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第9話 ご近所一武道会

 対戦相手が決まりルディール達がいる場所にミーナ達が戻って来る、ノーティアと隊長と雪山はミューラッカに報告に行きBランク冒険者はギルマスや仲間達の所へと向かった。


 そしてルディールはリージュ、ミーナ、セニア、テテノといった対戦相手に絶望してる組に声をかける。


「戦いはというか何事も蓋を開けてみるまで分からんというが……流石にお主達は一回戦突破はきついのう……ワンチャン、ミーナぐらいか?」


「え?私の相手バルケさんだよ!?絶対に無理だよ!」


「制服着て、『バルケお兄ちゃん勝たせて』って言えば何とかなるかもしれん」


 その言葉に反応してバルケが即座に「なるか!」と叫ぶ。


「お前な!制服ぐらいで俺がどうこうなるとか思ってんのか!」


 バルケのその態度に数人は少し考えてから確かになんとかなりそうだと笑った。


「そこの焼き鳥ども、俺と当たったら覚悟しろよ」


「じゃがお主、スナップが制服着たらちょっと嬉しいじゃろ?」


「……お前な!その質問だと、どう答えても俺の逃げ場がねーだろ!」


「ふふん。戦いにおいて相手の選択肢を消すのも重要じゃからのう。というか今の場合だと普通にみたいと言えばええじゃろ。わらわ達にはニヤニヤされるかも知れぬが」


「それが嫌だっていってんだよ!」


 スナップはスナップで顔が赤くなっていたのでそれ以上はバルケの事をいじらずにもう一度トーナメント表を見ながら話をする。


「まずはリージュとスティレなんじゃが……流石にリージュには厳しいのう」


 リージュの方を向き、ルディールがそう言うと本人は少し肩を落としていた。


「私、接近戦が弱いのでどうしようもないですね……仮に勝てたとしても次はド腐れ魔導ことソアレさんです」


「油断でもしてくれればチャンスもあるじゃろうが、フル装備のスティレじゃしのう」


 スティレも前にミーナとセニアのタッグに負けた事があってから格下相手でも油断する事は無くなっていたのでどう考えてもリージュの勝利は絶望的だった。


 そんな中、ソアレがリージュの肩に手を置き優しく語りかける。


「リージュさん。頑張ってスティレに勝ちなさいそうすれば私が事故と見せかけて殺ってあげますから」


「そんな事言ってると格下の冒険者に足をすくわれますよ」


 そう言ってリージュとソアレが視線が交差し火花が飛び始めたのでルディールが少し呆れながらソアレの対戦相手の事を尋ねる。


 すると最近Bランク冒険者になったばかりで確かに注目株ではあるが自分がBランクの時よりは弱い魔法使いですよと言い余裕の表情だったのでルディールも油断しない様にとだけ言っておいた。


