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第107話 野外合宿へ

 野外合宿の護衛に参加する為にルディールは火食い鳥、バルケと供に王都にあるリノセス公爵家へと飛んだ。


 そして護衛に雇われた冒険者達の集合場所に指定された魔法学校へと歩いて向かいその道中でルディールはバルケに話しかける。


「バルケよ、最近見かけなかったが何処に行っておったんじゃ?」


「いや、それはこっちの台詞だろ?ルー坊も何処行ってたんだよ」


「わらわは吹雪の国に行っておったな、前にお主が教えてくれた様に乱れ雪の女王は超強かったぞ」


「ルー坊は冒険すると何かしらあるな。俺はドワーフの国に装備の強化に行ってたな」


 そう言って背中のバルケカリバーを手に取ってルディールに見せるとグリップ部分の形が変わっていた。


 理由を聞くと元のままでも使えたのだが、せっかくもらった武器だから自分の手に合わせ常に最高の状態にしたと話し、勝手に貰った武器を改造したからスナップに謝ったら笑われたと教えてくれた。


「オリハルコン製だから並の武器職人じゃ設備がなくてな。てっとり速くドワーフの国に行ってきた訳よ」


「ほー、ドワーフの国か~。どうやっていくんじゃ?」


「行きたかったのか?声かければよかったな。王都から月に二回程度、飛空艇が出てるぞ」


「武器関係まったく使えんが家とかに飾りたいじゃろ?今度行ってみるかのう」


 話していると、ソアレが私の出番ですねと言って話に加わった。


「……ルディールさん、ドワーフの国に行くなら声かけてくれたらついて行きますし、いつでも送りますよ」


「転位魔法を覚えた時に調味料買いに行ったとか言っておったのう……では行く時は、すまぬがよろしく頼む」


 よろしく頼まれましたとソアレは小さく敬礼をした。ルディールがドワーフの国や他国について尋ねていると魔法学校に着き運動場には三隻の飛空艇が泊まっており、その近くに冒険者達が集まっていたのでルディール達もそこに向かった。


 飛空艇まで出すんじゃな等と、感想を言っているとスティレが、万が一何かがあった時は飛空艇が基地にもなるし離脱が速いと教えてくれた。


「学生と言うから遠足の様な感じかと思ったらそうでもないんじゃな」


「まぁ……大きい声では言えないがルディール殿の考えで大方あっている。行く場所は太古の森だが浅い所だし、強くて大牙猪ぐらいだな。」


「あの美味しい奴じゃな」


「ああ、それぐらいの獣に対して、この集まりの中にはSランクが2PT、Aランクが5~6PT、Bランクと護衛も同じぐらいいるから、学生達は少し気が緩んでいる感じはある」


 辺りを見渡すとルディールでも実力者と分かる連中が多数おり、その中には前に少し揉めた冒険者達もいた。


「えっとじゃな……たしか黒豆だったかのう?」


「ルディール殿はあれか?私達の時も思ったが、冒険者のPTを食べ物でからかうのが癖か?焼き鳥にしろ黒豆にしろ……黒点だ」


 あーそれそれ、と緊張感も無くいつも通り話していると、魔法学校の偉いさんの様な人物が現れ周りの冒険者達が姿勢を正したのでルディール達もその人物を見る。


 ソアレはその人物に心当たりがあり魔法学校の学園長だとルディールに小声で話した。

 学園長の話を纏めると第一は生徒の安全、Sランクの冒険者の指示に貴族達から来たルディールの様な護衛も従う事などを話した。


 話しが終わり飛空挺に乗り込むように指示があり、多数いた冒険者と貴族の護衛達は飛空艇に乗り込み火食い鳥やバルケ達と話をしていると運動場に装備を整えた学生達が集まり始めた。


「結構おるんじゃな」


「……そうですね、リージュさん達の三年生とミーナさん達の一年のA、B、Cのクラスがいたはずですよ」


「他のクラスと二年はおらんのじゃな?」


「……戦闘経験がすくない一年生に上級生が教えるレクリエーションみたいな物ですからね。Cより下のクラスだとまだ魔法について勉強中の時期なので戦闘は控えていますね」


「魔法学校は五年で卒業じゃったっけ?学校の図書館で学生が話しておったと思うんじゃが」


「……はい、辞めたくなったらいつでも辞められますが、卒業は五年ですね。四年生からは自分が目指す職業に特化して勉強するといった感じですね」


「なるほどの~。顔見知りは王女とか令嬢じゃったり将来安定じゃな、一名ほど村娘改じゃが」


「……ミーナさんがどうなるかがとても面白い所ですね。今の状態でもDランク辺りの冒険者としてやって行けますし、イオード商会からウチで働かないかと声かけられたと前に言っていましたし、リノセス家からも護衛見習いで声をかけようかと言う話があるそうですよ」


