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第122話 新たな芽

 ルディールは、現れた森の智者達にこんばんわと挨拶をすると森の智者達も頭を下げ、また色々な記号が画かれたノートの様な物を手渡した。


 手渡されたそれを読んで良いのかと尋ねると頷いたので、ルディールは丁寧に開きそれを読み始めた。


 コピオンがなにか面白い事は書いてあるか? とルディールに問いながら、森の智者達を呼び酒樽を空けて森の智者達にも振る舞った。


「この辺りの歴史じゃな、約五千年位前にこの場所に世界樹が植えられたそうじゃな」


「ほう……興味深い。大昔からあった事は知っているがそんなに前だったのか……」


「うむ、それから五百年ぐらい経ってからエルフの先祖達が住み始めたとか書いてあるのう……森の智者達はそんな大昔からおるんじゃな」


「世界中の森にエルフ達の集落があると聞くがその辺りから流れてきたのか?」


「いや、ここから増えて世界に行ったらしいのう。本当かどうかは分からぬが、お主達の祖先は魔界から来たと書いてあるぞ」


「そうか……その事をエルフの学者達に教えてやれ、自分達の祖先はどこから来たのか?と言い争ってる」


 ルディールは何処でも似たようなもんじゃなと笑いながら読み進めて行くと、世界樹が燃えた時の大戦の事が書かれた記述が見つかり、その辺りを丁寧に読み進めると世界樹の祈りと言う指輪が作られた事なども書かれていた。


 世界樹の中心から一握りの髄を取り出し神々の果物の汁に浸して森の智者達が魔力を流し込みながら加工して作ったと書かれ、その効果はルディールが持つ世界樹の祈りとまったく同じ効果だった。


