬きをした後にパフェを食べる。


「思った以上に美味しいですね。サイズ的にはそれの五分の一でも良いと思いますけど……と言うか生まれて初めてあ~んとかしてもらいましたけど結構恥ずかしいですね」


「安心せい。やったわらわも思った以上に恥ずかしいわい」


 王女様の顔も少し赤くなったがパフェが美味しかったのか、何が原因かは良く分からないが、二回ほど同じ事を催促してから自身の分とルディールの分のコーヒーを買って来て、もう一度席に着く。


 そして食べ終わったルディールがコーヒーを飲みながら王女様に話しかける。


「ありがとうございますじゃな。一応は授業中じゃとは思うが何か用事か?最近見なかったが公務が忙しかったのか?」


「ルディールさんに割と重要な要件があるのでサボりました。世間話と面倒事と頼み事のどの順番がいいですか?世間話には質問の答えも入ってます」


 王女様が言うのでルディールはその順番のままで頼むとお願いした。


「分かりました。私ですが公務というか罰でウェルデニアに王妃様と行ってましたね」と言うと先ほどまでニコニコしていた顔を止めて疲れたーという様な顔でテーブルに顔を埋めた。


「罰ってなんじゃ?仕事なんじゃろ?」


「はい。ミーナ、セニア、リージュ、ルディールさんは知ってると思うんですけど二年に上がる時に世界の陰謀で私がBクラスに落ちた事件があったじゃないですか?」


「あのテストで名前を書いて無くて0点王女になったヤツじゃな?」


「過去を改変されたんです!後から頑張って陛下や王妃様に迷惑をかけない様に裏で色々頑張ったのはしってますよね?」


「噂程度じゃが……教師の弱み握ったりして学園とか貴族に圧力かけたんじゃよな?」


「聞こえが悪いですから!学園に蔓延る膿を出す為に私は影ながら頑張りAクラスに舞い戻ったんですが……どこからか国王陛下や王妃にバレてしまい……異国の土地にお仕事に行ってました……」


「……悪い事をするにも才能がいるからのう……お主は真面目に生きよと言う事なんじゃろな」


「ほんとそれです。絶対にバレない様に色々やったんですがもう運が悪くバレたしかないんですよね……まぁ次回はもっと上手くやりますけど!」


「お主……全然反省しておらんな」


「いえ、反省したから次に活かそうと思っています……それで私がウェルデニアで公務をやってる間にリベット村で面白い事やって私だけ仲間外れですし!」


「辺境の村の祭りに王族が来る方がおかしいじゃろ……」


「ミューラッカ・ヴェルテス・スノーベイン様とノーティア・ヴェルテス・スノーベイン様と魔王アトラカナンタ様が来ていたとお聞きしましたが?しかもアバランチの隊長様や雪山様が参加していたとか!ローレットの武道大会より豪華ですよ」


 リベット村にその辺りのメンツが来ていたのでローレットに報告しない訳にも行かないのでルディールとリノセス公爵から押し付けられた村長が仕方なく城に出向きまだ戻っていないのでその事も尋ねる。


「村長がまだ帰って来ておらんが……もしかして幽閉されたのか?」


「しませんよ!私は詳しく知りませんが村長さんは昔は凄い冒険者で国王陛下とも顔見知りなので城で昔話と祭りの事で話に花を咲かせていますよ」


「村長、ほとんど気絶しておったのにのう……まぁ無事なら良いか」

 

「ルディールさんってちょくちょく貴族を危険物扱いしますよね。まぁ……あながち間違ってはいませんけど……世間話はそんな感じでそのまま面倒事に続きますがいいです?」


 改めて王女様が座り直しルディールと向かい合ったので、ルディールは絶対に面倒事だと分かったが逃げる訳にもいかないので王女と目を合わせ頷いた。


 そして聞き耳を立てている者がいないかをルディールに真剣に尋ねたのでルディールも魔法で索敵したが王女様直轄の護衛が影の中に潜んでいるだけだった。


「……今更ですけど王族直轄の護衛が村の便利な魔法使いさんに見つかるのも結構問題ですよね」


「まぁ冷静に考えたらそうじゃのー。サンファルテの護衛も全員見つけておるから問題無いじゃろ」


「それも地味に大問題ですけどね……サンファルテ側から提出された資料の護衛より数人多いですし……かといってそれを追及して見つけられる人物がいるのがバレるのも痛いですし……」


