第137話 依頼達成
「フルチンとバルケを合わせて……チンケとこれから呼べばよいか?」
「チンケってなんだよ!チンケって!そこまで行くとただの悪口だぞ!」
ルディール達とバルケのやりとりで先ほどのあった事を思い出したのか、落ち着いていたスナップの顔がまた真っ赤になっていた。
「のう……バルチン。ちゃんと謝った方がよいぞ?」
「謝ったわ!許してもらったわ!ルー坊が蒸し返しているんだろ! 」
「ルディール様もチンバル様もお願いですから……あまりチン、チン、チン、チン言わないでくださいですわ……」とスナップは顔を手で隠し懇願した。
「フルケよ。お主は我が家のメイドを辱めて何しておるんじゃ……」
「ルー坊、お前はそんなんだから服着てる方がエロいって言われるんだぞ!そんなん言い出したらデシヤンなんざ!常に裸じゃねーか!」
バルケがそう言うとルディールは大きくため息をついた。
「お主、昆虫を見つけて裸だ!って欲情するのか?それはわらわも流石に引くぞ……」
ルディールがバルケをからかって遊んでいるとイオスディシアンも温泉から上がってきた。
「デシヤンよ。バルケがお主の事を常に裸だと言っておったぞ」
ルディールがそう言うとイオスディシアン変な者を見る目でバルケを見て話しかける。
「剣士よ……冷静に考えてお前は変態か?」
「だれが変態だ!」
しばらくバルケをおもちゃにして遊んでからルディール達は本格的に坑道に溜まった水を抜く為に出発しようとしたが約二名ほど異常に疲れていた。
「俺が悪いんだが……SランクPTに放り込まれた時以上に疲れた……」
「バルケ様、奇遇ですわね……私も今までで一番疲れた様な気がしますわ」
「バルケの方はその疲れに見合った報酬はあったとは思うがのう……それでバルケよ。元気が残っておるなら先頭を任せてよいか?」
ルディールがそう言うと一瞬だけスナップの方を見てから大きく息を吐き出し、自分の顔を両手で叩き気分を入れ替えてから出発しようとした。
「はぁ……バルケ様。気合いを入れるのは良いですが……強く叩きすぎて鼻血が出ていますわよ」
そういってスナップはバルケに近づき少し背伸びをしてからバルケの鼻血をハンカチで拭き取っていた。
「……わらわ達は何を見せられておるんじゃろうな?」
「魔神の私に聞かれても……むしろ私が聞きたいぐらいで」
ルディールとイオスディシアンの問いに答える者は誰もいないので、まぁ良いかとあきらめバルケが動き始めるまで待って話しかけた。
「バルぢよ、そろそろ行こうと思うがよいか?」
「バルケと鼻血を混ぜんな!」と叫びようやくバルケが地図を片手に先頭を歩き始めたのでルディール達も後に続いた。
そして小屋があった場所からしばらく進むと地図に印がある場所にたどり着き足下には透き通った水が溜まっていた。
その水は本当に透き通っており天井から滴る水滴がなければそこに水があるのが分からないほどだった。
「職員さんの説明じゃと、この水が回復無効なんじゃよな?わらわは鑑定魔法とか使えぬから分からぬぞ」
ルディールがそう言うとバルケが辺りをきょろきょろとし何かを探してから岩の裏にいたショベルを持った二足歩行のモグラの様な生き物を捕まえてその水に投げ込んだ。
そして水から上がった所を投げないナイフで小さな傷を付けポーションをかけたがその傷は治らなかった。
「ポーションでも回復しないからここからだなって、ルー坊なにやってんだ?」バルケがそう聞くとルディールはそのモグラを捕まえアイテムバッグの中から血を止める軟膏と包帯をだし、そのモグラに巻いていた。
「ん?襲いかかってきたなら遠慮はせぬが無理に殺さなくても良いかと思ってな」
「一応それも魔物だぞ?ってルー坊は魔物と話せるんだったな……」
バルケの言葉通りルディールは獣の王の指輪のおかげで魔物と意思疎通が出来るので、モグラに謝り人間は怖いから見つからない様にと言って逃がしていた。
「……今のモグラ何か言ってたのか?」
「ん?生き別れになった兄弟とやっと再会出来たと思ったら殺されかけたと言っておったぞ」
「……マジかよ」
「嘘じゃ、昼寝しておったらお主に捕まったらしい」
「お前な……嘘つきは奴隷商の始まりって言うんだぞ」
バルケのおかげでその溜まった水がやはり回復無効だと確認出来たので次はどうやって進むかを話し合った。
