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第9話 剣山

ブロック注射を打った翌週の2月中旬オッサンは意気揚々と車に乗り込み顧客の打ち合わせに向かっていた。

顧客の会社は電車でも行ける場所にあるが、ヘルニアを理由に車移動としたのであった。

当然のように自分では運転していない、営業の若者に運転させ後部座席に偉そうに座っていた。

注射を打って数日、打った直後と比べると痛みは大きくなっているが、打つ前と比べると雲泥の差で以前は5分も歩けなかったが今なら15分程度であれば歩けそうである。もちろん怖くて歩いたわけではない。


ここではおっさんの感じた注射のメリットとデメリットを上げておこう。

※これはあくまでのおっさんの一方的な感想です。


注射を打ったことで良かった点

それはもちろん痛みが和らぐ→生活の質が向上する→楽しいとなることである。

完全に生活が戻るわけでも無いが、少しの生活の質の向上はポジティブな思考によい影響を与えたと思う。


注射を打ったことで悪かった点

注射が痛いことではない、ネット等を見るとかなり痛い等の記載を見かけることもあるが、おっさんにとっては蚊に刺される程度の痛みでそれも一瞬程度のことであった。

では何か、それはヘルニアが良くなったのかどうか分からなくなることである。

おっさんにとって長い安静療法において少しづつでも改善の見込みが生まれることが一番の喜びとなるが、現在の状況が注射による改善の結果なのか、自身の治癒能力によるものか全くわからなくなってしまったのであった。


顧客の入っているビルのほぼ真横の駐車場に車を止めたおっさんは営業の若者と二人無事に打ち合わせを終えたのであった、その内容も非常に満足のいく内容であったため上機嫌でビルから止めた車まで歩いていた。

そんな折にぽつ、ぽつと急に雨が振り始めた。

そして、それが新たな悲劇のはじまりになるとは露ほども考えず、車まで残り150m程度の距離おっさんは営業の若者に釣られるように走ってしまったのであった。

最初は何の問題もなかったが、途中から一歩踏み出す毎に痛みが増し始め激痛となっておっさんを襲ったのであった。

そして車まで何故か走りきってしまったおっさんは信じられない痛みを感じていた。

誰だよおっさんの太ももと尻に剣山をぶっ刺すのはというくらいの痛みである。

正直めちゃくちゃ痛い。

そんなおっさんの事に気づく事もなく、営業のチャラい若者は鼻歌まじりで機嫌よく車を会社まで走らせるのであった。


その後、定時を過ぎて会社に到着した営業のチャラ男は何故かめちゃくちゃ機嫌の悪くなったアラフォー男から今日中に議事録を提出し一部問い合わせに回答するように指示を受けるのであった。

あのときはすみません、完全に八つ当たりです。

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