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HOLY DARK QUEST  作者: 広陵
2/3

襲撃

流星は恐ろしいスピードで落ちてくると、バンのいた丘大きな音を立てて墜落した。

バンは本能的になんとか回避できたが、もしあのままボンヤリしていたら間違いなく直撃していただろう。

ぶつかっていたらタダじゃおかない。


バンは流星が墜落した穴を覗いてみた。

見事なクレーターを作り出しており、丘の形状をぐにゃりと変化させていた。

お気に入りの丘が…


穴の中心部には、少女が横たわっていた。


背丈はバンより少し小さいくらいだろうか。

華奢な体躯で薄くて白いワンピースを纏っている。

頭の先には光輝く輪っかが浮いており、くるくると回転している。


輪っか?


魔界には色んな奴がいるが、頭の上で光る輪っかを回してる奴なんて流石に聞いたことがない。

ていうかそもそも生きてるのか?


「おーい!大丈夫か!」


バンは声をかけてみたものの、ピクリとも反応がない。

死んでるのか?やっぱり。


バンは恐る恐る穴を降りていき、少女の顔を覗きこんでみた。

綺麗な顔をしていたが、どこか苦しそうな表情で眠っていた。


息があるか確かめるべく手を口元に伸ばしたその時、


「魔族、そこをどきなさい」


いきなり脳内に響くような声が聞こえた。


誰だ?


振り向くとそこには異形の存在が2体、音も無く浮遊していた。

腕を前で組んだ女性の裸体の石像から一対の白い翼が生えている。

そしてその頭上には少女と同じ、輪っか。


「何だお前ら!」


石像は何も答えない。

が、先ほどと同じ脳内に響くような声がまた聞こえる。


「どきなさい。貴方には関係のないことです」


「邪魔をするなら貴方も消します」


どこから聞こえているんだ…変な魔法でも使っているのか?

貴方「も」消す?


「お前ら…この子に何かするつもりなのか!?」


「邪魔をするというのなら…貴方ごと消します」


脳内にそう響くと、石像の一人が口を開ける。

その瞬間光の矢が放たれてきて、バンの脇腹を貫いた。


「ガッ…!」


バンは激しい痛みを感じ、その場に崩れ落ちた。

見ると脇腹の一部が消滅しているではないか。

傷口から、闇が漏れ出て消滅している。

魔界の住人…魔族の体は全て闇の凝縮体であるので、

闇が漏れ出るのは命に関わる大変危険なことである。


なんだ…っこれ…ッ!

いて…え…!!


「もう一発」


頭の中に響く。

やばい、やられる。


石像が光の矢を放った瞬間、突然バンの目の前にまばゆい光の壁が現れた。

光の壁は光の矢を飲み込むと、そのまますっと消えてしまった。


「させない…」


背後で倒れていた少女が起き上がって手を前にかざしていた。

その瞳は、震えるような殺意に満ち溢れていた。


「セラフィムが覚醒」


「早急な処刑を」


石像が狙いを少女に定めたのと同時に、少女は垂直に跳躍した。

そして両手に光の剣を持つと、石像達に向かって投げつけた。


石像はまばゆい光を放ち爆発した。

バンは眩しくて思わず目を瞑ってしまう。


目を開けると、石像の姿はもうどこにも無かった。

小さな光の粒子がふわふわと漂っているだけだった。


「良かった…」


少女の声が背後から聞こえると、どさっという音が聞こえた。






バンは痛みを堪えながら、少女のもとへ這う。


「くそっ…一体何だってんだ…」


バンはやっとの思いで少女の傍に寄ると、その肩に触れた。


一瞬で全身に焼けるような痛みが走る。

全身が発光し、肉体がじわじわと削られていく。


「ぐああああああああああッ!!」


バンの体から闇が溶け出していく。

生命の源が流れ出ていく。

この子はやばい。

関わるとやばい。


それでも、


助けてもらったんだ。

だから、今度は俺が助けなくては。

俺がかつて村のみんなに救われたように。


まだお礼も言えてないじゃないか。


バンは激痛をこらえながら少女を背負い、村に向かって歩き出した。

村はすぐそこだが体がいつまで保つだろうか。


あっ、ダメだ。


バンの意識はほどなくして、深淵に落ちていった。

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