「油断してもソアレが負ける相手は……けっこうおるな……セニアも相手がカーディフじゃしのう……」


「諦めはしませんけど……流石に無理なような気がします。魔法詠唱に入る前に矢が飛んで来そうですし」


「さすがに私も魔法使いの相手は得意じゃないけど。学生程度には負けないわよ。胸を貸してあげるから頑張ってかかって来なさい」


 と言って胸を叩いたので、バルケがさっきの恨みも込めて何処に貸すぐらいの胸があるんだよと言って鼻で笑った。


「よし、その喧嘩買った!あんたとは当たるから覚悟しなさいよ!」


「おう。それはこっちの台詞だ!」


 と二人がやる気を出したのでミーナとセニアの敗北が確定した瞬間だった。


「セニア……お互いに頑張ろう」


「うん。頑張ろう……」


「私が乗り移ってあげようか?それなら優勝狙えるよ?」と言っていつの間にかその集まりの中にアトラカナンタが混じっておりミーナとセニアの二人を誘惑する。


 そんな誘惑にのる二人では無いとしっているのでカナタンの事は放っておいて、次はスナップに話しかける。


「スナップはけっこうキツいのう……一戦目からノーティアじゃしな。次はたぶん雪山先生じゃしのう」


「強い方々と戦えて嬉しいんですけど……優勝を狙うとなると難しいですわ。ノーティア様の強さも分かりませんし……初戦で敗退もあり得ますわ」


「ロケットパンチもさすがに人前では使えんしのう」


「たしかにですわ。でも体力は無尽蔵にあるので後半になると、わたくしが有利ですわ」


 アトラカナンタと同じようにスイベルもいつの間にか近くにいて「姉さん頑張ってください」と言って応援をする。


 そして最後にルディールはもう帰りたいと言ってるテテノに話しかける。


「ルディールさん……毒って使っていいですか?」


「お主な……」


「どうせ出るなら優勝して賞金が欲しいじゃないですか!」


「テテノは間違いなく一回戦敗退だから私と一緒に静かに観戦しときな」


「お婆ちゃんがひどい!」


 そんな感じでルディールは友人達と会話を楽しんでいるともうすぐ始まるというアナウンスが流れたので舞台から数メートル離れた石垣の外へと移動する。


 アトラカナンタやミューラッカやリノセス公爵は急遽作られた特等席に呼ばれそこに着席するがすでになにかヤバそうな会話が近くのルディール達の耳にも届く。


「どうして私が……魔王と一緒なんだ?」


「さぁ?お祭りだからじゃない?」


「お前も今から出場しろ……私も出場してその首跳ねてやろう」


 機嫌が悪いミューラッカを無視して近くにいた売り子からアトラカナンタが何かを買って食べながらさらに煽る。


「え?なんですか?おばさん」


 結界担当のハンティアルケーツのおかげで客席に被害が及ぶ事は無かったが魔王と吹雪の女王の近くにいるリノセス公爵はとても大変そうだった。


「あの二人を一緒にするのは間違いじゃろ……というかリノセス夫人……ここにいて大丈夫ですか?」


 アコットをリノセス夫人が連れて来たのでルディールが夫人に尋ねるとここはここで問題ありますが……あそこよりはいいですといってテラボアの方を見て少し困っていた。


「まさか……テラボア先生がいるとは思いませんでしたよ」


「私も業火がいるとは思わなかったけどね。というか無視しておけば良かったんじゃないのかい?私も余計な事を言うつもりは無いからね」


「いっいえ……さすがに直接的な恩師ではありませんが先生にもお世話になっているので無視する訳には……」


 慌てているリノセス夫人は珍しかったので周りは詳しく聞きたいようだったが、夫人の雰囲気がとてもそれを許さない気配だった。


「世界は広いようで狭いのう」




 そして開催のアナウンスが流れ、少し前に村にできた冒険者ギルドの受付嬢が何故かマイクを持ってから、ミューラッカ、アトラカナンタ、リノセス公爵と順番に紹介すると周りからは盛大な拍手と歓声が巻き起こった。


 そのままオープニング戦が始まり、村長とコピオンが舞台に上った。


 村長は魔物使いでコピオンはアーチャーだったはずだが武器は一切持たずに拳や首を鳴らしながらお互いににらみ合った。


「お互いにこれまでの因縁はここで流しましょう」


「ああ。良いだろう当たり前の事だが勝った方が勝者だ」


 そう言い終わったと同時にゴングの代わりに鐘の音が鳴り響いた。


 お互いが避ける動作をまったくせずに、顔面に向かって右ストレートを叩き込む。だがバランスを崩したぐらいで、互いに笑い合い殴り合いが始まった。


 その光景に会場は大盛り上がりだがルディール達は少し呆れながら見ていた。


「村長……普段は物静かな感じなのにのう……」


「私としては村長とお爺ちゃんの関係が気になるわ……」


 二人の対戦を見ているリノセス夫人は笑いながらコピオンの孫のカーディフに簡単に説明する。


「村長が若い時の話なのでかなり前ですが……二人とも同じ女性を追いかけていたのでその時の因縁があるんですよ」


「えっ?おじいちゃんがですか?」


「噂程度で聞いた事があるって話なので本当かどうかは知りませんが……」


(ん?村長がもうすぐ七十になると言うておったから……夫人は何歳なんじゃ?)


 そんな事を考えているととても良い笑顔の夫人に話しかけられたのでルディールはそれ以上考える事ができなかった。


「ルディールさん。今、失礼な事を考えていませんでしたか?」


「村長とコピオン殿の思い人が夫人だったら面白いなっと思っただけですよ」


「残念、私ではないですね。そんな長生きしてるように見えましたか?」


 リノセス夫人の変なプレッシャーにルディールが気圧されていると急にテラボアが笑い出してルディールを援護する。


「あまり孫の友人を虐めるものじゃないよ」と色々と知ってそうなテラボアがそう言ったので夫人はそれ以上は何も言わなかったのでルディールはテラボアに頭を下げた。


 そのタイミングで舞台の方から凄まじい音が鳴り響き、その方向に目を向けると村長とコピオンの頬にお互いの拳がめり込んでいた。


「コピオン……流石にやりますね」


「お前もな……」


 そう言ってお互いに笑い合い舞台の上に崩れ落ち決着がついた。


 そしてルディールが二人に回復魔法をかけてから魔法で救護テントまで運び寝かせる。


 戻ってくると一回戦が始まる前にルール説明が始まった。


 舞台から落ちると負け、基本的に顔面や金的などの攻撃など何でもありだが命を奪ってはダメ、今のように同じタイミングで気絶した時はテンカウントで早く起きた方の勝ち、起き上がれない時は両方負けなどと緩い感じにリベット村の冒険者ギルドの受付嬢が説明していく。