 その指輪を装備した森の智者の代表が世界樹を守る為に戦い戦争終結後に指輪は行方不明になったと記されていた。


 その事について顔をしかめて考えているとコピオンから声がかかった。


「美人が台無しだぞ、どうした?」


 不意を突かれルディールは笑ってしまい落ち着いてから、自分が元の世界から持って来た指輪とここに書かれている指輪の効果が全く同じだと話した。


「という訳じゃがコピオン殿はどう思う?」


「簡単に考えるならルディールがいた世界でも人が人であるように、太陽は太陽。月は月だろう?世界が変わっても似たような物、同じ物があってもおかしくは無いさ」


「なるほどの~。参考程度じゃが難しく考えたらどうなんじゃ?」


「そうだな……その指輪が同じ物と考え、人間が世界を渡って来られるんだ、指輪の様な小さな物なら簡単に世界を渡れるだろうよ」


「そういう考えも出来るのう……情報が手に入ったと思ったら遠のくのは何でなんじゃろな?」


「そういうものだろう、俺も森の番人を辞めてからは冒険者になって世界を回ったが、手に入れたと思ったら手から離れていくなんて事はざらだ」


 森の智者達の歴史を読み終え、返そうとすると一人の森の智者がそれを制止、その本は魔王様がお持ちくださいと言った。


「お主達もそうなんじゃが、何故わらわを魔王にしたがるか……」


 そう尋ねると一人の年老いた感じの森の智者が前に出て来て、世界樹の祈りを持つ物は我らの王であり魔族の王である、そういう盟約が指輪の持ち主達で交わされたと話した。


「よし、聞いても悩むだけの話と言う事がわかった。また必要になったら聞くからその時にお願いできるんかのう?」


 年老いた森の智者は頭をさげ分かりましたと言って仲間の中へと戻っていった。


「そう言えばコピオン殿はデシヤンに色々聞いておったようじゃが何をきいていたんじゃ?」


「ああ、魔界と天界の事や魔界全体が動いているのかが気になって聞いたんだが、そうでは無いらしい」


 魔界と天界は人間界でいう空と大地のように同じ所にあり、今回動いている魔神は魔王ラフォールファボスと一部だと話した。


「俺は行った事が無いから分からないが、あの虫の魔神が魔界は人間界と同じぐらいの広さがあると言っていたからな、その規模で考えれば少し侵略してくる規模は小さいか?」


「魔界のう……行ってみたいとは思うが観光に行くような所では無いじゃろな」


「いや、魔界と言えどもそこで生活している奴がいる。町や村の一つ二つはあるだろう、気が向いてみたら行って見るのも面白いかもな」


「よほど気が向いたら行ってみるかのう」


「そうだ。ルディール少しいいか?」


 と、コピオンから相談を受けたりして、その日は過ぎて行った。




 次の日になりもうすぐお昼になる頃にようやくカーディフが眠そうに目をこすり起きて来た。


「お疲れじゃな」


「がっつり寝てたわね……今日はもう帰るの?って何か家の中がスッキリしてない?」


 カーディフの言葉通りコピオンの家は朝からルディールとコピオンと森の智者が大掃除をしていた。


「あれだけ、物音をたて掃除していたのに起きないか……変な所だけは母親似だな」


「うぐっ……ってお爺ちゃん何処か旅でもするの?」


「いや、ルディールが住んでいる村に引っ越しだ。世界樹は世界に二本ある。深樹の世界樹は新しい森の番人やウェルデニアに任せておけばいい。俺も元だが森の番人だ新しい世界樹の方も気にはなる」


「なるほどね~ってそんなにすぐ家あるのかしら?」


「それは分からないから、とりあえずリベット村の村長に挨拶しようとおもってな」


 カーディフが準備を終えたのでルディールの転移魔法でリベット村のルディールの家まで飛び、すぐにリベット村の村長の所に向かった。


 村長の家に着くと少しバイコーンがコピオンを見て興奮した様子だったので、少し不思議に思っていると中から村長が出て来てコピオンを見て固まった。


「……もしかしてコピオンか?」


「バイスか……お前老けたな」


「なんじゃい、村長もコピオン殿も知り合いじゃったのか?」


 ルディールがそう尋ねると本当に知り合いだったらしく、村長が冒険者の時にPTを組んでいた仲間だと話した。


「世間は狭いのう……それで村長。コピオン殿がこの村に移住したい様なんじゃが後は任せてよいか?」


「分かりました。つもる話もあるので私とコピオンとで話を詰めておきましょう」


「うむ、お願いしますじゃな」


「ルディール、世話になった。バイスに何処まで話していいんだ?」


「困る事はあるが、まぁ大丈夫じゃろ。その辺りはコピオン殿にまかせたわい」


 コピオンは頷き村長と家の中へと消えていった。


「リベット村の村長ってお爺ちゃんとPT組んでたんだ……お爺ちゃんから人間と組んでた事はあったって聞いてたけど凄いわね」


「昔は冒険者でぶいぶい言わせてたと言っておったのう。コピオン殿とPT組めるぐらいじゃから凄い冒険者だったんじゃな」


「確かに……というかお爺ちゃんまでこの村に来て、ルディがいてスナップとスイベルがいるでしょ?この村って思った以上に凄まじい戦力よね……」


「付け加えるなら人語を理解する猿が数十頭いて、庭と厨房にもやばいのがおるのう……頼めば森の智者達も来てくれるじゃろうし」


 そう話しているとスナップが迎えに来てくれ、上を忘れていますわと言って空を見るとエアエデンがリベット村の上空に停止しており、呼べばすぐにでもスプリガンも来ますわと話した。


「中央都市ぐらいなら余裕で落ちるわね……それで思い出したけど、あの白い炎毛猿ってどうなったの?」


「元気に森の主をやっておるぞ。旅に出ておった奴らも旅から全員無事に帰ってきたしのう」


 そう言って、田舎とかにおいてありそうな野菜の無人販売所を指さすと山から炎毛猿達が果物や野菜を置きお金を回収してルディールに頭を下げてまた山に戻っていった。


「……あれ何?」


「二匹ぐらい人に変化出来るからのう、街とか行って買い物してくるんじゃと。甘味とか買って来ておったぞ」


「新種の魔獣って、一応ギルドに報告の義務があるんだけどって……なんで村の人は何もいわないのよ!」


「そういう土地柄?おだやかな人がおおいんじゃろ。そのうち冒険者ギルドは出来るかも知れないとは村長は言っておったがのう」


「ここって村なのにスノーベインからローレットに入る時に飛空艇も泊まるのよね……」


 カーディフがお爺ちゃんにもっと色々教えてもらう為に住もうかなと悩んでいると雲の切れ目にスノーベインから来た飛空艇が見えた。


「良い所じゃがお主冒険者じゃろ?不便ではないか?」


「ソアレが転移出来るから大丈夫なんだけど、魔神には手も足も出なかったでしょ?黒点はピンチだったけど誰も欠けずに戦ってたしね。こう自分の実力不足を痛感したと言うか何というか……」


 ルディールが難しい所じゃなと話しているとゆっくりと発着場に飛空艇がたどり着き、続々と人が降りてきて人が増えた等の話をしていると、慣れた友人の顔と知り合いの顔がそこにあり、友人の方は明らかに機嫌が悪くルディール達を見かけるとすぐにやってきた。


