表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/42

第1章 時空契約と干渉 第19話 死に戻り以上のバランス崩壊能力がなんとやら


「で、だ。お前がどういうことをしてきた人なのかはよく分かった。それと俺がどうこうって話にはいまいち繋がらないんだけど、俺がお前を受け入れると俺は何ができるんだ?」


「それは、……えっと、私といつでも話せること、とか…?」


「ちょっとクーリングオフしてもいいですかね……」


「えっ、ちょっとちょっと、うちはクーリングオフとかやってないんだよ!」


何言ってんのかよく分からんが、クーリングオフは条件さえ満たしていれば、必ず契約を取り消すことができる、法律、みたいなものなので、この店はやっててあの店はやってないなんて事はないんだけどな。


「冗談だ、悪いけどそういう小難しい事は私には分からないよ。君は私と契約すれば、特殊な能力を手にすることができる。かつて私にできたいた事全てが、ね。」


「言っとくけど、『ボクと契約すればどんな願いでも叶えて上げられるよ?』みたいなのは受け付けてねえからな?俺、フェリスと生き残るまでほむらみたいに無限ループとかしたくないし。」


「そもそも君は男だから魔法少女にはなれないけどね……。」


まどマギを見ていていつも思うのは、あいつら契約の時にみんな死なないような体にしてくれって言えばいいのに。そうすればみんな生き残ってハッピーじゃねえか。もう絶望する必要なんて、ないっ!!


「君との雑談はとても楽しいけど、そろそろ本題に入らせてね?」


「なんだかんだでお前も冗談交じりだから俺だけの責任じゃない気がして納得いかんが、勧めてくれ。」


「私がかつて持っていた力、それは……」


裕希のゴクリという唾を飲み込む音がする。これでめっちゃしょぼい力だったらアテナを全力で遠くへ投げてやる。


「それは………?」



「一番大きいのは、殺されなくなるってことかな。」



「ーーーーーーーーーー」


「えっと、なに?その反応は?」


アテナの言葉を聞き、裕希開いた口が塞がらないような状態になった。

ちょっとなに言ってんのかよく分かんないですねぇ。

こいつ今なんつった?


「殺されないってのは……どういう…?」


「君は、本来ならもうさっきのに殺されていたはずなんだ。でも今ここで生きている、そういうことだよ。」


「えー……なにそれ、チートじゃん……。」


予想以上の、パズドラでいえばリセット機能並の、バランス崩壊能力に裕希はどう反応したらいいのか分からなかった。

え、なにこれ勝ちゲーすぎね?


「ていうかなんで死なない能力持ってるならお前今ここにいるんだ?」


「死なない訳ではない。私が生きてた時は不死鳥イージスっていう神鳥がやってくれていたけれど、基本君が殺されそうな所を私が時間軸の一時停止をして、死なないように操作するっていう、厳密にはそういう能力だから、寿命だったり、あるいは自殺だったりは、私が認めさえすれば、君はいつでも死ぬ可能性はある。」


「それにしても強すぎるだろ。そんな力俺が使いこなせるのか?」


「最終的には私の力を使わずとも大悪魔に勝てるぐらいまでなら強くなってもらうけどね。」


「お、おう。頑張るぜ…。」


返事をすると、アテナはにっこり笑った。

こんなすごい能力を、どうしてアテナは裕希に託したのかは明らかだ。

もちろんフェリスを守るため、そして大悪魔を倒すためである。

だとするならアテナがフェリスのことを気にするのはよくわからないが、アテナはどうやらフェリスのことを知っていた風だった。

つまりこの力は、自分が死なないためにあるのではないのだ。

例えば、フェリスが死にそうだった時とか、自分が死ねば大悪魔がどうにかなりそうだという状況の時は、すかさず自分の命など捨てろということに他ならない。

そんな覚悟は裕希にはあるとは思えなかった。


「後は、私の剣槍が使えることと、私といつでも話せることかな!」


「お前と話すことなんてないと思うけどな?」


「がーん!!」


アテナは裕希の一言に大げさにショックだ、という反応を見せた。とても重い覚悟を迫るような態度ではない。

アテナはそんな覚悟なんて本当は求めてないのか?だとしたら快く受け入れられるのだが。


「じゃあ、私と契約するよ。すごく簡単だから。君は目を閉じてればいいだけ。どう?」


「お前の言い方はいちいち胡散臭い商品の宣伝みたいで本当は気がひけるんだが、分かった。」


「もう、素直に私といつでもお話したいっていえばいいのに。」


「どんだけそれ推してくるんだよ……。」


アテナは裕希のその言葉に声を上げて笑った後、手に口を当てて、静かにするように指示した。裕希は顔だけでどうすればいい?という視線を送ると、アテナは指を裕希の後ろの方を向けてさした。無言で裕希は後ろを向くと、アテナは近寄ってきて耳元で言った。