「デシヤンよ。お主はわらわの古の腐姫の力を相殺したじゃろ?この水も似たような感じで無効化出来たりせぬか?」
ルディールの問いにイオスディシアンは腕を組み考えたから答えた。
「先ほどの魔物と話していた様にルディール様が全ての指輪の力が使えるのなら世界樹の祈りや太陽と月の指輪の効果で相殺出来ますが……ルディール様お一人だけですね」
「お主……どうして指輪の名前まで知っておるんじゃ?」
「旧魔王城に墓があると言いましたよね?そこに全ての指輪の名前が書かれていますからね、ある程度力のある魔神なら確認しています。読めない文字のような記号の様な物も大量に書かれていますが……」
「一度デシヤンと語り合わねばならぬのう……」
ルディールがそう言って悩んでいるとイオスディシアンがいつでもと言い、スナップとバルケがルディールにだけ行ってもらうのはあり得ないと言い他の案を言った。
「二週間ぐらいなら別に冒険者が出来なくても死なねーから全員で泳ぐか?」
「絶対に駄目ですわ。ルディール様に球状に障壁を張ってもらって水が浸入しないように進むしかないと思いますわ……それはそれで心配事がございますけど……」
スナップがそう言うとバルケはもう一度、地図を見直し空気が足りるか等を考え地図に印などを書き入れた。
「ルー坊の障壁はどれだけ持つんだ?一時間でも持てば行けると思うが……」
「保証は出来ぬが外で本とか読んでおる時なら、椅子代わりに張り続けておるから多分じゃが持つと思うぞ、障壁内の空気が持つか?となると微妙な所じゃが」
バルケが先ほど書き入れた地図を地面に広げて少し遠くなるが空気が溜まってそうな所を回って行けば目的の地点まで余裕で行けると話したので皆はバルケを信じてそのルートで進む事に決めた。
今度はルディールが前衛を歩き、バルケ、スナップ、イオスディシアンと並び魔法で障壁を張り水の中にゆっくりと入っていくと、水が避けるように動きルディール達は全くぬれる事は無かった。
「ルー坊、大丈夫そうか?」
「うむ、水圧もそこまであるわけでは無いから大丈夫じゃな。という訳でバルケよ案内を任せたぞ。スナップとデシヤンも索敵を任せた」
全員が返事をし障壁で水を躱しながらゆっくりと進んで行くと水の中で洗われた鉱石がルディールの光魔法が反射して水の中を色鮮やかに彩りここが坑道の中とは思えない幻想的な世界になっていた。
「とても綺麗ですわ」とスナップが言ってその光景に魅せられて、そのスナップをバルケが眺めているのが印象的だった。
「バルケよ」
「ん?なんだよ」
「君の方が綺麗だよ。とか言ってもええんやで?」
「言うか!」
とスナップに聞こえない様にバルケを応援しながらゆっくりと進んで行くと坂になっており登りきると、そこには水がない空間があった。
「これ、障壁を取ってガスとか溜まっておったら最悪じゃな……」
ルディールがそう言ったのでバルケが先に障壁の外に手を出し確認すると微かに空気の流れがあったので、ルディールに障壁を解かせた。
「今の様な感じで進めば行けそうな感じじゃな」
「ええ、問題無さそうな感じですわ」
「反省点があるとすればルー坊がからかってくるぐらいだな」とバルケが言ったのでスナップがその事を尋ねたが濁して詳しくは話さなかったのでルディールがバラそうとすると横から抱き抱え口を塞いだ。
「お前!余計な事言うなよ!」
「余計な事とはなんじゃ!応援してやっておるんじゃろ!」
等と雑談を交えて先ほどと同じようにルディールが障壁を張りバルケが地図を見ながら水の中をゆっくりと進んで行く。
ガスが溜まっている場所や一面に小さな虫がいた場所があるなどのハプニングもあったが、ようやく最後の分かれ道までたどり着き右に行くと古の腐姫の墓があり、左に下っていくとギルドの職員さんが記してくれた水を抜く爆破ポイントがある。
「どうする?先に墓を確認するか?」
「わらわも興味はあるからゆっくり確認したいからのう。先に水を抜いてしまおう」
「なんだ?ルー坊も思い人とかいるのか?」
とバルケが口を滑らせたので、バルケにしてはあっさりと依頼を引き受けた理由が分かったのでルディールはそういう事かと笑顔になっていた。
「その悟った様な笑顔は腹立つな」