「本人は実家を継ぐと言っておったぞ」


「……勿体ない気もしますけど、私も選択肢は多かったですが冒険者やっていますしね。やりたい事やればいいと思います」


 と言ってルディールの顔を見て、まぁミーナさん一番確保したいのはローレットの王女様でしょうね。おまけの価値が計り知れないのでと言って笑っていた。


 ルディールも笑いながら、そんな事をされたらミューラッカに頼んでスノーベインに亡命するわいと話していると学生達が飛空艇に乗り込み始めた。


 そして全ての学生が乗り終えるとゆっくりと飛空艇が上昇し始め目的地に向かった。


 飛空艇は物や人を運ぶ様に特化された作りになっていて遅かったが目的地には半日もあれば着くだろうとソアレが教えてくれた


 目的地に着くまでにイスに座りソアレと魔法の話をしていると数少ない友人が話しかけてきた。


「ルディールさんとど腐れ……ゴホン。ソアレさんもこちらの飛空艇だったんですね」


 そう言って現れたのがリージュだったので前は良く嫌な顔をしていたルディールも今では普通だったが、その代わりというか何というかソアレが思いっきり嫌そうな顔をした。


「お主等、王女様と貴族家巡りして仲良くなったのでなかったのか?」


「……逆に亀裂が増えたと言いますか何といいますか……」


「ソアレさんの小じわは増えたと思いますが……特に亀裂は増えてませんよ?仲良しですし」


「わらわの時よりひどい気がするんじゃが?」


「いえ、ルディールさんと私はレベルが同じぐらいで下手したら負けるので気が抜けませんが、ソアレさんは雑魚……ゴホン。圧勝できる貴重なお友達?ですよ」


 リージュがニコニコしながら話しているとソアレが神鳴りの杖をリージュに向け詠唱を始めそうになった所でリージュの後ろにいた女生徒がリージュに話しかけた。


「リージュ様。こちらの人達は?片方は雷光のソアレ様ですよね?」


「はいそうですよ。こちらはルディールさんと言ってたまに魔法など教えてもらう先生で、一年のミーナさんのお師匠様ですね」


 そう言ってリージュが女生徒にそう伝えると、ルディール達にその女生徒が友人だと話すとソアレがとても驚いた


「ボッチリージュさんなのに友人とか……嘘は良くないと思いますよ?もしくは聖人君子様ですか?」


「ど腐れ魔導なので……ソアレさんは脳もそろそろ腐ってきましたか?」


 二人の視線が交差するする中心で火花が飛び始めたのでルディールとその女生徒が頑張って止めた。


「ソアレよ。お主は前にわらわが似たような事やったら止めておけと言っておったのに、お主がやってどうするんじゃ……」


「……こう本能に逆らえないと言いますかなんと言いますか」


「ソアレさんって下半身で生きてそうですもんね」


「あーそれは否定できんのう……ネタに困ったら下ネタ言うし」


「……ルディールさんに言われると真面目に凹むのでやめてください」


「割と事実じゃしな。それでリージュはどうしたんじゃ?と言うか今更なんじゃが敬語で話した方が良いか?」


「ルディールさん達を見かけたので挨拶に来ました。お城とかだと駄目ですがルディールさんは冒険者のくくりに入ってますので大丈夫ですよ」


 リージュが学校ではあまり見せない楽しそうな表情で冗談等を言ったりしているのでその女生徒はかなり驚いていた。そして女生徒も混ざり目的地に着くまで雑談を始めた。


「リージュは夏休みに渡したルルル印の魔法書は全部使える様になったんじゃよな?」


「はい、ネズミが一番大変でしたがかなり使えますね」


 そう言ってリージュが詠唱すると影の中から一匹の黒いネズミが現れたがネズミと言うよりはハムスターに近い形状だった。


 同じ魔法の筈なのに形状が変わるのは何でなんじゃろな?そう言ってルディールが魔法を唱えると色は黒いが何処にでもいそうなネズミになり、リージュのハムスターと遊び始めた。


