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第148話 魔界を抜けて

「あっ……そういえば魔界にくると魔神は本当の姿に戻るんじゃったな」


 ルディールはのんきにそんな事を言っていたが、周りの雷が竜の様になり辺りを破壊し始めたり、その破壊された所から植物が生えてきたりとかなり混沌としていた。


 その状態におびえながらスバルが力を抑える様に懇願してきた。


「ルディール様、私達が何かしたというのであればすぐに頭をさげます!ですからそのお力をお鎮めください」


「お主はわらわを破壊神か何かと勘違いしていないか?というか抑え方がまったくわからんのじゃが?」


「百人いれば九十九人は邪神の類いだと言うとおもいますが……分からないと言いますと?」


「言葉通りの意味で前にも少しこの姿になった時もたまたま戻っただけなんじゃが……スバルは戻り方を知らぬか?」


 ルディールがそう尋ねると少し余裕が戻ったスバルは少し考えてから、とりあえず気合いと根性で力を抑えるのです!と、どこかで聞いた事がある台詞を叫んだ。


 その言葉にルミディナはかなり嫌な予感を覚えたので止めようとしたが、目の前の角の生えた金髪は次こそはできる!と叫び気合いと根性を入れると……


 周りが光に包まれ、危ないと思った瞬間に白と黒の光が大爆発を起こし、その場にはキノコ雲と巨大なクレーターができていた……


 爆心地からすぐに植物が生える場所と全く生えない場所がありその光景を上空からルディールがシャドーステッチで縛られながら眺めていた。


「あの植物が生える所と生えない所の差はなんなんじゃろな?」


「多分ですが生えない所は古の腐姫の力で、生えてる所は世界樹の力ですね」


 ルディールとスバルが話しているとルミディナは肩で息をしていた。


 どうやったかはルディールも分からない様だったがルミディナが二人を爆心地から上空へ運んだ様だった。


 ルディールが礼を言おうとするとルミディナのこめかみに血管が浮いていた。


 そして三人は地面におり、ルディールとスバルを正座させてから説教が始まった。




「ルディールさん聞いていますか!」


「はい、すみません……じゃがな?こう初めての魔界で訳も分からず慌てふためくわらわの気持ちを汲んで欲しいんじゃが……」


「言い訳をしない!初めての魔界ならそれこそ慎重に行動しなければ駄目なのでは!」


 それから約三十分ほど怒られた後にようやくルディールとスバルは解放された。


「くっ!ルミディナの奴め、そこまで怒らんでもええじゃろうに」


 と、聞こえない様に言ったつもりだったが、しっかりと聞こえていたようで、何か言いましたか!と振り向いたのでしかたなく謝るとスバルが意見をくれた。


「ルディール様、そういう時は余計な事を言わずにとりあえず、申し訳なさそうに謝っておいた方が良いですね。私もルミディナ様に怒られた時は内心は笑っていますが表面上は申し訳なさそうにしていますので」


 どこかで聞いた事がある台詞じゃな~と考えているとルミディナにも聞こえていたようでスバル!と叫んでいた。


 ルディールの体の状態だが先ほどの大爆発で魔力を使い流れが安定したのか、尻尾などは生えていたが雷の様な物はまとっておらず安定していた。


 ルミディナ達と話しながら色々試しているといつもの姿にも戻れる方法も見つかりその事を相談した。


「どうなんじゃろか?変身をわらわは残している……的な感じでこの姿の方がええんじゃろか?」


「正直どちらもデメリットがあるので……どちらを取るかになりますね」といってルミディナはルディールの姿について説明してくれた。


 いつもの姿の方は人間界で暮らす方の姿なのでその姿を覚えられると人間界で襲われる事もあるかも知れないとの事。


「今の姿の方はあまりデメリットは無いですが、真の姿の方が少し問題ですね……ルディールさん先ほどの姿になれますか?」

 そう言われルディールは意識を集中すると角は巨大化し尻尾が生え緋色の瞳が真っ赤に染まった。


「これでよいか?……スバルが剣とか持っておったら斬りかかってもらって指で受けるんじゃがな……」


「アイテムバッグに入っているので斬りかかりましょうか?」


 ルディールとスバルが変な事を話しているとルミディナはそう言うの良いですからと盛大にため息をつき話し始めた。


「ルディールさん、その状態の時は自分の理性にブレーキが掛かりにくくなっています。自分の欲求や本能に忠実になっていっている筈です、それと能力が数段上がっているので加減が遙かに難しくなっていると思います」


「……それはシャレになってないのう。友人を助けに行くのに殺してどうするんじゃと言う話になるし、いつもの姿でも全然戦えるから問題ないのう」そう言っていつもの姿に戻るとルミディナが話しかけてきた。


「そのご友人のお名前を聞いても?」


「そこの執事が未来を見えると言っておったから聞けば良かろう」


 スバルに話を振ると少し考えてから「確か……雷帝のソアレですよね?」と言った。


「なんじゃい雷帝って……雷光じゃ雷光。その友人を助けるのが目的じゃから超ルディールさんにはならんでええじゃろ」


「そうですね……ですが魔界の魔物は強いですから危ないと思ったらすぐに変身してください」とルミディナは少しルディールを心配した。


「うむ、ありがとうじゃな。それで魔都ファボスにはどうやっていくんじゃ?」


「はい、上空にいる時にこの辺りの地形を確認しましたが、ここから飛んで行けば夜には着くと思います。人間界に慣れて居ると分かりづらいですが魔界も今は朝なので」


 ルミディナはそう言ってからルディールとスバルに確認を取ると、スバルが先頭を飛び、ルミディナ、ルディールの順に並んだ。


 空から見た魔界は書物に書いてあったほど不気味な場所ではなく、確かに気味の悪い場所もあるが自然や魔物が多く美しい場所だった。


 そんな事を思っていると景色に似合わず魔物は凶悪で、乗用車より少し大きい蜂が群れで襲ってきたり、森の中から巨大な蛇が頭だけ出しルディール達を魔法で狙撃してくる等のハプニングがあり戦闘になったがルミディナ達だけでも余裕で対処出来るレベルだったので先を急いだ。