「……ルディールさんお疲れ様です。さてカーディフ良い所に、これで火食い鳥は全員そろいました。この飛空艇に乗ってスノーベインまで行きましょう!さぁ!行きましょう」


「ちょっと、ソアレどうしたのよ」


 なんとなく分かったが、笑っているバルケに挨拶をし、ため息を付いているスティレに尋ねた。


「スティレお疲れじゃな。ミューラッカに絡まれたんじゃろ?」


 ああ……と力なく返事をしルディールが言った様に、絡まれ戦闘になりボコボコにされたと話した。


「ルディール殿、よくミューラッカ様に勝てたな……私達では傷一つ負わす事が出来なかったよ」


「なんの自慢にもならんがのう。ほんとご愁傷様じゃな」


「……いいえ、カーディフがいれば、ひえひえおばさんを倒せます。カーディフ、リベンジに行きますよ。三人揃って火食い鳥なので二人ならその辺の鶏です」


 完封された事が納得できないのか、ソアレが必死にカーディフを説得している間にルディールはイオード商会の商会長とバルケに話しかけた。


「商会長。久しぶりじゃな、どういう話でスノーベインに行ったのか知らぬが上手くいったのか?」


「はい、オントさんお久しぶりです。おかげさまでスノーベインとの流通に関わる事が出来る様になりました、近いうちにスノーベインでオークションを開催しますので良ければ何か出してくださいね」


 と言われたので鞄の中からパンツァービートルの魔石を出し後は任せたとお願いした。


「簡単に任されましたというレベルの品物では無いですが任されました」


 そしてスノーベインに行った経緯を聞くと王都でミーナと出会い世間話をしていると、丁度スノーベインからミューラッカが外交で来ていてその時にお会いしたと話した。


「スノーベインの使節団の馬車からミューラッカ様がミーナさんに声をかけられた時は本当にあせりましたね……」


「ミューラッカは村娘フェチじゃからな……商会長は楽に苦労する感じじゃな」


「ありがたい事ですが心臓が持ちませんね……オントさんもスノーベインで大暴れしたと向こうの方々に聞きましたし」


 あれは向こうが悪いと言ってルディールはそこで話を切り、バルケに話を振った。


「バルケは向こうに知り合いがおると言うておったが会えたのか?」


「ああ、そいつからの伝言だ、ちゃんとボーナスもらえて給料は減らされなかったと言ってたぞ」


「隊長殿か、元気そうじゃな」


「ああ、十数年ぶりだが元気にしてたな。と言うか時の流れが残酷過ぎて泣きそうだったわ。あのミューミューがあんな感じになってるとは思わなかったな、大昔はおとなしいお姫様だったのにな~」


「なんじゃい、ミューラッカと知り合いじゃったのか……近いうちに行くからその呼び方で呼んでやろう」


「ルー坊、絶対に喧嘩になるぞ……」


「そうですわよ、ルディール様」


 等と話をしているとソアレはまだ悔しかった様でカーディフの腰を掴み、引きずって飛空艇に乗り込もうとしてスティレに止められていた。


「ソアレ落ちつけ!カーディフがいてもミューラッカ様には勝てないぞ!」


「……今から行けば夜です!闇夜に紛れればワンチャンあります」


「アバランチに見つからずに寝室まで忍び込めると思っているのか!」


「……私達が囮になって引きつけカーディフに狙撃を頼めば勝てます」


「それは勝ち負けでは無い!暗殺だ」


「……スティレ、殺った者勝ちです」


「ソアレがここまで頭にきているのも珍しいのう……」


「はぁ……放っておきましょう。ルディの家に行ってご飯にでもしましょう。私達も魔神とやり合って大変だったのよ?」


カーディフがそう言うとソアレもスティレも真面目な顔になり、その話を詳しくと言った。


「魔神ですか?ミューラッカ様も魔神の血が流れているとは聞きましたがローレット大陸ではほとんど見ませんね……」

 

「うむ、商会長もバルケも絶対に聞く話じゃから忙しいとは思うが少し話を聞いていってくれるか?」

 

 ルディールがそう言うと皆が頷き、スナップは先に戻って準備をしておきますわと話し、皆でルディールの家に向かって歩き始めた。

次回の更新は来週中予定です。次回からは新章に入ります。


新章に入る前にキャラ紹介とか書くか迷い所。次回の更新をお待ちくださいませ。

六章も誤字脱字報告誠にありがとうございました。

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