「……前、絶対向いちゃダメだよ?」


「え……あ、ああ。」


なに?こいつ着替えるの?風呂入るの?ていうかいきなりキャラ変わりすぎだろ。なんだそのツンツンまきちゃんからデレデレまきちゃんに変わった時並の変わりようは。いや、そこまでひどくはないか……。

しばらくなにも音がしなかった。言われたことはちゃんと従う主義で約束もしっかり守れる人間(できないことは最初からやらないので結局そもそも約束事自体しないことがほとんどな結果である)なので、ずっとなにもない時間を待っていた。

すると、訳のわからない言葉が聞こえた。


「ん、OK!じゃ、殴るね!」


「おう。………え?おま…ーー」



ドンッ!!!

という硬い音がした。








ーーー


ーーーー


ーーーーー


ーーーーーーおい。





「痛ッてえな、なにし……え?」


「ーーーー!?」


ふざけたことをしたと思われるやつに倍返ししようと思ったら、そこには、目の前にフェリスとリオンが絶望丸出しの顔で立っていた。


「え………?……なんで、帰ってきてんだ…?」


どうやら先ほどのドンッ!!!という音は地面に尻をついてしまった時の音だったようだ。


察しの通り、裕希は突然現実世界に戻されてしまったらしい。


「…なーに?今の。絶対殺したと思ったのに、なにかわしてんのよ。ムカつくからやめてくれる?」


文字通り上から目線の声がした。見上げるとそこにはもちろん例の大悪魔がいた。

やべえ、こいつと戦わなくちゃいけないんだった………。

それを見ると、裕希は大いなる死の気配に立ち上がり、大悪魔の攻撃をかわそうと走り出した。


「…逃がさないんだから。」


「!?」


瞬間移動か、と思うぐらいの速さでそれは目の前に現れた。裕希は腰にある魔剣を取り出すと大悪魔に向けて振った。

だが、


「流石に痛いからくらえないわそれは。」


囁やくような小さな声が聞こえたと同時に、右腕にものすごい衝撃が走った。思わず手を抑えようと、右手を見ると


「ーーーーーあ」


「魔剣なんてそんなチート使ってんじゃないわよ?ちゃんと自分の力で戦いなさい?」


右手に握られていた魔剣が30メートル先ぐらいの地面に刺さっていた。さっき、大悪魔に弾き飛ばされたのだ。

裕希は思った。

こんなん、死なないと分かってても鬼畜すぎるだろ、と。


「死になさい。」


大悪魔は自分の腰の剣を引き抜いた。こんな状況でも、『いや、お前も自分の力で戦ってねえじゃねえか!』というようなツッコミが頭に浮かぶのは死なないと分かっているからなのか。

大悪魔は剣を振り下ろした。すると、


「ーー来たか?」


先ほど大悪魔に殺されそうになった時と同じような、まるで、時間が止まったような空間になった。

しかし、さっきと違うことが、一点だけあった。


「体が………うご、かねえ……!?」


金縛りのような感じだった。目や口は動く(金縛りの時は基本口は動かせないが、そこにツッこむようなめんどくさい人は取り合えず無視の方向で。)のだが、体が乗っ取られたように動かないのだ。

そのまま時は動き出した。


「…………は?なんなのほんとに。」


気づけば自分の体が勝手に動いていた。目も口も体も動かしたような感覚がないのに、それはオートマティックに動いていた。

裕希はその体が乗っ取られたような感覚にだいたい察しがついていた。


「そう、だね……。」


そして果てには自分の記憶にないことまで、裕希の体は喋り始めた。





「私もそろそろ、本気を出そうかなと、思っただけだよ。」





アテナの野郎、"体を乗っ取ることができる"なんて能力があるなら、最初から言っとけよ。と思いながら、裕希は勝手にアテナに体を操作させられていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