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第200話 過去の未来 (帰還END)

 校内戦が終わりルディールは空を飛び、少し高い所から学生達が集まるキャンプファイヤーや王都の美しい町並みを眺めていた。


「綺麗な街じゃな~。元の世界から離れて分かったが……世界が変わっても人は人なんじゃな。よく一人では生きていけないと言うが……それが少し分かった気がするのう……遠くに来た様な気はしたがそこまで遠くではなかったのう」


 そう言って長い間、町並みやそこに住む人を眺め声に出し自分の気持ちを決めた。


「うむ!家族にも会いたいし友人にも会いたいのう……帰ろう元の世界へ」


 何か晴れ渡った気分になりルディールはこの世界で出来たかけがえ無いの友人達が心配してはいけないと校内に戻った。


 それから数日かけてソールから貰った元の世界へ帰る方法がのったノートを勉強し一週間程度で習得した。


 そして一ヶ月後に元の世界に帰る事を友人や知人に伝え整理などを始めた。


「ルディール様……本当に帰られるのですか?」


「うむ。この世界も素晴らしい所じゃが、元の世界には家族も友人もいるからのう。あっちがわらわの居場所じゃな」


 ルディールがそういうとスイベルは何も言えなくなり静かにルディールの片付けを手伝った。


「家はスナップやお主にやったし……バルケと結婚したら一緒に暮らすんじゃろか?」


「少し世界を見て回りと言っていたので姉さんも冒険者になるそうですよ」


「……メイド服で冒険するのかが気になるのう……スイベルが家におるじゃろうし、デスコックとコボルト達ミーナの実家に出稼ぎじゃし、食竜植物は村の防衛の要になったし……特に気にする事は無いのう」


 庭の手入れは森の賢者達が暇暇にやってくれる事になり、イグドラシル、ソーマ、アンブロシアと言った神々の果実はコピオンと王女様が責任を持ってくれる事になり、心残りになる事はどんどんと無くなっていった。


 そして片付けたり挨拶にあちこちを回ったりしてゆっくりと時間が過ぎていき、ルディールが趣味でやっていた授業も今日で最後を迎え泣く子供達も多かったが、一人一人には卒業証書の様な物を渡し、代わりにルディールは生徒達から抱えきれない程の花束を貰い、私塾も修了した。


 ミューラッカの襲撃などはあったが何とか事なきを得てようやくルディールが元の世界に帰る日を迎えた。


 バルケとスナップは飛空艇の故障で依頼先から帰って来られず、ミューラッカは拗ねてノーティアとスノーベインに籠もったりして……皆それぞれに事情があったので、ルディールの見送りはミーナ、セニア、リージュ、ソアレ、王女様とスイベルだった。


 その中の一名がびっくりするほど泣いていたので逆に周りは泣けないでいた。


「ルディぃぃるざーーーん。がえらなくてもいいじゃないですかーー!」


「……王女様よ、泣いてくれるのは嬉しいが面白い顔がさらに面白い事になっておるぞ」


「どういう意味でずが!……富や名声が欲しいと言うならわだじが、何とかじますがらここにいでくださいよー!」


 まだ泣き止まない王女の頭を優しくなでスイベルに少し頼んでからルディールは一人一人に話しかけた。


「まずはミーナじゃな。お主には世話になりっぱなしじゃったし、色々と助けて貰ったのう……お主はこれからどんどん魔法を覚えいつかはわらわを抜くじゃろうからがんばってな」


「……うん。私もルーちゃんに助けて貰ってばかりだったから、そう言ってもらえるとほんとに嬉しいよ……」


「泣きそうな顔をするでない。あの世に行くわけではないんじゃからそういう時は笑っておくものじゃ。最後の顔が泣き顔と言うのは悲しいじゃろ?」


「そうなんだけど……私ね、校内戦で優勝したらルーちゃんに残って貰おうと思ってたんだ……カナタンに教えてもらったけど私はルーちゃんの……事が好きだったの」


 ミーナが泣きながらそう言うとルディールはミーナを優しく抱きしめ礼を言った。


「うむ。わらわを好きになってくれてありがとう。忘れろとは言わぬからたまに思い出して変な角つきがいたな~とか言っていい人を探すんじゃぞ。お主なら引く手あまたじゃからな」