「うむ、悟ったからのう。自分で口を滑らせたのも気付いてないから恋はモクモクじゃな!」
その言葉でバルケも気づいたようであっ……と言ってから素直にルディールに謝っていた。
そんな二人のやり取りをスナップとイオスディシアンが見ていたが意味が分からず不思議そうな顔をしていた。
そして先に目的の場所にたどり着くと小さな亀裂か穴が空いているようで足下にゴミや落ち葉が溜まっていた。
「これ何も考えずに穴を開けたらわらわ達も吸い込まれるパターンじゃな」
「ルー坊、絶対にするなよ」
「せぬわ!それでどうするんじゃ?職員さんには詳しく聞いたんじゃろ?」
「ああ、ロープとかで縛って開けたら大丈夫とは言ってたな。仮に一緒に流されても川にでるんだとよ」
「それは大丈夫とは言いませんわ……」
「ロープもあるがルー坊のあの影の紐みたいな魔法で縛ってから穴を開けた方が確実だろうな」
バルケのリクエストがあったので少し離れた場所まで下がりルディールはシャドーステッチを唱え、流されないようにその場に皆を固定した。
そして、では穴を開けるぞ?と聞き全員が頷いたので魔法を唱える。
「坑道内じゃし水の中じゃしな……そこまで強い魔法でない方がよかろう……ブリッツボール」
そう言って人差し指をピンと立てるとピンポン球ぐらいの大きさの光の球が出現し指を下げると目的の場所まで飛んいった。
そして着弾した瞬間に周辺を飲み込む勢いで荒れ狂いその場所に大穴を開けた瞬間に全ての水が一気に押し寄せた。
「ちょっと不味いかもしれぬな」
「?ルディール様の魔法では流れに負けますの?」とスナップがルディールに尋ねると、先にバルケとイオスディシアンが動き流れて来た大岩や魔物を障壁に当たる前に真っ二つに切った。
「そういう事じゃな……全ての水がここに流れるなら中の空気が持つかな?と言う心配もあるのう」
そして警戒しながら水が抜けるまでその場で流れてきた魔物を倒したり岩を切ったりしていると少しずつだが水量が減っていった。
すこし息苦しくなってきたかな?と言う頃には、ほぼ全ての水が抜けルディールはシャドーステッチと障壁を解除した。
「結構な量が溜まっておったんじゃな」と言って空けた穴をのぞき込むと暗く深く何も見えなかったが川が流れているようで水が岩を叩く音が聞こえていた。
「新しい坑道の方で事故があってそこから水が流れて来て溜まったんだとよ。もう溜まる事はないと思うぞ」
ルディールはなるほどの~と言ってから旧坑道とはいえこの大穴を空けたままにしておくと危ないので簡単な土魔法を使い空けた大穴を埋め簡単に補強し古の腐姫をモチーフにした天使像を立てておいた。
「こうやっておけば危なくないじゃろ」
イオスディシアンはそのルディールが魔法で作った天使の像の出来を見て感動していた。
「流石ルディール様、素晴らしい……邪神像ですね」
「ああ、魔除けって意味か。ルー坊はそういう所が細かいな」
「うっうむ」
「ん?天使に見えません?」いつもルディールの近くにいるスナップだけが理解してくれたのでスナップに聞こえる様に礼をいい目尻に溜まった光る物を拭った。
バルケが受けた依頼は達成されたので辺りに危ない所が無いかを皆で見て回ったが特に地形が変わった等の事は無く、水が流れた事で地表が洗われ原石や鉱石が少し顔を出しているぐらいだった。
「どうする少し採掘するのか?」
「いや、この鉱山はヘルテンの物だしなちょっと位ならいいと思うが……取らずに報告する方が賢明だな」
「わらわもそういうのは全然出来ぬからのう~バルケの案に賛成じゃな」
スナップもイオスディシアンも鉱石に興味が無いようなので頷いた。
依頼が達成されたのでルディールは興味があった古の腐姫の墓に向かった。
その場所は依頼を達成した場所に近くたどり着いた瞬間に全員が息を飲み言葉を忘れた。
その場所には希少な鉱石をふんだんに使いその一つ一つ全てが美しく加工されており中央にはこの世の全てが見劣りするであろうと言う様な羽の生えた像がありその下に小さな墓があった。
書けたので更新しました次回の更新は頑張るけど月曜日になると思います。
いつも誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かっております。




