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第196話 世界の未来 (ミーナEND)

 大人になったルディールが数枚の手紙を書き終え、ふと顔をあげると棚に飾ってある一枚の写真が目に付いた。


 そして懐かしい思い出に駆られその写真を手に取る。


 ミーナが一年の時に校内戦で優勝したトロフィーを持ち友人達全員で集まって撮った写真だった。


 しばらくその写真を見ているとドアをコンコンとノックする音が聞こえルディールを呼ぶ声が聞こえた。


「ルディール様、少し聞きたい事があるんですけど……あら?懐かしい物を見ていますわね」


 そう言って部屋に入って赤子を抱え部屋に入ってきたスナップにルディールは話しかける。


「うむ。休憩がてらに懐かしくなってのう。手に取って見ていた訳じゃな」


「リージュ様が優勝するかと思っていましたが……後輩の戦いが見たいと言って棄権して決勝がミーナ様とセニア様になりましたわね」


「そうそう。最後は相打ちでミーナが立ち上がって優勝したんじゃよな~。なつかしいのう」


「ほんとに懐かしいですわね」


 そうやって二人で思い出に浸っているとスナップが抱えていた赤ちゃんがかまって欲しそうに泣き出したのでルディールはスナップに頼み、抱き抱えるとすぐに泣き止んだ。


「スバルは相変わらずルディール様に懐いておりますわね……母親としては複雑な所ですわ」


「まだ一歳ぐらいじゃろ?精神年齢が近い方に懐いておるだけじゃろ?なースバル」


「あー」


 自分で言うのはどうかと思いますわ……とスナップが呆れていると思い出したかの様に手を叩きルディールに尋ねた。


「そうそう。バルケがようやく厨房に入る事を許されましたわ」


「ようやくじゃな……ミーナパパもデスコックも料理に関しては手を抜かんからのう……バルケも大変じゃな」


「本人はスプリガンとやり合った時よりは遙かに楽と言っていましたわ」


「あー……そんな事もあったのう。特訓に付き合ったのも良い思い出じゃわい」


 そう言ってルディールが目を瞑るとミーナが優勝した校内戦から数ヶ月たった頃にスナップとバルケが結婚すると言う話になったのだが……ほぼ全員が喜んだが、何故かスプリガンだけ猛反対……父親と言わんばかりに娘を嫁に欲しくば私を倒して行け! と言い、バルケもバルケでその挑戦を受けたので二人が結婚するまで二年の月日が流れた。


「スプリガンを倒せるんじゃからXランク相当の剣士になったからのう。お主と結婚して冒険者を引退する時は大変じゃったな」


「ルディール様のおかげで魔法使いのレベルは上がっていますから昔よりはXランクも増えていますが純粋な剣士となると少ないですわ」


「昔、出会ったルディオントやソールが言うには天界から攻めてくるかもしれないと言うておったからのう。そう思って魔法使いに講習とかした結果じゃな」


「そう言えば昨日も魔法学校の校長が先生にならないかと誘いに来ていましたわね」


「うむ。気に入らん生徒がいたら消滅させて良いか?と尋ねたら帰って言ったのう……と言うか忙しくて無理じゃな。宿の事もあるし、もう少ししたら商会長と仕入れの事を話し合わんと駄目じゃしな」


「ですわよね……ここも昔の様に村ではなく都市ですものね……魔道都市リベットですわ」


 そう言ってスナップが窓から外を見ると王都に引けを取らない程に発展しており上を見れば魔道士が飛んでいたり下を見れば貴族が乗っていそうな馬車が走っていた。


 だが自然とも共存する様にエルフ達に頼みエルフの建築様式も取り入れているのでいたる所に木々が生え、森の賢者達や炎毛猿達も街の中を歩いていた。


「王都の魔法学校までいかんでもこっちにも学校が出来ておるしのう……昔は両手で数えるぐらいしか生徒がおらんかったのに……」


「王都の魔法学校と対抗戦が出来るぐらいにはいますわね……」


 王都は人間が圧倒的に多いが魔道都市リベットは世界樹もあるのでエルフは集まり、魔列車もあるのでドワーフ達が来て魔都から魔族が来たりするので多種多様な種族が住んでいるそんな街になっていた。


