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第2章 殺戮と救済のカウントダウン 第1話 残り365日

新章です!

 カストルと戦って、アテナと契約した日から二週間ほど経とうとしていた。

 その間にフェリスとリオンと裕希は毎日、それぞれ違うことをこなしていた。フェリスは新しく始めた魔法学の死属性について研究していてその論文発表に向けて色々やっているらしい。そのため彼女は毎晩遅くまで作業していて裕希は心配しているようだが、元々夜に強いフェリスには仕事で遅くまで起きていることは普通なことらしい。ぶ、ブラック企業かよ……。ていうかそんな遅くまで起きてるから背が伸びねえんじゃねえのか………?

 リオンは異時空に来て家の仕事をやらなくて済む、とか嬉しがっていたが、結局王城の仕事をやって小遣いを貯めているらしい。この世界で数少ない電気を使っている製品でもあるエレキギターを買いたいらしい。


 そして、裕希はアテナとともに毎日戦いのための基礎練をしている。筋肉や体力はアテナがカストルとの戦いにおいてこの体をうまく使いこなせていただけあって、割と既にできていた。なので、多少は筋トレや体力作りのメニューも存在するが基本的には戦いのスタイルを体に覚えさせるような基礎練だ。

 そのため彼はフェリスの用意してくれた特訓場にいる。


 『いいかい?敵は常に動いていることが多い。そのためには動体視力が必要になる。』


 『動体視力ねぇ……。俺音ゲーは苦手だからなあ…、付けようにもなさすぎるって感じだと思うけど。』


 『それは杞憂だね。動体視力っていうのは静止視力とは違って元々なくても付けられるものだ。それはやっぱり普段の目の使い方によって決まってくる。』


 『ならどうすればいい?』


 『色々やり方はあるけど、実践的にやりたいなら私と剣を交わしてみるとかだね。私の世界に来れば特に危険もないし。私の剣を見切って躱すことが出来ればかなり動体視力は付いてきたってことになる。』


 『いやアテナの剣を躱すとか無理だろ。それのび太が一橋大学に行きたいって言った時ののび太のママの反応と同じぐらい無理だよ!』


 『私的にはその例えで今の状況を理解することが無理なんだけど……。』


 アテナは裕希に、手も足も出なかったカストルをその実力だけで圧倒させてみせていた。裕希<カストル<アテナ、という状況でアテナ<裕希、にするにはまずカストルに勝たなくてはいけないということになる。

 だが裕希は、前にカストルと戦った時に既に大敗している。魔剣すら使い物にならないぐらいにだ。

裕希-カストルが100でアテナ-カストルが300だとすると裕希は今よりも400の力を付けなくてはいけない。

 な、何百年かかるんでしょうね……?


 『ちなみに私は5600億年かかったよ。』


 『死ぬわ!人間の寿命が80年だとしたら70億回死ななきゃいけねえじゃねえか。気が狂うわ。』


 『逆に言えば気が狂うほどの時間を過ごさないと"普通は"こんな力は手に入らないんだよ。』


 アテナは普通はというところを強調して言った。その意図は裕希にはわかる。

 それはつまり、裕希は"普通"ではないという事だ。

 最近彼はそれを素直に思うようになった。それは別に自惚れたわけでもナルシストになった訳でもない。騙されてみようと思ったのだ。

 アテナはきっと色々な人を見てきた。面白い人、つまらない人、慈悲深い人、節操のない人、薄情な人、みたいに全ての顔を見てきたはずだ。

 だから戦いのセンスがあるかないかぐらい彼女には分かるのではないか。彼はそう思った。そんな信憑性のありすぎる嘘に騙されてみようと思ったのだ。


 『つまり俺なら何億年かけなくてもアテナレベルの力を手にすることが出来るってことなんだな?』


 『いや。』


 『何なんだよ……。その力が手に入んなければアテナには勝てねえだろ。』



 『もちろん。だから君はすぐに私を超えるって言ってるんだよ。』



 『は?それは無理……。』


 彼女の当たり前のように放たれたその一言に、裕希は流石に妄言だと思った。

 いくら才能のある人間でも、限界はある。超えるべき者にも重ねてきた時間というものがあるからだ。それは囲碁とか将棋みたいに頭脳さえあれば、もっと言えばカンニングさえ出来れば最強の人相手でも勝てるようなものとは違う。確実な実力が無ければまず間違いなく勝てない。そこら辺の小学生と、ボルトが100m走しても小学生は勝てないのと同じだ。


 『そうなってもらわないと、大悪魔には勝てないよ。』


 『それ、つまり大悪魔はアテナより強いってことなん?そんな奴この世にいるの?』


 『困ったことにね。』


 裕希は戦慄した。そんな途方もないモノが存在したのかと。


 『ということでじゃあ、こっちの世界に呼ぶけど、いい?』


 『まあやるしかねえだろ…………。』


 本当は、この戦いにどれだけの覚悟が必要だったのかまだ知らない。あれだけ戦慄したにも関わらず、それを笑い飛ばせるぐらいの「狂気」が待っているのに、裕希はまだ知らない。


 本当に何も知らないまま、彼はアテナとの特訓に入り


 殺戮と救済の365のカウントダウンをスタートさせる。












 「いよいよ明日から始まるぜ?フェリスが死ぬまでの1年がよお。」


 その全身と精神を狂わせた、荒く、恐怖に満ちた声で、カーリは立ち上がった。


 残り365日。

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