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第124話 休憩

 セニア達が本館に着き、事前に他のメイドさん達に説明しておいたルディールはメイドさん達に紛れ込み帰って来たセニア達に頭をさげ出迎えた。


 お帰りなさいませセニア様と言い、メイド達に教えてもらった様に鞄を受け取ったがセニアはルディールに全く気付いておらずにソアレに話しかけた。


「ソアレ姉様、ようこそおいでくださいました。今日はどうしたんですか?」


「……なるほど。セニアは魔眼の修行と、もう少し気配を察知しないと駄目ですね」


「えっと……何がでしょうか?」


「……そうですね。ルディールさん的に言えば人生勝ち組じゃから下の者に気を配って無いといった所です」


 そう言うと一緒にいたミーナとリージュもソアレに挨拶をして、ミーナがルーちゃんならそんな変な事を言いそうと言い隣にいるルディールに全く気がついていなかった。


 急にルディールの名前がでたのでリージュが少し怪しんだ後にキョロキョロとしだしメイドルディールと目が合い、少し考えてから分かったようにぽんと手を叩いたので、ルディールが唇に人差し指をあてるポーズを取ったので一人ニコニコしていた。


「今日はリノセス公爵に用事があったので、アコットとリノセス夫人を連れてこちらに来ました」


 そうですかといつもと少し雰囲気の違うソアレと話しながらメイドを引き連れミーナ達が遊びに来た時に使う応接室に向かった。


「それと、そちらの眼鏡をかけたメイドは新しいメイドですか?」


 ようやく話を振ってきたので先ほどのメイドさんが新人で今日から配属になりましたといい、挨拶をとルディールに言った。


 声を変えても良かったのだがこの調子だと最後まで気づいてもらえなさそうだったので、いつもの声で丁寧に話した。


「セニアお嬢様、ノディノと言います。お見知りおきを」


 そう言うと少し違和感があったようだが、セニアもミーナもまだ気付いていなかったのでソアレもリージュも笑いをこらえてぷるぷると震えていた。


「知り合いに声が似ているので驚きました、ノディノさんよろしくお願いします」


「あー確かに!セニアもそう思ったよね。ルーちゃんに声似てるからびっくりしたよ」


 ルディールが弟子にも全然気付いてもらえんと心の中で凹んでいると、ソアレ、リージュ、メイドさん達の顔が面白いからもっと続けましょうと言っていた。


 それから少しセニア達が話しているとノックがありリノセス夫人が久しぶりに娘に会いにきてミーナやリージュに挨拶をした。


 それから回りを見渡してルディールに気がつき面白い事をやっているな~と言う様な顔をした後にセニアに話しかけた。


「セニアもミーナさんもですが、ルディールさんに言われませんでしたか?もう少し人を疑えと」


「あの、お母様?ソアレ姉様もそうですが……今日は何かあったのでしょうか?」


「面白い事は現在進行形で起こっていますね。ソアレさん、終わったら教えてくださいね」


「……わかりました」


 それからリノセス夫人は笑顔のままミーナさんもリージュ様もゆっくりしていってくださいねと部屋を後にした。


 セニアもミーナも頭を傾げて不思議に思いながらも学校であった事などを話し、たまにルディールがお茶を入れたりもしたが全く気づいておらずそのたびに、ソアレとリージュが吹き出しそうになっていた。


「そういえば野外合宿の評価はどうでしたか?」とリージュが尋ねるとミーナが、今朝クラスで発表があったと話した。


「セニアと一緒で一位の評価をもらったんですがノーティアさんとリージュさんのおかげなのでこう素直に喜んで良いのか悪いのか……」


「ミーナ、それを言い出したら私も同じだよ。先輩はいたし王女様も途中まではいたからね」


「……二人とも十分ですよ。ルディールさんがいたら、王女と大公爵の娘が一緒だからヨイショされたんじゃろ!とか言いそうですが、合宿に来てる先生達は真面目に評価しているので信じていいですよ」とソアレが二人を褒めると少し照れた様子だった。