 ミーナが落ち着くまで頭を撫でてやり、次はセニアと向かい合った。


「セニアにも世話になりっぱなしじゃったのう。お主も魔眼持ちじゃしミーナの親友兼ライバルとしてこれからも少し気を抜きつつ頑張ることじゃな」


「えっと……気を抜きながらですか?」


「うむ。お主は真面目じゃからな~多少ははっちゃけても大丈夫じゃわい。ここにいる全員に言える事じゃが、これから先どういう風な人生を送るかはしらんが……善人になってもいい悪人になっても良いが……どういう形であれ生きていてくれれば良いわい」


「それはそれで難しいですね……私も校内戦で優勝したらルディールさんに残ってもらおうと考えていました……私もミーナと……同じでルディールさんが好きでし……た」


 そしてセニアを泣き出したのでルディールは優しく抱き寄せるとセニアは周りに聞こえない程小さな声でルディールに話しかけた。


「ルディールさん……妹と私の命を助けてくれて本当にありがとうございました……」


「お主……思い出したのか?」


「はい、少し前にですが……黙っていようと思いましたが、この記憶がルディールさんと初めて会った大事な記憶なので大切に覚えておきます」


「うむ。辛い記憶なのにそう言ってもらえてわらわは果報者じゃな」


 ミーナと同じ様に泣き止むまで頭を撫でてやり次はリージュに話しかけた。


「リージュは後輩に勝ちを譲れるくらい優しい子になったから特に言う事はないが……お主も達者での」


「今の王女様の様に思い切りないて引き留めようと思いましたが……あそこまで本気で泣かれるとなかなか泣けませんね」


「いや、言う事あったわい。お主の悪い所は少しじゃが相手の顔色をうかがい過ぎじゃな。まだ子供じゃからもう少しわがままを言ってもバチは当たらんわい」


 そう言うと少し困った様にリージュが笑ったのでルディールは前の二人と同じ様に優しく抱き寄せた。


 特に驚きもせずリージュは淡々と話し始めた。


「未来から来たルディールさんは未来の私の写真を持っていたので……少し期待していたんですが……どこで間違えたんでしょうね?」


「リージュよ、それは違うぞ。どれも正解じゃ。わらわは元の世界に帰るだけじゃし魔神達に襲われたがあの程度の被害ですんだんじゃからな」


「でっでも。ルディールさんがいないんじゃ!意味ないじゃないですか!」


 そしてとうとう感極まって泣き出しのでまた同じ様にルディールは優しく頭を撫でてやった。


「次はソアレじゃな」


「……校内戦の終わりにルディールさんを見失ったのが分かれ道だったような気がします」


「どうなんじゃろな?前々から帰るとは考えておったが……そう言われればそうかも知れんのう」


「帰る所があると言うのは素晴らしい事なので止める事はしませんが……私やみんなの事を忘れないでくださいね」


「安心せい。この世界に来られた事がわらわの宝物じゃからな絶対に忘れんわい」


「でしたら安心ですね。ルディールさんが帰っても安心出来る様に私が責任をもってミーナさん達を魔法使いとして育て上げるので安心してください」


「うむ。やはりお主はかっこいいな」と言ってルディールは自身のアイテムバッグをソアレに渡した。


「その中にはわらわが使っておった最高の装備が入っておるからのう。ソアレが使ってくれ、他にも色々な装備が入っておるがミーナ達が使える様になったなら、お主が見極め渡してやってくれ」


「分かりました。それでいつもと違う服装なのですね。似合っていますよ」


 そうじゃろと言ってルディールは笑い指にはまっていた真なる王の指輪を外しソアレに渡した。


「お主がわらわの後を継げ。いらないならアトラカナンタに渡せば良いがお主なら大丈夫じゃろ……とかっこつけて言ったが言葉は伝わっておるか?」


「はい、大丈夫ですよ。この国の言葉になっています。普段からあれだけ本を読めば普通に覚えるかと」


「長い間この世界におったんじゃな……ソアレよ後は任せたぞ」


 ルディールが親指を立てると同じ様にソアレも親指を立てた。


「ほれ!王女よいつまで泣いておるんじゃ、元気をださぬか!」


「元気だしてルディールさんが残ってくれるなら出しますけど無理です!お母様を助けてくれた事もまだ返せていませんし!それこそ王都を魔神から救ってくれた事とか何も返せていませんよ!」


