王子様となんでも肯定しちゃう私
どうやら私は変わり者らしい。
自分は普通だと思っているけど、周りの人からは変わっていると思われている。
私は“肯定”しかしない。
昔から、問われたことに肯定しかしない……そうでもないけどな…。
「お前は俺との婚約をなんとも思ってないだろ」
婚約のための顔合わせで最初に問われたことに私は肯定した。『そうだよ』…と、私は嘘がつけない、聞かれたことには素直に答えてしまう、悪癖だと自覚しているので普段は極力喋らないようにして、悟られないように表情も硬いものになってる……王子様との婚約には何も思っていなかった、家のためになるし、悪い話ではない…10歳の私がここまで考える必要ある?と思うことはあるけど、それが私だから…。
「…本当になんとも思ってないのか?」
目を見開き驚いている様子の王子様は二つ目の問いを私に投げかける…それにも素直に肯定、『うん』。その態度が気に入らなかったのか王様や王妃様に文句を言いに行ってしまった…口調は直さないとだめだね…王子様相手に無礼だった…婚約、なかったことになるのかな…そうなったらお父様達を悲しませてしまう…そんなことを考えていたけど、このまま婚約が決まったみたい。よかった…これから王妃教育を受けるのかぁ…頑張らないとなぁ~
「決まってしまったことは仕方がない。俺に恥をかかせるようなことはするなよ」
直さなきゃとは思ってるけど癖で軽い口調で『わかった』と肯定。この婚約は家のためになるし、私が頑張っていい王妃様になれば国といずれ王様になることが決まっている王子様を支えることができる…そう意気込み王妃教育を受け始めると、なぜだが王子様がこちらをじーっとみることが増えた…気になることでもあるのかな?悪いとこはみせれないよね…先生達が出す課題に頭を悩ませながらも頑張って取り組む、そうすればみんな褒めてくれるし王妃様にふさわしくなれる……そういえば、王子様も最近課題や剣技に頑張って取り組んでるらしい、私ももっと頑張らなきゃね、王子様の顔に泥を塗るようなことはできないもの。
課題を終わらせ時間は王子様とお話したりお散歩したり…王子様が積極的に私のことを気にかけてくれている…正直嫌われていると思っていたからお話してくださるのはすごく嬉しい…あまりしゃべらない私といるのはつまらないはずなのに、私にいろいろ話をしてくれる…私のことをよく見てくれている……だってわかりにくい私の好みを当ててくれるの…
「お前は花が好きなのか」
『そうだよ』
綺麗なお花は心を癒してくれるから大好き。
「そうか、王宮の庭はすごいだろう」
『そうだね…綺麗。』
王宮のお庭はどこをみても綺麗なお花が咲いていてとても綺麗、私のお家のお庭よりも大きくていろんなお花が咲いてる、全部完璧に管理されていてすごい。
「甘いもの好きだろ」
『そうだよ』
美味しいお菓子は大好きなの、クリームたっぷりのケーキとか…食べると幸せになれるでしょ?
「苦いもの嫌いだろ」
『…そうだよ』
だって美味しくないもん…コーヒーなんて絶対飲めない、おこちゃまかな?
「本を読むの好きじゃないだろ」
『…そうだよ』
冒険物語とかは好きだけど…難しい言葉が載った辞書とかは苦手、元々お勉強は好きじゃないし…。
「走り回ったりするの好きだろ」
『うん…』
座ってお裁縫をするよりも走り回って体を動かすほうがいい、だって気分がすっきりするもの。
王子様は私にいろんな問いを投げかける、そして私はそれに肯定する……だって全部私の思っていることなんだもん、嘘はつけないから肯定するしかないでしょ?…こんなところが変わってる、肯定しかしない女、とか言われる理由なのかな?…よくわからないけど、でも王子様は私のことをよく見てくれている…それがうれしくて、いつの間にか王子様と一緒にいる時間が会話する時間が心地よくて大好きになったの…そして王子様のことも…。
「お前、俺のこと好きだろ」
あぁ、本当に私の思ってることを当てるのがうまいのね…それとも私実はすごくわかりやすい女なのかな?