(う~ん、最近人に考えを読まれているような気がする)等とルディールが考えていると、ミーナが合宿の後にルディールとバルケからもらった手紙の事をソアレに相談するとかなり変な方向にそれ始めた。


「……ルディールさんとバルケさんからラブレターでも、もらったんですか?おすすめはバルケさんですよ?」


「ぶふっ!違いますよ!ソアレさん何を言っているんですか!魔法に関する今後の課題ですよ!」


 その少し慌てた感じにリージュの目が光り、この前の仕返しとばかりにミーナに追及を始めた。


「前から聞こうと思っていたんですけど……ミーナさんとルディールさんはどういう関係なんですか?」


「えっ?う~ん……命の恩人には間違いないんですけど、友達の様な、お姉ちゃんの様な感じかな?少し難しいですね」と言ったが本人も何かしっくりと来ては居なかった様だった。


 ソアレはその言葉を聞いて少し安心し、ではミーナさんは省いておきましょうと言うとリージュも追従しそうですねと言い、ミーナに何がですか!と言われていた。


(確かに妹みたいな感じじゃな。命の恩人とは言うがあそこでミーナに出会って無かったらわらわも死んでおったかも知れぬしそこはお互い様じゃな)とルディールが考えていると二匹の獣がセニアに標的を変えた。


「……さて、ついでにセニアさんにも聞いておきましょう」


「あの~ソアレ姉様?ついでで聞く話では無いと思いますが?」


 セニアが抗議の声を上げたが、リージュがここぞとばかりに「カタコンベから帰って来た時に王女様と一緒におもちゃにしましたよね?」と逃げ道を先に潰した。


 するとセニアは諦めた様にため息を吐き話し始めた。


「私もミーナと同じ様なものですよ。かなり慌てていた様なので詳しくは覚えていませんが命の恩人ですし、友達のお姉さんって感じです」


「……なるほど、そこに付け足しで好きが入ると言う訳ですね」


 ソアレがそう言うと一気にセニアの顔が赤くなり「違わなくは無いですけど違います!」と否定したのだが思わぬ所から援護射撃が飛んで来た。


「あーセニアって確かにそういう所あるよね。ルーちゃん来ると嬉しそうだし」


「ちょっと!ミーナ!」


 メイドさんに化けてるルディールの前でめんどうな方向に話しが進みそうだったのでリージュの方をみると「そろそろ止め時ですか?ソアレさん悪乗りしてそうですよ?」といきなりソアレを裏切ってルディールの味方についていた。