「ちゃんとわらわに礼を言ったからそれでええじゃろ。欲しい物も無いしのう……お主がちゃんとお礼を言える良い子とわかっただけで全然よいがのう」


「駄目ですよ!ルディールさんのおかげでずっといなかった友達もできたんですよ?それだけの事をしてくれた人に私は……」


「じゃったらシェルビアよ。笑ってくれ。泣かれるとわらわが辛くなるそれに美人が台無しじゃぞ。女の子は笑ってる顔が一番じゃぞ」


 さっきは面白い顔って言ったじゃないですかーと言ってまた泣き出したので、ミーナ、セニア、リージュが困った様に笑いながら王女をあやした。


「スイベルにも世話になったな。お主には片付けの頃から色々と話しておるから大丈夫とは思うが達者でな」


「はい。ルディール様もお気を付けて、貴女様から頂いた恩は忘れません」


「うむ。スナップやバルケにも会いたかったが仕事ならしかたあるまい」


「はい。戻って来たらシメます」


「だからお主は笑わぬと……」


「美人が台無しなんですね」


 そういう事じゃと言って皆で笑ってからソアレに頼み近くに来てもらい、すでに手に身につけていた真なる王の指輪にルディールは手を乗せた。


 そして全ての魔力を使い魔法を詠唱すると目の前に大きな扉が現れ開いた。

 

「よし!帰るかのう!皆、今までありがとう!ミーナ、セニア、リージュ、ソアレ、スイベル、シェルビアよ!本当に今までありがとう!お主達に会えた事がわらわの宝物じゃ!また何処かで!さよならじゃ!」


 皆が泣きながら手を振りルディールは扉の中に入るとまばゆい光がルディールを包み込み静かに扉は消えて言った。




 枕元にある聞き慣れた筈だがなにか懐かしい目覚ましの音で目が覚め、目を開けると……そこは自分の部屋だったが、長い間いなかったそんな気がした。


「帰ってこれたんじゃな……夢にしては妙にリアルじゃったから現実だったんじゃろな」


 自分の話し方がまだ元に戻っていなかったので一人で朝から笑いながら頭を掻くと少し違和感を覚えた。


「ん?ついさっきまで角があったから変な感じなんじゃろな?」と自分で納得し携帯を見ると山のようにメールが溜まっていた。


 慌てながらその内容を確認すると元の時間に戻った筈だったが一週間ほど経った時間に戻ってきた様で会社からのメールや友人達の心配するメールが来ていた。


 その内容を見てまた異世界に行きたくなったが、魔力も魔法もない世界なので仕方ないと笑い。病気で寝込んでいましたと返信を入れておいた。


 すると近くに住むギルメンでリアル友人がすぐにお見舞いに来ると言い出したの了承と返事を打った。


「顔洗って着替えよう……」そう言ってベットから起き上がると何故か家具の位置が微妙に高いような気がしたが長い間いなかったから忘れたのかな?と納得し洗面所に向かった。


 まだ寝ぼけているのか洗面所に行き鏡を見るとそこには角の無いルディールがいた。


「こんな所にディスプレイを置いたっけ?まぁいいか相変わらずわらわが可愛い!」等とふざけながら動くと写ったルディールも追従して同じ様に動いた。


「ん?ちょっと待って?これどう見ても鏡じゃよな……って事は」


 そう言って髪の毛を触ったりして色々と確認したが、どう足掻いても鏡に映ったルディールは自分そのものだった。


 その事でルディールは声にならない声をあげると近くまで来ていた友人が気づき、ドタバタと階段駆け上がりインターホンをならした。


「ルーちゃん!大丈夫!」

 

「その声は美奈か!」苦楽を共にした友人なら大丈夫と思いルディールはすぐに玄関のドアを開けた。


「美奈!聞いてくれ!」


 そう言って飛び出したが友人の女性はルディールを見て固まり、しばらくした後に叫んだ。


「ルーちゃんが女の子を連れ込んでる!しかもマイキャラのコスプレさせてる!」


「違う!そうじゃない!朝起きたら知ってる世界でもマイキャラだったんじゃ!」


「意味が分からないよ!」




 おしまい

長い間お付き合い頂きありがとうございました。これにて朝起きたら知らない世界でマイキャラでしたは完結になります。また何か書き始めたてお肌に合いそうならお合いしましょ~


感想、誤字脱字報告、本当にありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 完結部分まで楽しく読ませていただきました。 続きにも期待します!。 [気になる点] 第200話 過去の未来 (帰還END)にて 元の世界に帰還して角の無いルディールになったのは魔力も魔法も…
[良い点] 楽しく読ませていただきました! クスッと笑えたり、ほのぼのとしたり、気が付いたら読み進んでました。 とても読みやすかったです。 これからの執筆にも期待してます!
[良い点] 完結、おめでとうございます! 面白い作品、ありがとうございました!
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