 ルディールもスバルをあやしながら窓から外を眺めるとかなり大きくなった世界樹が見えまた思い出に浸った。


「昔はあの木の上に住んでおったのにのう……」


「良い思い出ですわ……庭が家庭菜園になっていたんですわ……確かに良い思い出ですけど世界樹だとバレた時が大変でしたわね」


「うっうむ……そうじゃな。国王と王女にめっちゃ怒られたのう。まだ住んでおればあの高い所に居れたのに……」


「新しいお家も素晴らしい所ですから甲乙付けがたしですわ」


「何とかと煙は高い所が好きというんじゃぞ?」


「ですから……そういう事はご自分で言う事ではありませんわ……」


「それでスナップは何か用事があってきたんじゃろ?バルケが厨房に入った事ではあるまい?」


 思い出したかの様にポンっと手を叩きスナップはルディールに質問した。


「そう言えばミーナ様はいつぐらいに帰って来られますの?」


「昨日の夜に話した時はもう少しかかると言っておったのう。ソアレと一緒じゃし大丈夫とは思うんじゃが……」


「もう立派な宮廷魔道士様ですものね。王女様の頼みで海を渡っておられるんですわよね?」


「水と土の魔法はミーナの専売特許じゃからな~海で襲われた時の為じゃろな。今はヤマト帝国におるぞ」


「何か……昔のルディール様と逆になりましたわね。昔はルディール様があちこち行ってミーナ様にお話するという感じでしたのに」


「うむ。宿の管理で忙しいからのう。何処かへ行く時間はないわい。エアエデンから遠くを眺めるのがちょうど良いわい」


「魔道都市リベットの一番の宿ですからね……スイベル達も全員この場所で働いていますし……と言うか、ルディール様はいつミーナ様とご結婚されますの?スノーベインから魔法提供はあったので子はなせますわ!」


「わらわもそれは考えておるが……性悪王女に言うが良い。事あるごとにミーナを出張に行かせるから機会がないじゃろ」


「ミーナ様も結婚したら宮廷魔道士やめて、この実家で働くと言っていますものね……さすがにバルケに続きまた城からXランクが減るのは問題なんでしょうね」


「火食い鳥がおるのにのう……」


「ソアレ様達は冒険者ですから……しかもXランクですから国の頼みでも断ろうと思えば断れますし」


「冒険者はいまいち自由がないのう。ならんで正解じゃな」


「頼まれたら断れないルディール様が言う台詞ではありません……わ?」


 話している途中でルディールの机の上に丁寧に封がされスナップも知らない言葉で書かれた手紙を見つけた。


「知らない文字ですけど何処かに出されるんですの?」


「うむ……いい加減にこの世界で生きて行く事を決めたからのう。かなり遅くなったが家族や友人に手紙を送ろうと思ってな。ソールのおかげで一方通行じゃが繋がったからのう」


「それで良かったんですの?」


「うむ。前の世界も好きじゃったが……もうこの世界がわらわの居場所じゃしな。気の許せる友人もおるしのう」


 ルディールがそう言うとスナップは笑顔になり、でしたらこれからもよろしくお願いいたしますわと頭を下げ、二人で笑い合っていると二人のいる部屋の魔力がゆがみ始めた。


 何事かとルディールとスナップが戦闘態勢をとりスバルが泣き出すと、水で出来た門が現れ、中から見た目だけは立派になったミーナが飛び出してきた。


「ルーちゃん!大丈夫!?」


「……お主、会えて嬉しいがどうしたんじゃ?ヤマトにおったんじゃろう?」とルディールが言うとミーナが抱きついた。


「違うの!?聞いて!ソアレさんがね!」と必死になって言い出したので詳しく聞くと、ソアレがミーナに変な事を吹き込んだらしく、セニアがルディールを狙っているとか、リージュがルディールを寝取る作戦を立てているとかと話した。


 その事を聞いてルディールもスナップも頭を抱えたが当の本人はそれどころでは無いようだった。


「ミーナ様もあまり変わりませんわね……」


「うむ……かわらんのう……よし!ミーナよ。そろそろ大人になる頃じゃろう。いい加減ルーちゃんは止めてルディールと呼ぶのじゃ」


「え?良いけど?ルーちゃん?」


「なっておらんではないか……」


「もう十年近くこの話し方だから!すぐには無理だよ!……ルデーちゃん?」


 その事を笑い、練習のかいがあってようやくミーナはルディールと呼ぶことに成功した。


「ルディール……うん……何か恥ずかしいね」


 そういって赤くなったのでスバルをスナップに返してからルディールはよくできましたと言って、ミーナの唇を奪いキスをした。


 長いようで短いキスが終わるとルディールはミーナに話しかけた。


「わらわはお主しか見えておらんから安心すると良いぞ。あまり変な事に惑わされんようにな」


「ルッ、ルーちゃん!」とミーナが嬉し泣きをしスナップとスバルが笑っている。そんな世界がずっと続いていくかの様に、開いた窓から風が吹き抜け空に舞い上がった。




 おしまい

これにて完結です。長い間お付き合い頂きありがとうございました。


いつも誤字脱字報告ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] お疲れ様でした。 面白く、楽しませて貰いました。
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