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神待ち猫は異世界人!?  作者: Miyabi
2/6

第一猫 現実はいつも厳しく、そして美しい

「神待ち猫は異世界人!?」本格的にスタートしました。

今回は学園描写のみとなります。まだ、ファンタジー成分は含まれません。(すみません!)

次話からおそらくファンタジー成分は入ります。

6限の授業が始まってはや30分。

今週の学校の最後を飾るのは我が高校の最長老教師が送る英表の授業である。

長老のゆっくりとした話し方とコツコツというチョークが黒板を叩く音が俺の耳に心地よい子守歌を届ける。

ああ、眠い。週の終わりはどうも気が抜けてしまう。

部活でも入っていればこんなことはないんだろうが、あいにく俺は帰宅部だからな。

なにせ帰ってもすることと言ったら飯づくりと掃除洗濯。それから課題と・・・・あとゲームとかくらいか。

別に授業は寝てしまってもいいのだがそれで授業態度から減点されてしまっては困る。

『あの先生おじいちゃんじゃん?見てないって!』なんて言ってたやつがいたが、それは大きな間違いだ。

あの先生は教員歴約30年のベテラン、というかマスター級だ。見てないようにみえて教師特有の千里眼的なアレでしっかり監視しているに違いない。

これは新人教師にも言えることである。

たいていの場合新人教師というのはその仕事の慣れるのに精一杯なためいろいろと欠けてしまうことが多い。

しかしその中にも例外というものは存在する。特に『スポーツやってました』は危険だ。

チームスポーツなんかは自然と視野が広がる、そのため無意識のうちにサボっている生徒が目に入ることも十分あり得る。

「えー、ではここの品詞を・・・・大谷君」

「は、はい。えと・・・そこは副詞です」

「はい、正解です。ではなぜここが副詞かといいますと――」

授業は着々と進み残すところ15分となった。

5限が体育だったということもあってか、皆寝ずに頑張っていた。

俺としては普通逆だと思うのだがな・・・

身体動かした後って眠くならないか?疲れとかでさ。

正直、今少し眠い。

俺は「ふあぁ~」とあくびをする。

よし、あと12分。耐えろ、俺!

『カサッ』

「ん?」

残り少ない授業にむけて気合を入れた俺に突然紙屑が投げられた。

方向的にこれは・・・・横か。

見ると隣のやつがこちらを見ていた。

この背中まである長い髪をキリッと高い位置でポニーテールに結んでいる茶髪(地毛)の女子生徒は俺が両親を失って高校に入るまで世話になった家の娘。要するに幼馴染で名前を”三浦 真鈴”という。

特に何か特殊な才能を持つわけでもなく、強いて言えば部活が吹奏楽部ということくらいか。

勉強は聞くところによるとそこそこらしい、運動も本人曰くそこそこだとか。

だからといって地味子というわけでもなくクラスのヒエラルキーは比較的上位に入る。

くしゃくしゃの紙を開くと中には、『唯、眠いの??』と書いてあった。

いや、見りゃわかんだろ、と思った俺はすぐ返事を書く。

『まあな、英表だし。逆にお前眠くないわけ?』

ポイっと・・・・投げた紙を三浦は両手でキャッチした。

そして中身を見ると少し考えたような顔をしてまた書き始め、それを投げ返してきた。

中身は『私もそれなりに眠い。唯はどうかなと思って見たら眠そうだったから投げた』だそうだ。

隣のやつが眠そうだったからってこんなことするか普通?気の利く男友達でもこんなことしないんだが。

こいつが相当変わってるということか・・・・と思いながら返事を書く。

『そうか、お前変わってるな。男同士ではこんなことしないぞ?』

長老が板書をいている隙にポイっと・・・・またも三浦は両手で受け取り中身を読む。

関心するような顔をすると不意に俺の方、正しくは俺の後ろ。つまり窓の方を見ていきなりガッと書き出しそれをピュッとさっきより早く投げたきた。

何事かと思いながら紙を開くと。

『外見て!雪降ってる!!』と書いてあった。

そんなはずはない。ここは九州ではないがこんな時に雪なんかめったに降らない。

騙されるかと思い、三浦の方を見ると顎で『いいから見ろ』と催促するようにクイクイと外を指していた。

「そんなわけないだろ、雪なんて降るはず――――」

この際騙されてもいいかと考えを改め仕方なく窓の方を見やると。

「んなっ・・・・!」

そこには空一面を覆う真っ白い雲と、それよりも強い純白の雪がフワフワと宙を舞いながらゆっくりと地面に向かって降りていた。

俺は授業中だということも忘れ、息をのみ見入ってしまった。

「自然の美」とはこのことを言うのだろう。美しい、それでいて地面に着くとすぐ消えてしまう。

我ながら変だが「儚い」という言葉がこの雪には最も合っていると感じた。

まるで雪に飲まれていくような感覚だ。美しく舞い、すうっと消えてしまう。

こんな生き方ができたら良いのにな、とさえ思えてきた。

この夢のような感覚がずっと続けばいいのに。厳しい現実に目を向けることなくずっとこのままで・・・・

だがその夢は6限終了のチャイムとともに覚めてしまった。

いつ何時もこの世に生を受けた者は現実から目を背けることはできないのだ。

例え、それが己にとって不幸な現実であっても・・・・・・





いかがでしたでしょうか。本当なら入るはずのなかったシーンとなります。予定だと真鈴さんもまだ登場するのは後になるはずでしたがなんとなく入れてしまいました。ちなみに真鈴さんがポニテなのは私の趣味です。あ、でも登場する女性陣を全員ポニテにするとかはしませんのでご安心ください。ちゃんと高さと位置とかを変えて・・・(そういうことではない!)一応プロットはあるのですが今回の様になんとなくでゲリラ的に話が加わることもありますのでお楽しみに!それではまた、次話でお会いしませう。

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