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第133話 謎

 ルディール達の前に現れたのは少し前に戦った虫の魔神イオスディシアンだった。


「お?デシヤンではないか、先ほどのあれが何かわかるのか?」


 ルディールがそう聞くとイオスディシアンもお久しぶりですと頭を下げ説明しようとしたが、スナップが少し人が集まりだしたので移動しましょうと言ってくれた。


 流石に駅内の石畳をぶっ壊して逃亡する訳にもいかないと思って少し悩むと、丁度良い所に駅内美化ご協力くださいと書かれた募金箱があったので「石畳の弁償代です」と書いた紙をいれてから白硬貨でその募金箱をいっぱいにしてから泊まっている宿に向かった。


 そして時間的にも良かったので夕食を取り始めた。


 「デシヤンはあれじゃな?どこから見ても虫なのに人間のご飯を食べるんじゃな?わらわ達に気を使わなくて良いから、樹液とかそういうの食べてよいぞ?食文化は違うものじゃしな」


 ルディールがそう言うとイオスディシアンはなんとも言えない顔をし、バルケとスナップは大きくため息をついた。


「ルディール様……それ、明らかに喧嘩うっていますわ」


「普通に話しておるだけじゃろ!別に喧嘩うっておらぬわ!」


 主が失礼な事を言ったのでスナップはイオスディシアンに丁寧に謝り、バルケはう~んと何処かで見た顔なんだよな~と頭を悩ませた。


 するとルディールはカーディフが画いた二体の魔神の羊皮紙をバルケとスナップに見せた。


「あーこれこれ。ルー坊ありがとよ、おかげでスッキリしたわ」


「うむ、どういたしましてじゃな」と言って何事もなかったかの様に夕食を食べ始めたが、スナップから待ったの声がかかった。


「おかげでスッキリしたわ。うむ、どういたしましてじゃな……ではありませんわ!敵対してる魔神と同じテーブルに座って夕飯を食べているんですの!」


 スナップもイオスディシアンの絵と本物が一致していなかった様だが、ルディールが取り出した絵のおかげで危険な相手だとわかると警戒し距離を取った。


「スナッポン、食べねーのか?」


「頂きますけど!バルケ様もどうしていつも通りなんですの!」


「ん?さっきのルー坊の状態を見て話しかけてくる奴だぞ?って事は知り合い以外の選択肢はないだろ…アレに勝てる奴がここにいるわけねーしな」


「それはそうですが……」


「どっちにしろ、俺やスナッポンじゃどう頑張っても勝てる相手じゃねーから諦めるのが肝心だな」


「はぁ~……そこはお前だけは守ってやる!とか言う所じゃろ」


 ルディールもバルケもいつも通りだったのでスナップもそれ以上は追求する事は諦めて席についた。


 そして落ち着いたのを見計らってルディールはイオスディシアンに二人を紹介してから先ほどの事を尋ねる。


「のうのうデシヤン、先ほどのわらわの姿が変わったのはどういう事なんじゃ?」


「はい、あれがルディール様の本来のお姿です」


「いやいやいやいや、本来の姿も何も造った時から……ではなく生まれた時からこの姿じゃぞ?」


「ですが魔神族、悪魔族は魔界が本来の生息域です。人間界では魔素が足りず力を押さえた姿になりますが魔界だと人が住めないほどに濃いので魔神や悪魔は力を解放できる姿に戻れます」


 イオスディシアンそう言ってから見てくださいと言って立ち上がると、前に引きちぎった腕がきれいに再生していた。


「……前から気になっておったんじゃが、お主の様に二足歩行の虫じゃと足なんじゃろうか手になるんじゃろうか」


「ルディール様……それは本当にどうでもいいと思いますわ……というよりデシヤン様は魔神との事なので虫ではないと思いますわ」


「物をつかめたら手でいいんじゃねーのか?」


 と、いつも通り脱線したのでイオスディシアンが人の様にゴホンと咳をして話を戻した。


「それで話を戻しますが魔界に行くと本来の力が解放され、回復が早い、魔力があがるなどの恩恵もあります。ただ人間界で育った魔神が魔界へ行くと姿が変わり理性を失う事もあります」


(意味不明じゃな……わらわのこの姿はゲームで造ったキャラじゃぞ?ギルメンの知り合いの3Dクリエイターさんにお金払って手直ししてもらってようやく完成したのに?本来の姿もへったくれもないじゃろ?)