 ルディールは大きくため息をついてミーナとセニアに話しかけた。


「お主等、そろそろ気付くか止めて置かぬとベッドの上でもだえる羽目になるぞ?」


 知り合いの魔法使いと同じ声と話し方で話しかけられ戸惑ったがまだ気がついてなかった。


「あの~ノディノさんどういうことですか?」


「……ルディールさん、バラすの早く無いですか?こうセニアの気持ちを聞いてからの方が人間不信になってライバルが減るかと」


「わらわは妹思いの姉の方が好きじゃぞ」と言って眼鏡を外し魔法で隠してあった立派な角を出現させた。


 その事にミーナとセニアは目を大きく見開き口をパクパクさせるだけだった。


 そしてソアレがセニアに近づき頭をなで始めるとようやく我に返ったようで二人の叫び声が屋敷内に響き渡った。




「ミーナにルディールうっざいわーとか言われたらどうしようかと思ったが、友達と言ってもらえてよかったわい」


「うざいとか言わないよ!って何でルーちゃんメイド服着てるの!?」


「わらわはリノセス家の護衛じゃぞ?たまには着るに決まっておる」


「ルーちゃんの事だから絶対に私達をからかう為に着たんだ!」と抗議してきたので、そこまでわらわの事を分かっておるなら初見で見破らんでどうすると言い返していた。


 一方セニアの方はソファーに顔面からダイブし左右にゴロゴロと転がっていた。


「……というかリージュさんは良くわかりましたね」ソアレが聞くとリージュはニコニコしながら答えた。


「はい、初めて見た時にルディールさんに似ているな~とは思っていましたが、目が合った時に分かりましたね」


「ミーナもセニアもリージュに礼を言っとく事じゃな、わらわとソアレだけじゃったらネタばらしのタイミングを失っておったぞ」ルディールがそう言うとミーナは少し文句を言いながらリージュに礼を言った。


「……まぁいきなり裏切るとは思いませんでしたが」


「裏切るも何も私はルディールさんの味方でミーナさんとセニアの友人なので、楽しみますが不利益になる事はしませんよ?ソアレさんは……お年を召されているので、若い輪に入れませんね」

 

「……ボッチリージュさん表に出ましょうか?」


「遠慮します。自慢ですが友人と呼べる人達はもうすぐ両手に届きますのでボッチではないですよ?」


「……嘘を言うのは関心しませんね」


「ソアレさんが嘘だと思うならそれでいいですが、変化に対応出来ないのは歳をとった証拠ですよ?おばあちゃんだと可愛い感じがするので……ソアレおばさん」


 二人の間に火花が飛び散りだしたので、ルディールが苦笑しているとミーナが思い出した様に話しかけてきた。


「そうそう、まだ先なんだけどクラスから代表で三人でて校内対抗戦があるんだって」


「その感じじゃと二年と三年とかも戦うのか?」ルディールがそう聞くと、顔は赤いが復活したセニアがメイド服似合っていますよと褒めてからそうですよと答えた。


「四年生と五年生は参加しませんので一年から三年ですね」


「なるほどのう。一年と三年じゃったら差がありすぎる気がするから一年はお祭りみたいなものか?」


 ルディールがそう聞くとソアレとバチバチやっていたリージュがそうですよと答え少し補足してくれた。


「参加しない人達は屋台を出したりするので文化祭という感じです、一年が優勝する事はまずないので二年、三年がメインですね。成績が良かったりすると国やギルドから声がかかるとは聞きますね、私は一年、二年とも二位だったのですが公爵の娘ですのでそういう話は無かったですね」


