第1章 時空干渉と契約 第6話 魔法学理論
その声は強くまっすぐで、心に穴をあけるぐらいの浸透した声だった。一瞬考えが追いつかなくなり、しばらく固まっていた。
そのあと、フェリスは自分の言ったことを理解したのか、顔を赤くした。
「な……なんていったら、そなたは動いてくれるのか……?私はそなたを必要としている。だから間違ったことは言っていない。じゃが…深い意味はないからな。」
「お、おう……。」
フェリスのその恥ずかしがる声に戸惑い、二つ返事をしてしまった。
別に彼女のことを見捨てたりなどはしていない。ただ、彼女がなぜそこまでして、裕希にこだわるのか、そこがわからないのだ。
本来ならもっと適任がいるのだろう。力があり、能力があり、いうなればフェリス本人のような存在が必要に決まっている。そのフェリスを守らなくてはいけないような人材が裕希のような及ばない人間では話にならないわけで。
「ならなんで俺なのか、それを教えてくれよ。俺じゃなくてはいけない理由があるんだろ?正直俺はどれだけ考えても分かりそうにないんだ。」
「そ、それは……」
フェリスは下を向いた。ここでは言えない何か事情があるに違いない。
ラノベやアニメやマンガ的発想で考えてみよう。だいたいSF物の小説では隠された力を持つ主人公が天界からの使者によって悪の軍団と戦うみたいな感じだろう。(偏見も含む)その場合の時について、大抵登場人物の誰かがまみることになる。となれば、この物語の進み具合的にそろそろ誰かが死んでもおかしくないころ合いであり、したがって今この状況で裕希が未来とやらに行ってしまう=誰かが死ぬという公式が成り立つ。
「絶対行かないほうがいい気がしてきた……!」
「なんか碌でもないこと考えてそうな顔をしているな。」
「どうしても行ってほしいか?」
「…………、うん。」
「なら一日だけ時間をくれ。俺にも考える時間が必要だ。」
「そなたの中に考えるなんて言葉、もはや概念すら存在していないのかと思ったんじゃが……」
「哺乳類は考える生き物なの!本能だけで動く虫とかとは違うわけ!」
「そうか。それは驚きだ。」
フェリスはそういうと微笑んだ。彼女のその顔はすさまじい破壊力がある笑顔で思わずこっちも表情を崩した。
裕希にだって考えることや思うこと、守りたいもの、救いたく捨てたくないもの、たくさんある。今回のこれを受け入れるべきか、それには時間を要して考えて決めるのでもいいはずだ。そうしたいと、裕希は思ったのだ。
「ところで」
「なんじゃ?」
「さっき魔法が何とかって言ってたよな。それについて興味があるから聞かせてほしいんだけど」
「うむ……、私はあまり魔法学について詳しくないんじゃ。最悪次元論に魔法は必要ないからな。まあ説明できる程度なら教えてやってもいい。」
「学問にまでなってんのか魔法って……。どんな世界だよ。」
普通に考えて実現するはずはない。科学的に考えて手からビームは出ないし、空を飛んだりも、傷口を回復したりすることも、不可能だ。少なくともそう考えるのがこの世の常識だろう。
ならばこの少女はいったい何を述べようというのか。
「先に言っておくが、いくら私がここで魔法学について話そうともそなた達が魔法をこの世界で使うことはほぼ不可能じゃ。なぜなら魔鉱石がないからな。」
「魔鉱石……?」
「魔鉱石とは…………」
ここからフェリスは魔法学について2時間ぐらい語り俺も良く理解できなかったが、聞いていて帰りが遅くなった。
余談だが、次に示すことがフェリスの言った魔法学についての理論である。
魔法学理論
第1章 魔子という概念
1426万年前、科学者ルリンが魔子という概念を唱えた。この発見が魔法学の始まりを示したのである。
魔子…M(マナ核)に電子二つと分子二つをまとったもの
魔鉱石…Mを分解できることができる石であり、ダークマターに含まれるMを昇華させたものである。
手魔子…自分の体から発せられる魔子で分子の代わりにMDをまとっている。
天然魔子…魔鉱石から分解される魔子。
魔力…個々が持っている手魔子によって生じる魔法の力の強さのこと。
魔法…魔子を使うことで生じる化学変化や、エネルギーを出すこと。
魔術…魔法を利用すること。
魔属性…魔子がまとう分子の種類を分けたもの。
・火属性―酸素分子をまとった魔子・水属性―水素分子をまとった魔子・風属性―窒素分子をまとった魔子・土属性―二つのナトリウム分子をまとった魔子
・爆発属性―火と水の混合属性・熱属性―火と風の混合属性・地属性―火と土の混合属性・雨属性―水と風の混合属性・樹属性―水と土の混合属性・壁属性―風と土の混合属性
・命属性―様々な物質からなる属性回復属性とも呼ばれる
・死属性―一般属性に加えてつく属性でいまだに正体不明
・神属性―死属性とニュアンス的には同じだが性質や能力が異なる
第2章 魔子の仕組み
*-m…マナ陰子:Mにまとうことができる電子
+m…マナ陽子:Mにまとう分子が変化し、その中の陽子が変化したもの
手魔子
-m
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-m―M―MD・mo mo―ここでは分子のことをさす
|
MD・mo
上の魔子にさらにMと電子二つが結合することを結合現象といい、Mの数が多ければ多いほど魔力は強くなる。
天然魔子
-m
|
-m―M―mo
|
mo
混合属性…火、水などではなく、爆発、熱のように二つの魔子からなる属性
混合魔子…混合属性と反応する魔子
第3章 霊という概念
受魔子…外から魔子を受け取る物質で血液を流れて脳に伝わる。手魔子を体に取り込むと、受ま子を作る細胞が生まれ、外から天然魔子を循環させる。それによって細胞分裂は安定化されるから、結果的に寿命を延ばすことになる。
霊…人が死んだ時にその意識を手魔子に取り込んだもの。意識を魔子に取り込むことで死にながら相手に干渉でき、様々な能力が使えるが、詳しいことは解明されていない。
魔力質量…魔子1㎥集めたときの質量を計算したもの
魔子数(㎥)=10²³ 魔力質量=(分子の物質量×2)10²³[mpg]
例 火属性魔子の魔力質量
(16×2)10²³÷100=3.2²³
答え.3.2²³
以上
いやー、全くわからん!!!
これ小説だよね!?教科書じゃないよね!!?