 ゲームプレイ中もそこそこやり込み大手のギルド等とも付き合いもあったが制作したキャラクターの姿が変わるという話は聞いた事が無かった。


 そう考えていると中には超巨大化する魔神もいるので慣れれば人型の姿を維持する事も可能だと教えてくれた。


「デシヤンも形態が変わるんじゃよな?」


「はい、詳しくは言えませんが変わります。ですが人型の方が生活する上では楽ですのでそうそう変わったりはしませんが……」


「なるほどのう……本来の姿があるのは分かったが……謎の上に謎を重ねられてもさらに意味不明になるだけなんじゃな」


「まさになぞなぞですわね……」


 スナップもルディールは別の世界から来たという事をしっており、指輪の持ち主達の事も一緒に調べていたりしていて大方の事情は知っているので同じように頭を悩ませた。


「よく考えたらこっちの世界に飛ばされた時にこの姿って言うのも意味不明なんじゃよな」


 ルディールがそう言ったのをスナップがその台詞を拾ってイオスディシアンに尋ねた。


「デシヤン様、ルディール様のお姿と先ほど尻尾が生えた時のお姿を見かけた事があったり、噂話程度でもルディール様のお姿を見たと聞いた話はございますか?」


 そう尋ねると腕を組み考えたが、全くないと答えた。


「不実の指輪のような物を身につけていれば別だが、ルディール様のような魔力があれば魔界は広いが隠し通すのは無理だと思う。目が無い代わりに魔力で認識する者もいるしな、話として聞いた事も全くない。ここ数十年で話題になった強者と言えば現魔王のラフォールファボスぐらいだ」


 と言ってから大事な事を思い出し急に立ち上がりルディールに頭を下げた。


「ルディール様、礼をいうのが遅くなりすみませんでした。あの時は助けて頂いてありがとうございました」


「うむ、どういたしましてじゃな。それは別に良いんじゃが……スナップは何が気になったんじゃ?」


「いえ、ルディール様のそのお姿に意識だけ本来の世界から飛ばされて乗り移ったのかと思いましたが……そうでも無さそうですわね」


 ルディールはその事に興味を持ったのでスナップの意見を聞くと、イオスディシアンやアトラカナンタの様にこの世界にいながらもルディールがいた世界にも形だけはいたと聞いたので、ルディールの姿の元になった魔神がいるかもしれないと思ったとの事。


「たしかにそういう話も聞いた事があると言えばあるのう……」


「エアエデンにも記憶を移し替えたり書き換えて別人に出来る装置もあるので可能性は低いですがあり得るかとおもいましたが……」


「……絶対に大賢者ノイマンって人間嫌いだったんだな」


 空に浮かぶ危険な兵器の一部をスナップがポロッと話したのでルディールとバルケが危ない物を見る目でエアエデンの方向をみていたのでスナップは慌てて自衛ですわ自衛と言っていた。


 ルディールもその事は頭の隅に止めてまた別の事を考えたが、すぐに答えの出る物は一つとして無かった……

 

「それはそうとデシヤン様の前で色々話していますが大丈夫ですの?」スナップがそう聞くとバルケがさっきのルー坊の姿を見て余計な事を言う奴は存在しないと笑った。


「そこまで危険人物ではないわ!」とルディールは怒ったがイオスディシアンは余計な事を言わずに黙っていた。


「そう言えばデシヤンはどうしてヘルテンに来ておったんじゃ?言いにくい事なら別に言わなくてもよいが」


「はい、今の私は人間に対して敵対派にも穏健派にもどちらにも属していませんので、魔界で情報収集をしようと思い戻りましたが、思った以上になんの情報も出ないのと少し身を隠そうと人間界に来ました。ヘルテンなら魔神や悪魔も多いので身を隠せますので」