「……リージュさんの場合は性格に難ありなので、声がかからなかっただけでは?私は一年~三年まで一位でしたのでちゃんと声がかかりましたよ」


「ソアレおばさん……そんな半世紀前のお話をされても……時代は変わっていますし、ああ……あれですね?過去の栄光くん万歳みたいな?」


 ソアレとリージュのさらに悪化した雰囲気を見ながらルディールは呆れたがセニアとミーナは昔のルディールとリージュの様だったので少し面白がって見ていた。


 そしてソアレがリージュに表に出ろ言う話になり、リージュもそれに応じ、ソアレに着いていきソアレがドアの外にでた瞬間に鍵を閉め戻って来た。


「さて、勝ちました」そう言ってルディールの隣に座ったので、確かに勝ちじゃなと言ってリージュの頭をルディールは撫でていた。


 扉を開けようとガチャガチャとやっていたがリノセス家のドアは丈夫に出来ていたようでソアレの力では開く事は無かった。


「ルーちゃん……今のって勝ちなの?」


「リージュの作戦勝ちでええじゃろ……勝ち負けがあるのかは微妙じゃがのう」


 そしてソアレがいなくなった応接室で話の続きが始まった。


「で、先ほどの話に戻るんじゃが最後の方まで行ったらリージュと当たるのか?」


「う~ん、そうなんだけどセニアは選ばれるだろうけど私はどうかな?」


「普通に考えてお主のクラスで上から三人選んだら、ノーティア、セニア、ミーナじゃろうに」


 ルディールがそう言うとリージュも同じ事を思っていた様でその通りだといい、そうじゃないとおかしいとも言った。


「ノーティア様は他国の王女ですからもしかしたら出ない可能性もありますが、ミーナさんもセニアさんも頭一つ抜き出てますからね。二年には多分勝てますよ」


 リージュがそう言うとミーナもセニアもそんな事はないと頭を振り、ミーナがルディールに頼み事をした。


「ルーちゃん時間あったらで良いんだけど、明日と明後日お休みだから、戦い方を見てほしんだけど、試合までまだ先だし選ばれないかもだけど……」


 断られるかもと少し不安そうにしていたがルディールは返事二つで了承した。


「うむ、ではリベット村に行った方が良いのう、剣士、魔法剣士、レンジャーと様々な職業があるから殺りたい放題じゃ!」


「ルーちゃん、ありがとうなんだけど発音おかしくなかった?」


 話が決まりミーナが喜んでいるとセニアとリージュが羨ましそうにしていたので、ルディールがお主達も来るか?聞くと二人とも行くとは言ったがすぐに許可もらって来ますので少々お待ちをと言ってリージュが思いっきりドアを開けた。


 運が良いのか悪いのか開けたドアの先にはソアレが魔法でドアノブを破壊しようと魔法を唱えており、顔面にドアが直撃すると同時に発動された魔法でリージュも感電した。


「……おはにゃが痛いでふ」


「ふっ普通……ひとさまの、い家のドアをまっまほうで壊そうと……しますか?」


 放っておくと話が進みそうに無いので、ルディールは二人に回復魔法をかけ、セニアともう一度、リノセス公爵に会いに行き、リージュは許可をもらうためにシュラブネル家に戻った。


 その途中でアコットがセニアを見つけ抱きつきセニアにおんぶしてもらいその光景をルディールは微笑ましく見ていた。


 そして公爵の所に行き説明すると夫人の方がノリノリで了承し、明後日の夜に戻って来るなら私とアコットも着いて行きますと言ったのでルディールは少し戸惑った。


「え?綺麗にはしていますが、そこまで綺麗な家ではないですよ?」


「その辺りは大丈夫です。今でこそありがたい事に夫人ですが子供の頃は普通に外で寝たりネズミに足とかかじられる環境で育ったので何処でも眠れますよ」と母親の知らない一面を聞いたのでセニアはかなり驚いていた。


 そして夫人のお供にリノセス家のメイド長も同行する事になりスイベルを派遣する事を相談したかったルディールは丁度良かったので了承した。


 リージュが遅くなるかな?と思ってアコットと庭で遊んでいると、思った以上に早く戻ってきた。


「お主、大公爵家の娘なんじゃろ?早く無いか?というか護衛は?」


「父も母もかなり放任主義なので大丈夫です。嘘はいってませんよちゃんと聞いて来ましたよ。リノセス家の護衛の所に魔法を習いに行くと言えばだいたい通りますからね」と言ってシュラブネル公爵からリノセス公爵宛の手紙をもらって来たとそれをルディールに見せる。


「……わらわ、お主のとーちゃんに良いイメージもたれておる気がせんのじゃが?」


「父はあのような性格なので難しいですがルディールさんの評価はかなり高いですよ?」


「悪く思われておるよりは良いか」と納得し、全員の準備が終わり集まった所でソアレの転移魔法でリベット村のルディールの家まで転移した。




 そしてルディール達が転移した後に王女様が、どこからともなく全員が集まっているという噂を聞きつけてリノセス家に遊びに来たがそこに友人達の姿は無かった。


「……もしかして、私嫌われていますか?」


 王女の問いに答える者はいなかった……

次回の更新は明後日の日曜日までに更新予定。ぶっちぎるぜ!


最近、Century: Age of Ashesと言うゲームでドラゴンにのって戦ってます。正式にリリースされる時は日本語対応してほしいな~誤字脱字報告ありがとうございます。

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