 そして話がそれたとルディールに謝りもう一度姿勢を正してからルディールに質問する。


「ルディールさんの家のツリーハウスがあるじゃないですか?あれって世界樹ですよね?」


 いつかは話さないとは駄目と思っていたのでルディールは驚く事は無かったが、どう話せば説明するか少し悩んでから話し始める。


「いつかは言おうと思っておったが……お主の言う通り世界樹じゃぞ」


 ルディールがそう告げると再度、頭を抱えた後にうめき声を上げながらテーブルに倒れ込む。


 しばらくそのまま放置したが、中々復活しないのでルディールが再度話しかける。


「何処で気がついたんじゃ?やっぱり葉っぱとか見ればわかるのか?」


 王女は顔は上げずにテーブルに顔をつけたまま話し始める。


「樹木に詳しい訳でもないので葉っぱとか木を見たぐらいで分かりませんよ……」


「じゃあ、なんで分かったんじゃ?」とルディールが尋ねると元気よく王女は起き上がり説明を始めた。


 王妃様と王女様が樹都ウエェルデニアに行った際に出された世界樹の葉で作られた茶がルディールがたまにくれるお茶と同じ味だったので王妃様が先に気づいたとの事だった。


「……しらばくれた方が良かったような気がするのう」


「何を言ってるんですか……絶対に内緒ですけど王妃様は魔眼と似たような魔舌マゼツを持ってるので味とかそういうの誤魔化すのは無理ですよ」


「……それ言って大丈夫なのか?魔眼が一番多いだけで五感全てにそういうのはあるとは本で読んだが……居るんじゃな」


「世界樹の方がヤバいですし、ルディールさんは余計な事は言わない魔神なので大丈夫です。それで味の方が誤魔化しが効かないので今の所は王妃様と私にバレた感じです」


 今の所はと言うのが気になったので尋ねると言葉通りの意味で王妃様も王女様もどうしようかという感じで二人の間で話が停まっているとの事。


 本来ならすぐに国王や国の偉い人に伝える案件だが二人の間で止めてくれている事に感謝しルディールは礼を伝え話しを続ける。


「それでルディールさんはどうしたいですか?駄目ですが……隠そうと思えば隠せます。私達、王族やローレットの貴族が深樹まで行って世界樹を確認は不可能ですし。ウェルデニアの王達も無理です。深樹までいけるのはほんとに一握りの人達だけなので黙っておいてもバレません」


 いつかはバレると思っていたし隠し通すのは絶対に無理だと思っているルディールは自分の考えを王女様に伝える。


「今まで隠しておいてあれじゃが……わらわは良いが村の人達に迷惑がかからないなら、お主から陛下に伝えてくれるか?」


 その言葉が意外だったのが王女様は驚いた後にルディールにいいんですか? と尋ねるがルディールも先の事を考えると隠すのは得策では無いと判断しての事だった。


「いいんですか?さっき言ったようにまずバレないとおもいますよ?」


「バレた時の事を考えるとのう……先代や先々代の国王のお陰でローレットとウェルデニアは友好国になっておるんじゃし、それを今の世代やお主の世代で悪化させては駄目じゃろ」


「そうですけど……超面倒事になったらルディールさんフラっと何処かにいきませんか?大賢者ノイマンも面倒事に巻き込まれて消えたと書いてありますし」


「仮にそうなったとしても一人のわがままに周りを巻き込んでは駄目じゃし、うさんくさい魔法使いより国民を王族が守らんとのう」


 そういう所は真面目ですよねと言って王女はもう飲み物を買って戻って来て、その飲み物を混ぜながら考えを纏めた。


 そしてようやく考えが纏まったのまたルディールに向かい話を始める。


「……わかりました。もう少し考えを纏めてからになりますが国王陛下にお伝えしようと思います。拘束されたりとかは絶対にありえませんけど城に来てもらう事はあるかもしれません」


「うむ。分かった」


「後、どういう経緯で入手したとか、知ってる人が他に居たりしますか?」


 世界樹の種を手に入れた時の事を思い出し伝え、世界樹だと知っている人の名前を伝える。


 すると少し考えた後に答えが出たのか少し笑顔になってたから考えを話す。


「元森の番人のコピオンさんが居るなら心強いですね。カナタンから世界樹の種を貰ったでもいけそうですが正直そこまで信用できませんし……ある程度私の方で話を作って大丈夫ですか?」


「うむ。その辺はすまぬが任せる感じでお願いしますなんじゃが……嘘ついて大丈夫か?」


「大丈夫ですよ。本当の事を言ってお互いに不利益を得るなら嘘でお互いに利益を得る方を皆選びますしからね。後でリベット村に行ってコピオンさんと世界樹についてお話しますが……」


 少し心配な所もあったが王女様が頼もしかったのでルディールはそれ以上は何も言わずにお願いしますとだけ頭を下げた。


 そして面倒事の話が終わり次は王女様からの頼み事の話になりルディールに話をする。


「ルディールさん。砂都サンファルテに行ってみませんか?」

いつも誤字脱字報告ありがとうございます。


次回の更新は明日予定。年末ジャンボが当たらないかな~っと思う今日この頃。本日もご安全に!

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