「自称魔王に殺されかけておったしのう。人間界に攻めて来たら戦う事もあるじゃろうが、わらわから魔界に行く事はないじゃろうからな」


 それから四人で情報交換などをしていると夜も遅くなってきたので、イオスディシアンはそろそろ行きますと言って宿を出そうになったのでルディールは一声かけた。


「デシヤンはこれからどうするんじゃ?」


「しばらくヘルテンで情報収集ですね、あと近い内に古の腐姫の墓でも見に行こうと思います」


「了解じゃ。わらわ達もまだヘルテンにおるから何かあれば来るが良いぞ」


「ありがとうございます……それと一つ。アトラカナンタも人間界に来ていますのでご用心を」と言って再度、頭を下げてルディール達の夕食代を払ってから出て行った


 そしてバルケは自分の部屋に戻り、ルディール達も部屋に戻りゆっくりしているとスナップが話しかけてきた。


「今回の事を含めてまたルディール様の事が分からなくなりましたわね」


「そうなんじゃよな……異世界に行きたいと願ったのはわらわ自身なんじゃが……魔列車が来た時に姿が変わったのは真面目に意味不明じゃな」


「あの姿をみると人間界に侵攻してきた魔王と言ったら皆様信じますわよ……」


「そんなに怖かったのか?」


 スナップは人差し指を顎に当ててから考えるポーズをし、少し身震いしてあのお姿のルディール様と戦う事になったら即座に自決すると言った。


 ルディールが呆れて別に自決までせんでええじゃろと言っているとそれぐらい怖かったと言い、先にお風呂に入ってきますわと言って部屋にある風呂へ向かった。


 そしてルディールはアイテムバッグの中から羊皮紙を取り出してあった事を書き起こしていると、通信魔道具が鳴った。


 そして出てみると相変わらずソアレだった。


「……はい親友、こんばんわ。レレレのソアレです」


「うむ、こんばんわじゃが……何か痛い痛いと下の方から聞こえるがどうした?」


「……今日はリージュさんに勝ちましたのでそのご報告をと思いまして」


 口喧嘩でソアレがリージュに勝ったのかと思いその事を尋ねると、どうやらそうでは無いようだった。


「……そもそも相手の得意分野で戦う事が間違っていました。ルディールさんのようにある程度は接近戦もしようと、リージュさんと模擬戦して関節技を決めた所です」


「それはどうなんじゃろな……リージュを離してやれ……と言うかどうやってスティレから魔道具を奪っておるんじゃ?」


 真面目なスティレがソアレに簡単に渡す事は考えられなかったので、その事を尋ねると予想を超える回答が帰って来た。



「……はい、帰ったらお教えしようと思いましたが、転移魔法をルディールさんに教えてもらったのでそれを応用すればアイテムバッグとアイテムバッグを繋げられるんじゃね?と思ったので魔眼で魔力の流れを見ながらやると上手くいきました」


「……そういえば他の所に目がいって忘れておったが、お主ガチンコの天才じゃったな」


「……他の所ですか?なるほど私の胸ですね?後、設置型のアイテムボックスにも繋げられたのでかなり容量が使える様になりました」


 ルディールが想像以上の答えに絶句していると相変わらずソアレの下の方からくぐもった声が聞こえてきた。


「お主がすごい事を再認識したが……リージュ大丈夫か?」


「……どうでしょう?関節技は練習中なので、もしかしたら痛いかもしれませんが大丈夫でしょう。ちなみにリージュさんの今のパンツは薄いむらさ……」


 ソアレが変な事を言い終えるまえにバタン!ゴロン!と何か大きな物をひっくり返すような音がしてから次はリージュが通話に出た。


「はぁはぁ……ルディールさん、こんばんは」


「うっうむ。こんばんはじゃな……どうなったんじゃ?」


「はい、ド腐れ魔道に関節技を決められていたのでようやく返して私が関節技をかけた所ですね」


 そしてその言葉通りリージュの下からは床を叩く音とリージュさん! ギブギブ! という声が聞こえて、その後にえ? このまま折るつもりですが何か? といつものリージュの声とは思えないほど冷え切った声が聞こえてきた。


「ルディールさん!聞こえてたらこの頭のおかしいリージュをどうにかしてください!」


「乙女の下着をバラしておいて何を言っているんですか?折れたぐらいならハイポーションで治りますので大丈夫ですよ」


「リージュよ落ち着け……勝手な想像じゃがお主には似合っておる色じゃぞ」


「ルディールさん、ソアレさんに甘くないですか?まぁ……褒めてもらったので折るのは止めておきますが、このまま固定はしておきますけどね」


 そう言ってリージュはルディールから教えてもらった束縛する魔法でソアレを雁字搦めにするとそこのチョロリージュささっとこの魔法を解きなさいと言う声が聞こえて来た。


「もうあれじゃな……」


「はい、先ほどの話もそうなんですが魔法だけは本当に凄い人なので色々と際立ちますね」


「……そうじゃな」


「そうそう、ルディールさんお時間大丈夫ですか?」


「うむ。大丈夫じゃぞ」


 リージュが今日、スノーベインから通信用の魔道具の開発に成功したと発表があり、まずは現存する通信器具の修理等をすると話し始め、すこしルディールに忠告してくれた。


「仕事がはやいのう……さすがミューミューじゃな」


「発表があった事を父に聞いたのですが、開発者の名前の欄にルルルの花子と名前がありましたので、ルディールさんその偽名はあまり使わない方がいいですよ。前にもらった宿題魔道書にも使われていましたので」


「そう言えばそうじゃったな……リージュよ教えてくれてありがとう」


「いえいえ、どういたしまして。私が困った事になったら助けてくれればいいですよ」


「うむ。何があっても助けてやるわい」


 等とリージュと話をしていると自力で魔法を解いたソアレとまた戦いだしたので通話が切れその日も無事に過ぎていった。


 次の日の朝、昨日と同じように新聞を買い食堂で朝食を食べ終わり読んでいると、リージュが言った様にスノーベインで通信用魔道具の開発に成功と記事があり、これから数年かけて量産体制に入るのか?等と大きく書かれていた。

ひさしぶりにバトロワ系のゲームやるとエイムが全然合わないのでびっくりしますね。次回の更新は明日には投稿出来ると思いますが火曜日になるかもしれません。


いつも誤字脱字報告ありがとうございます。本当に助かっております。

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