「……無意識に形を作っていると思いますから難しいですね。所でルディールさん、私にもその魔法を教えませんか?私の属性に合わせて電気ネズミにしますので」


「いくらお主の頼みでもそれだけは無理じゃな」


 と、ルディールは電気のネズミを想像して顔を青くしたので周りにとても不思議がられた。


 そしてその女生徒の魔法の相談を聞いていたりリージュ達が一年生の時に参加した話しなどしていると目的地に着いたようで、ゆっくりと森の手前の草原に飛空艇は降りていった。


 何事も無く着陸するとまずは冒険者達に降りるように命令があったのでリージュ達と別れルディール達は飛空艇から降りる。


 飛空挺から冒険者がおりて一カ所に集まると教師達から説明があり、森の中で合宿が行われる場所と、そこまでの安全を確保して欲しいと命令があったので二手に分かれると、ルディールはバルケと他の冒険者と供に合宿場に向い、ソアレ達火食い鳥は学生達が移動する時の援護になった。


 森に入るとルディールは周りの木々を見たが、リベット村の近くの森では見ない植物が多数生えていた。


「村の近くの森とは全然違うんじゃな」


「ルー坊は太古の森は初めてか?」


「中央都市の近所にある所じゃとちょろっと入った事はあるがのう」


「なるほどなー。補足で説明しとくが太古の森って言うだけあって、かなり大昔からあって森もかなり深い、昔は迷いの森って言われてたぐらいだしな」


 そう言って後ろを見てみなと言って、首を動かすと確かに道はあったのだが、入ってすぐなのに木々が生い茂りどこから来たのかも分からなくなりつつあった。


「こんな森で合宿とか大丈夫なんじゃろか?」


「まぁ、浅い所とは言え魔物とか出る森だしな、大丈夫ではないだろな」


 等と話しながら進んで行くと時折、低位の魔物などが出て来たり獣達がこちらを見ていたが問題無く進み、目的の少し拓けた場所へとたどり着いたので、この集まりの代表に選ばれていた冒険者が近距離で通話が出来る魔道具を取り出し待機している教師達に安全を伝えた。


「あんな感じに通話が出来る魔法があると便利じゃな、その内作るかのう」


「作るかのうって言って出来る物じゃないけどな、国も作ろうとしてるみたいだが上手くいかないって話しだぞ」


 などと話し周囲を警戒しながらまっていると、学生達がたどり着き整列が終わってから教師達からの話が始まった。


 話が終わるとこの拓けた場所が拠点になるのでクラスの班ごとに、マジックテントが配られ設置を始める。


 そして次は冒険者達の話になり、学生達が森の奥深くに行くのを止める事と、学生達に手に負えない魔物が出たら倒してほしいと依頼され、獣や低位の魔物の討伐が合宿の目的なのであまり手を貸しすぎても駄目だと注意を受けた。


「それから、すまないが回復魔法が使える冒険者達は名乗り出てほしい。学生達や冒険者達が怪我をする事があればそちらに向かってもらう指示を出す」


 ほんとは嫌だったのだが、王女様から頼まれて出ているので嘘をつく訳にもいかずルディールは手を上げ前へと出た。


 ルディールの他はプリーストの様な聖職者ばかりだったので、教師はルディールに少し驚いていたが、王女から話がいっていた様でそのまま話を進めた。


 そして回復魔法が使えるルディール達に連絡が出来る小さな魔道具を渡し使い方を説明した。


「学生達の護衛さえしっかりしてくれれば、冒険者達は自分達の好きに行動してくれて構わないが連絡の取れる場所にはいて欲しい」


 最後はそう言って話を締め、見た事も無い深い森で二泊三日の野外合宿が始まった。

次回の更新はたぶん明後日になります。


ちょっと展開遅かったかなと悩む今日この頃。


誤字脱字報告いつもありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] すごい過剰戦力の大集団ですね、魔物の方から逃げそうです。逆に向かってくるのいたら相当な猛者ですね。これだけ手厚く護衛されていてなにか訓練になるのでしょうか。
[一言] ピッカッチュー、ピカピーカって訳だね
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