 しばらく飛んで行くと森の切れ目がありそこから先は全く森がなく岩と砂の様な地形になっていた。


「ルディールさん、この砂漠を抜ければ魔都に着きますので、森の中で少し休憩していきますか?」


「うむ。ずっと飛んでおったからのう、それが良いじゃろうな」


 ゆっくりと砂漠が見える大岩の上に三人は降り立ちルディールはルミディナに話しかける。


「魔界と言うから魔神とか悪魔とかその辺りが大量にいるのかと思ったらそうでもないんじゃな?」


「魔界は人間界より広いですからね、未開拓の場所がかなり多く解明されていない所がまだまだあった筈ですよ。悪魔も魔神も生命力が強く寿命が長いので人のようにすぐには増えませんから」


「魔都とか街に集まっている感じじゃな?」


「そうですね……人とは違い、一人でも生きて行けるので山奥で暮らす魔神もいますが、村や町に住む者が多いですね」


 ルミディナにルディールが色々と聞いているとスバルが二人に紅茶を入れてくれたのでそれを飲みながら二人は話を続けた。


 話が弾み予定していた休憩時間を少し過ぎたのでルミディナがそろそろ行きましょうと立ち上がるとルディールがその手を掴み危ないと引き寄せた。


「おっルルッるる!ルディールさん」その事で少しパニックになっていたが、ルミディナが居た場所は巨大な針が突き刺さっており、一瞬だけその姿を現し姿を消した。


「サソリみたいな魔物じゃったな……」


 そういうとスバルがヘルダイバーと呼ばれるサソリですお気を付けくださいと叫び、戦闘態勢を取ったがルディールはもう終わっておるぞといい自分の影を指さした。


「……シャドーステッチですか?」


「うむ。よく知っておるのう蜘蛛の網の様に地面に這わせてあったのに近くに来るまで気が付かなかったが……こやつ虫のくせに転移魔法を使うんじゃな」


 そう言うとルミディナが深呼吸してからルディールから離れ、その通りで転移魔法を使う魔虫だと話し魔石を取れば死角から攻撃出来る武器や大容量のアイテムバッグを作れると教えてくれた。


 ルディールはルミディナとスバルにいるか?聞くといらないと言われたのでシャドーステッチをムチの様にしならせ消えているヘルダイバーをかなり遠くに投げ飛ばした。


 スバルに勿体なくないですか?と言われたが解体する時間が勿体ないと言うと、確かにそうですねと言われた。


 そしてかなり遠くに砂煙があがったので追いかけては来ないじゃろうとルディールが言うとルミディナが助けてくれた事に礼を言いまた空へあがり魔都に向かって飛んだ。


「ルディールさんは本当にお強いですね。」


「どうなじゃろな?魔界は広いんじゃろ?わらわぐらいのがゴロゴロいるのではないか?」


「ルディールさんクラスがゴロゴロいたら人間界も天界も消滅していますよ……」


 などと冗談を言いながら砂漠の上を飛んでいくと草原地帯に入り遠目でも分かるほどの都市が見えてきて、奥と真ん中辺りに二つの城が有り、町の上には巨大な飛龍や魔物が飛んでいるのが確認出来た。


「ルディールさん、あそこが魔都ファボスです。このまま飛んで行った方が良いのですが……少し目立つので近くまでいったら飛べない魔族に紛れて中へ入りましょう」

 

「うむ。目立たない方が良いからのう、それで良いじゃろう」


 少し離れた森におり街道からルディール達は魔都ファボスを目指した。


 街道には飛べない魔族や獣人や黒い肌のエルフ達が歩いており、ドラゴンの様な生き物が荷車を引いたりと人間界とそんなに変わらない様子だった。


「何処もそんなに変わらない感じじゃのう……あの城が動くとかサプライズはないんじゃろか?」


 ルディールが変な事を言っているとルミディナがため息をつき城は動きませんが城壁は動きますよと言っていた。


 そして城門が見えてくるとルディールの索敵魔法に巨大な生物が引っかかった。


「気がつきましたか?」


「うむ、あの城壁は魔法で隠されておるがでっかい蛇なんじゃな」


「はい、そうです初代魔王様の相方と言われていた魔獣です。今から渡る橋も尻尾になりますね。ですがやはり流石ですね。かなり高度の魔法を使っているようなので高位魔神で無ければ見破れないはずですが……」


「褒めても何もでんわい。この大蛇は動かんのか?」


「はい、有事の際には戦うらしいのですが私は動いた所は見た事がないですね。初代魔王様にこの都市を任されたようなので」


「忠犬ならぬ忠蛇って感じじゃのう」


「言いたい事は分かりますが……言いにくくないですか?」


 等とルディールとルミディナは冗談を言いその光景をスバルが笑いながら魔都ファボスへと入って行った。

次回の更新は明日のお昼予定だけども明後日になる可能性も否定はできない。


今朝、投稿する予定でしたが思いっきり忘れて執筆してたのでこの時間になりました……誤字脱字報告ありがとうございます。

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