『!…そう、だよ』
なるべく感情を表情に出さないようにしてきたのにこの人の前では無駄みたい…多分真っ赤になってるわ、恥ずかしくて逃げ出してしまいたい…王子様も嬉しそう…好きって気持ちが私だけじゃないって思ってもいいのかな?…そうだと嬉しいな。
気づいたら婚約してから六年…16歳になった私は今年から国の決まりで学園に入学して寮に入る。私よりも2歳年上の王子様は今三年生で生徒会長をやっている。……この二年間は顔を余せる機会が減ってあんまり楽しくなかったなぁ…休みの日は会いに来てくれるし出かけたりしてるけど……でも、今年からはまた一緒にいられる!…一年後のは王子様卒業だけど、そのあとのことはその時になったら考えよう、学園生活楽しまないと。
「また俺といれてうれしいだろ」
『うん』
ふふ、毎日顔を合わせれて会話もできる、お昼は絶対一緒に食べてくれるし…大切にされてる感じがしてうれしいなぁ……クラスメイトと話すのがつまらないわけじゃないけど、やっぱり長く一緒にいるから一番安心するのは王子様のそばだな………そういえばさっきもあの子、王子様にべたべたしてたな…同級生のリリアンさん…私の目の前で王子様の腕にしがみつくは、甘えた声で王子様の名前を呼ぶは…正直嫌い。私が王子様にふさわしくないとか…嫌なこともいってくるし……ふさわしくなれるように頑張ってきたのになんでそんなこと言われないといけないの?貴方に、私の…王子様の、何がわかるの?そういいそうになるのを我慢して…私が嫉妬してることも気づいてしまうようで王子様は…
「俺があの女にべたべたされてるとこみるの嫌だろ」
『…うん』
「ならあしらったほうがいいな」
『…うん』
「お前、俺のこと好きだな」
『っ…うん』
本当にずるい人…意地悪だし…でも優しい人なの知ってるんだからね、女の子相手に手荒な真似はしない、そんなんだからあの子にべたべたされちゃうんだよ?…私がどれだけ嫉妬してるのかわかってるのかなぁ、どろどろになってるのに…ほら、今だって腕にしがみつかれちゃって…
「この女がお前にいじめられたと騒いでるんだが、そうなのか?」
『?!…ち、違うよ、そんなこと、してないよぉ…』
なんのこと?…そんなこと知らないし、あの子に近づくことだってしてない。いじめるほど興味があるわけでもない…王子様にくっつくから嫌いなだけ、なんでその子の味方をするようなこと聞くの…?…もう、強引に引き離すからあの子すごい怒ってるじゃない…私も怒ってるんだからね……甘やかしてご機嫌を取る気?本当にずるいっ…優しく抱きしめて頭を撫でて、子ども扱いされてるみたい…でも嬉しいから許しちゃうじゃん…
「俺のこと嫌いになっただろ」
『!嫌いじゃない…嫌いにならないよ…』
ほら、嫌いになるわけないのに意地の悪い問いをする…私は自分の思ってることには肯定するけど、思ってないことはちゃんと否定するよ。あの子はそこを勘違いしたようだけど……
「肯定しかしてこなかったから驚いた」
『…やってもないことを肯定すると嘘つきになっちゃう』
「それもそうだけど、何故俺の問いには肯定しかしなかったんだ?」
『…その問いが私の思ってることだったからだよ…よくみてくれてるね、王様たちもお父様たちもなかなか私の考えてることあててくれないのに』
「!!」
『ねぇ…私のこと好きでしょ』
「は?…そうだな、手放せないぐらいには惚れてるよ」
ず、ずるい…意地悪の仕返しで聞いたのに、そんな顔で肯定するなんて…私に似てきちゃったんじゃないの…?…これからもずっと一緒にいるからもっとにてきちゃうかな?これって、ハッピーエンドだよね…私は王子様が好き、王子様も私のことが好き…ふふっ……隣国の相思相愛で有名な王子様とその婚約者さんみたいになれたらいいなぁ…いろいろあったらしいけど、結婚するらしい…お腹には赤ちゃんがいるそうで…それはちょっと恥ずかしいけど、相思相愛で結婚…できたら、いいな…もちろん王子様と私の結婚だよっ
目線を変えて書いちゃった。
マリア
肯定しかしないと思われがちだが思ってもいないことはちゃんと否定する。我が道を貫くタイプなので基本は冷静沈着だがジークには感情を振り回されている。ジーク大好き。割と心の中ではおしゃべり。
白髪の髪で毛先はピンク、少し外はねしている。ジト目で瞳の色は薄紫色
ジーク
自分が思っているよりもマリアのことを溺愛してる。俺様気質で意地悪なところがあるが割と甘やかしたがり。マリアの表情の変化に敏感。溺愛(無意識)。実はむっつりスケベなのでは説。心の中がうるさい。
黒髪をかっこよくセットしてもらってる。目を細める癖がある、瞳の色は金色。
リリアン
どっかいいとこの令嬢。王妃の座を狙ってる。縦ドリルのツインテ。
ぱっと思いついた設定。