「観客席に被害がいかないように魔神ハンティアルケーツさんが結界を張ってくれていますので観客の皆様は気にせずにお楽しみください」


 紹介されたハンティアルケーツは観客席に座りながら手だけ振っていた。


 そして一回戦がはじまりリージュとスティレが拍手に包まれながら舞台の上に上がって行く。


「お互いに怪我はせぬようにな~」


 ルディールの声にスティレは親指を立てて返事をし、リージュは丁寧に会釈をする。


「う~ん。隠れる場所があればリージュにもワンチャンあるじゃろうが……流石に舞台の上じゃからアドバイスのしようも無いのう」


「リージュさんってルーちゃんと同じ影の魔法使うもんね」


「ミーナはあれじゃぞ。様子見する前に動かんと一瞬で終わるぞ」


「わっわかった……せめて一発はバルケさんに入れようとおもう」


「うむ。その心意気じゃな。勝ったらチューぐらいしてやるわい」


 ミーナがいらないよ! と行った瞬間に試合の合図がなった。


 そしてリージュが即座に魔法を唱えて影から無数の黒い棘が飛び出す魔法でスティレを攻撃して距離を取る。


 スティレはその魔法を物ともせずに自身の剣で簡単になぎ払った。


「あの~スティレさん。負けて失う物も無いので私に勝ちを譲りませんか?」


 その台詞がスティレのツボにはまったのか大きく笑い出した。


 そして少し落ち着いてから返事をする。


「ふふっ……まさかリージュ様がそのような事を言うとは思いませんでしたね。貴女は良い方向に変わられた」


「じゃあ、譲ってくださいよ」


「私も少しは良い所を見せたいのでお断りします」と言ってから一気に魔法で身体能力を底上げしリージュが魔法を唱える前にその体を掴む。


 一瞬で懐に入られたリージュは何も出来ないまま場外に向かって投げ飛ばされ、やさしくキャッチされる。


「うむ。おかえりじゃな」


「ルディールさん……負けました」


 お姫様抱っこ状態になっていたリージュを優しくおろしてから、頭を撫でて健闘を讃えると舞台ではリージュに勝ったスティレが勝者として観客達に手を振っていた。


 そしてスティレが戻ってくると二回戦はソアレとシドゥルというBランク冒険者の出番だった。


「さて、勝てばルディールさんがチューしてくれると言うので頑張ってきます」


「あのな……お主は勝って当然じゃろ……下手すれば出るのもおかしいからのう」


「じゃあ、優勝したら結婚ですね」


「せぬわ!」


 そんなやり取りをしてからソアレはゆっくりと舞台に上っていく。


 対戦相手のシドゥルも格上相手に少し緊張しているようだったが観客席の冒険者達からのヤジでおかげで? 気負ってはいない様子だった。


 だが開始した瞬間にシドゥルが崩れ落ち観客達がポカンとした様子だったので、受付嬢がソアレに説明を求めた。


「戦いが始まったと同時に脳の電気信号を無効化する魔法を使ったのであと数十秒は何もできません。魔法使いと戦う時は簡単な物でいいのでシールド系の魔法か魔道具で身を守りましょう」


 言い終える頃にはシドゥルも動けるようになっていたようでソアレに握手を求めてから舞台を降り、ソアレもルディール達の所に戻った。


「どうですかルディールさん。私もなかなかやるでしょう」


「お主はどんどん強くなっていくのう」


「貴女の親友ですからね」


 そう言ってお互いに拳をコツンと叩きあった。


 次は俺の番だな。と言ってバルケが軽く背伸びをしてから舞台に向かっていった。


「ミーナよ。何か不思議な力に目覚めればワンチャンあるぞ!」


「世の中そんなに都合良くないからね!」


「ミーナ頑張って!」「ミーナお姉ちゃん頑張って!」


 ルディール達に応援されミーナもバルケに続き舞台の上にあがっていく。ミーナがリベット村と言う事もあってかその声援は凄い物で当の本人は顔を真っ赤にしてお辞儀をしていた。


 そして声援に包まれながらバルケとミーナの試合が始まろうとしていた。

誤字脱字報告ありがとうございます。なかなか誤字脱字が減りません……

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